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今日は森へ行く日だ。朝のスキル操作にも気合がはいる。自分としては腐葉土と藍を探したい。後、ポーションの材料となる薬草や食べることのできるハーブ、リネンの材料の麻も探したいところ。まぁ麻は紡績工房があって領民の服を作っているところが村に既にあるらしいので、そのあと押しみたいな感じ。たくさんリネンを作ってくれたら、そのうちのいくつかを藍で染めてみたいという夢がある。藍染って前世結構好きだったんだよね。ネットでいろいろ調べたことがあるし、実際藍染工房に見学行ったこともある。雰囲気はわかっている。
今世は魔法もあるし、上級鑑定士や上級魔術師、上級錬金術師がいて、いろんな工程をすっとばして出来上がったりすることも多いらしい。だからこそ、上級者を多く囲っている辺境伯家が何をしても“辺境伯家だからね”で片付くことも多い。わたしの隠れ蓑さまさまだ。
「さぁ行こう。準備はできたか?」
「はい。お父様大丈夫です。」
「ルーカスやヒューゴは慣れていると思うが、今日は“ふようど”というものを持って帰って実験する予定だ。いつもと違うので注意するように。」
「「わかりました!」」
森の近くまでは馬車に乗る。腐葉土のために大き目のマジックバックを持ってきているそうだ。馬車の周りを従者が4、5人馬でついてきている。森に入るにはやはり魔物がいるので家族だけで気軽に入ることができないらしい。
森の近くで馬車を降り、馬からも降りる。御者と見張りをおいて、8人で森に入る。森に入るのは初めてでどきどきする。
森に入ったらすぐに腐葉土を探す。この森は魔素が多く森の香りも強い。生命力ましましな感じ。うちの土地が痩せているのは、魔の森に栄養が吸い取られているんだろうかって思うほどだ。そんなことはないとは思うけどね。
あ、あの辺、黒々している。あ。こっちもふかふかしている。
「お父様!!この辺です。あんな感じのものです。鑑定して下さい。」
「ああ、わかった。【鑑定】・・・葉が虫等により分解され土のようになったもの、土壌をより良い状態へ改善してくれる。・・・。うむ。実験してみる価値はありそうだな。ボリスとカールこの黒いところをマジックバックに入れていってくれ。」
「「はい。旦那様。」」
「お父様。こっちのこの葉っぱ鑑定して下さい。」
「次はこっちか。わかった。【鑑定】・・・はじかみ、血流をよくする、食欲増進、殺菌作用がある。下痢や便秘に効く。根の部分を食することができる。ほう、これは薬草か。根が薬の部分なら掘る必要があるな。ダグ、こっちのこれ、根を傷つけずに掘り出してくれ。」
「これか、旦那?」
「ああ。これを頼む。」
「根っこ、結構丸くなってやがるな。ぼこぼこ採れる。ちょっと面白い。」
ああ、これはショウガだ。ちょっと葉っぱがハジカミに似ていると思ったんだけど、根っこはショウガだ!やった!生姜焼きが作れる。
「お父様、あっちに角うさぎがいました。狩ってもいいですか?」
「ヒューゴ、角うさぎだからといって、一人でいくんじゃないぞ、ルーカスとダンを連れていけ。」
「わかった。兄様、ダン、一緒にいこう!」
腐葉土組、ショウガ組が採取をしている間に、うろうろきょろきょろ、決してお父様から離れない範囲で森を探索する。狩り組は少し遠くでヒューゴお兄様の声がしている。
あ、あれ似ている。藍の葉っぱに似ている、綺麗な黄緑色で細めの葉っぱ。さっきから5件連続でただの雑草だったけど、当たっているかもしれない。失敗は成功の基。お父様を呼ぶ。
「お父様、お願いします!」
「アスタは熱心だね。【鑑定】・・・解毒、解熱。抗炎症に使える、防虫効果がある。また、青く染めることができる。・・・これも薬草か。青く染めることができるとあるが、アスタの探していたものか。」
「これです。これ!これが藍です。お父様。ありがとうございます!」
藍が見つかった!藍染にするまで時間はかかるだろうけど、この世界にはわたしのスキルで作った青い色を他で見たことがない。あれをそのまま出せば、スキルが目立つ。でも、使わないのは勿体ないぐらい綺麗な青い色だったので、同じような青、藍染の藍はどうしても見つけたかった。
腐葉土組とショウガ組も頑張った。最後の藍も根っこから採取した。角うさぎは2羽狩れたそうだ。今日はこれだけ成果が出せたら十分だ。
みんなありがとう。
家に帰ったらスキル産の野菜や今日のショウガを使って美味しい料理作るね。生姜焼きとジャガイモもあるからコロッケでも作ろうかな。パンはスキルで作ったものを【インベントリ】に貯めているし、ポテトサラダとオニオンスープ。ああ、美味しそうだ。
アンナとせっせと作ったら、家族にも従者にも絶賛された。そうでしょ。そうでしょ。今まで塩だけのスープ、肉も焼いただけ、ポテトサラダは見たことなかったし、パンは堅かった。ジャガイモは茹でて塩を振っただけだったもんねー。
コロッケもポテトサラダも、これがジャガイモかーってみんな驚いてくれたし、ショウガも生姜焼きでびっくりされた。ショウガを掘ったダグが、俺が掘ったのがこんなに美味しいものだったのかって感嘆してた。
アンナは作りながら目を見開いてレシピを必死で覚えていたから、また作ってくれそう。
食生活も少しましになってきて、家族が喜んでくれるのが一番嬉しい。まぁわたしが塩味の料理に飽きたっていうのもあって、もう少し力を入れたいところ。
今日も馬車の中でも時間のある時もスキルで操作をしたので、レベルは1上がった。ここまでくると、レベルはどんどん上がりにくくなるだろうな。新しく作ることができたのは、菜の花から油の取れる製油加工工房と大豆加工工房だ。この世界、植物油はあまりなく高価なので、てんぷらとか、ポテトフライとかできそうで楽しみ。
【今日のスキル】
レベル 17
畑 54面
栽培できるもの 小麦 トウモロコシ 大豆 カボチャ サトウキビ 菜の花 きゅうり 人参 綿花 ジャガイモ トマト 玉ねぎ
工房 飼料工場…鶏の飼料、牛の飼料、ミツバチの飼料 小麦加工工房…パン、食パン サトウキビ加工工房…砂糖 牛乳加工工房…チーズ、バター 肥料工場…肥料 製糸工房…青い糸、青い布 製油加工工房…植物油 大豆加工工房…醤油
牧場 鶏の飼育所…卵 牛の飼育所…牛乳 養蜂施設…ハチミツ
果樹園 リンゴ ブドウ コーヒー




