第15話〜帰平悪〜
白は自死の覚悟で変身し、“変身によって場所を選べる”という新たな解釈を得た。
銀色のボブの女性の目の前に白は裂け目と共に息を荒らしながら現れた。
「やっと戻れたぞ…あんた何がしたいんだ。」
アーマーを着た状態の白が問いかける。
「返答次第では敵とみなし、即逮捕をさせてもらう。」
「フッ…自力で帰えることが出来たのは200年生きて初めての事。」
「それほどこの世界に固定し執着があるのね。」
その銀色のボブの女性は立ち上がる。
その動作に白はレクニイム・ゼロを構えて撃つ体制を取る。
「戦う気は無い。君の実力を見たかっただけよ。」
「何者だあんた…!!」
「私の名はヘイラ。また会える事を楽しみにしてるよ。白。」
そういいヘイラは裂け目の中に後ろから倒れるように飛び込んだ。
「なんだったんだ…」
しかし、事態はこれで終わらない。
周辺の人が怪しんで通報をしたのだろう。
「ちょっと君いいかな…」
白の肩にポンッと置かれる。その肩を置いた人物は
初老の警官だった。
白は顔から滝汗が吹き出る。
「えっと…これはその…」
場面は変わり、
警官とアーマー着たままの白が鑑別室で対峙してる。
「ねーなーんーでーあんな所でなにをしーてーたーのー???」
初老の警官とは思えないくらいフランクな喋り方をしてくる。
「だから!失記者の力で別世界線に飛ばされてやっと思いで帰ってきて!飛ばした人に問い詰めてたんですよ!!!」
たが初老の警官は疑う。
「本当か?そう言って強盗しようとしてたんじゃないの?」
意図が全然通じなくて白は灘れる。
「そのくらいにしてやれ。正義。この子はうちの社員だ。」
「白は何もしてない。」
そういい、時宗が鑑別室に入る。
「なんだ。時宗兄さんか。時宗さんが言うなら真実か。」
「失記者案件の事件起こされるとこっちも凄いめんどくさい。」
初老の警官は時宗を慕ってる様に見える。
しかし年齢とミスマッチしている。
これも失記者と健常者の差がはっきりと分かる。
「白くん。手をかけたね。行っていいよ。」
白は安堵して変身が解け、パイプ椅子にもたれつく。
「積もる話もあるだろうからヴァルキュリアに行こう。」
ヴァルキュリアの中にある本棚がずらりと並ばれてる場所に着き、白は一連の流れを説明し、時宗が言う。
「ヘイラと名乗る人物…そして平行世界への移動…そんな解釈を持つ人がいるとは…」
「多分ヴァーネ案件だね。」
突然の声とともに、すぐにその人物が姿を現す。
その人物はカノウよりもずっと理知的で、目元には深いクマ。古びた本を大切そうに抱えた、いかにも文学青年という風貌だった。
「やぁ。君が白君か。僕はドク。知識館の管理者だよ。」
「初めまして…」
白が軽返事をする。
「ヴァーネ……やっぱあの組織か。ほんと厄介ごとばっか起こすな」
「まぁまぁそう言うなって。ヴァーネも事情があるんだろう。」
「さっきからそのヴァーネはなんなんですか?ちょくちょく話題なってますが。」
白が問いかける。
「説明してなかったな。後で餅大福あげるから説明頼んだ☆」
「雪大福は要らん!!本が汚れる!!」
ドクの返答を聞くもなく時宗はどこかに消えた。
「ハァ…また面倒事を押し付けて。仕方ない。」
ドクは続ける。
「君は失記者が生まれる可能性の一因はどう捉えてる?」
「えっと、自己の喪失やこの世に対する理への抗いですかね。」
「否。否。否である。」
「少し違う。失記者が生まれる要因は環境と自己の喪失による大きな苦しみによる何かを失ったと自覚する時に現れる。」
ドクは止まらない。
「例えば悪影響を及ぼす環境下だと失記者になっても悪に進む人が多い。」
「対失記者武器の導入で、出現率は2割ほど減った。」
ドクの表情が陰る。
「…けど、まだ全然足りないよ」
白はその話にひとつの疑問が出る。
「そもそも警察はこのヴァーネに対して捜査はしないんですか?」
ドクは少し顔を曇らせる。
「もうほんとにそこが500ページを1晩覚えるくらい大変でさー」
「まず。警察は健常者で成り立ってる組織。だから失記者が犯人だと警察はあっさり殺されかねないから手を出せない。」
「だからその事件全般を当社に丸投げされるんだ…」
ドクは怒りで歯をギチギチに鳴らせる。
「残業が嫌って事ですか?」
「違う!!!僕が許せれないのは!!新たなる知識を得に行けれない事が最も許せれない!!」
白は確信する。
また癖強い人が増えた。と…
つづく。




