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仮題 送信間に合った

作者: たけのすけ2
掲載日:2010/05/06

よっこらしょ。


若気の至りってあるだろ。恋愛ってモンが手探りだった頃の過ちみたいな。

俺が高校三年の秋ぐらいの話なんだけど、同じクラスの奈津美ってコに告白されてさ。

眼鏡掛けてて影の薄いコなんだけど近くで見たら結構かわいい。

俺はカッコ良いわけじゃないし成績もスポーツも普通以下だったから、そん時はからかわれてるんじゃないかと思って、わざと怒ったような顔して立ち去ったのね。


そしたら次の日奈津美の友達四人に呼び出されて囲まれてさ。なんであんなひどい事すんのって俺を責めるわけ。

奈津美はその場にいなかったから、こいつらの中でどんな話になってるかわかんない。どうやら奈津美の告白が本気みたいってわかったから動揺しまくりの俺は言い訳もできなくて、謝って逃げた。



卒業までは女子に睨まれて過ごしたね。奈津美とは目も合わせられなかった。針のムシロ。


でも高校生活でキスもしたことない俺はだんだん妄想がでかくなってた。

ひょっとして奈津美と二人きりになれたら少しくらい無茶しても(キスぐらいなら)許されるんじゃないかって思うようになってた。

そんなチャンスは一度も来なくて卒業式を迎えたんだけど。


卒業式の翌日、意を決した俺は人気のない旧校舎に奈津美を呼び出した。電話じゃ元気なさそうだったけど奈津美は素直にやって来た。

二人になったもののアガっちゃって言葉が出ない。用意してたセリフも飛んじゃってるし。逆上した俺は、部屋の角まで奈津美を追い詰めて無理矢理キスした。鼻に眼鏡が当たって変な感じだった。

奈津美は固まったまま動かないの。で、泣くような笑うような顔してうつむいてる。

パニクりまくりの俺はやっぱり、何も言えなくて逃げた。床に落ちた眼鏡が割れちゃったみたいで悪いことした。


まあ若気の至りって言っても、今は最高の思い出なんだけど



何年かして社会人になってから、同窓会の話を奈津美と親しかった友人(四人のうちの一人ね)から聞いた。俺は訳あって行けなかったけどそいつの話によると、


奈津美にはあの時、もう次の新しい彼氏がいたこと(俺、顔面蒼白ひきつってて今の俺みたいだったと思う)。

でもファーストキスは俺だったらしくその男に今も恨まれてるらしい(もう俺、膝ガクガクでさっきまでの俺みたい)。


その後の話は頭がボーっとしちゃって良く覚えてない。

ただ、今はそいつと結婚して幸せに暮らしてるって。

俺は今でも彼女作ってないけど、奈津美の事は忘れられないいい想い出だ。なんだったら旦那から奈津美奪ってやり直したい位。


実は偶然昨日、奈津美夫婦の家見つけて、懐かしくて尋ねちゃったんだけど。

深夜なのに、大きな声で警察呼ぶとか言っちゃって意味わかんないし。近所迷惑だよな。

でも包丁が腹に突き立ってる旦那の(なに信じられない)みたいな顔みてたら少し笑えた。







風切り音がやけにうるさい。

ぐんぐん地面が近づいて来る。あいつが幸せに



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