第10話〜童泊新〜
第9話〜童泊新〜
(あぁ…また始まった…泊さんの実験欲が暴走する朝…。この施設で僕に安息の日は来るのだろうか)
あれから日にちが経ち、白は毎日泊に追いかけられてる。
「白くーーーんーーー!!!そろそろ能力の実験させてやーー!!!」
「嫌です!!!!前1回健康診断した時僕の体を見て鼻の下を伸ばさせてぐへへへしてたじゃないですか!!!気持ち悪い!!!」
「かの弱い女の子になんて事を言うんだ!!!私は両生類だぞ!!!」
「どいうことですかそれ!!!!」
ヴァルキュリアのオフィスを駆け回るが、誰かに首を引っ張られてぐぇ、と漏らして止まる。
「2人とも。危ないて。そろそろ協力してあげなよこの後二郎食わせてあげるから。」
その声主は時宗だった。
「二郎はいらないですけど、この方のやり方いっつも変態的な方に誘導されるんで嫌!!僕には心に決めた人がいるんだ!!」
「…君は生涯チェリーボーイで貫く気か?」
その言葉にグサッと入る。
だが次の瞬間、時宗がピシャリと制した。
「泊。まだそれは言うべきじゃない。」
時宗が注意する。
「…すまない言いすぎたね。でも君が空君を愛してたのは分かってる。でも、それを踏まえて次に進めないと失記者になった意味が無いよ。よく考えて。」
白は俯く。
「…分かりました。受けます。」
「よく言ったよ!!流石!!さぁ行こうか!」
場面が変わり、泊の実験室のふたつの椅子に2人が対峙する。
「さて、この前の君が成した力についてだけど、僕也に分析してみた。」
泊はモニターに映す。
「まず、君は変身と言って救済と戦った。」
泊は白の周りを歩きながら説明を続ける。
「戦闘方法についてだけど、君はただ単に拳で戦ってたけど、時宗やセイムさんが言ってたように、相手への意識の不可逆行動があったと言ってた。」
「そして、血を元にアーマーが形成される。これの解釈を広げば血を元にし戦い方を得れると思う。」
「何より面白いのが、今の君では再び変身が出来ない。変身する前に起きた要因はなんだと思う?」
白はもう既にわかってるように。
「…自死の選択を取る事。」
泊は少し笑みを見せる。
「そう!君よく気づいてるじゃないか!理外の範疇の存在。失記者の解釈から大きくずれて、偶然の一致による能力の覚醒。つまり。君は世界中で例のないたった一人の変身能力持つ失記者だ!!」
「そこで!!自死の選択も多岐にある。それらを一つ一つ同じ変身の仕方ではこれからの任務に支障が出かねない。」
「つまり僕は…これから何度も“死ぬ”ってこと…だよね…?」
「そう!そうだよ白くん!やっと話が通じるじゃないか!
いやぁ……ほんと面白い…!!
合法的に人の“死”を見れるなんて…!!
最高の研究だよ!!あぁ〜脳が震える…!!」
(沈黙)
「――冗談だよね?」
泊(無視して続ける)
「でも戦う相手が欲しいよね。これから君とチームとなる人らに相手してもらうことになってる。」
ドアが勢いよく開き、空気を切り裂くように軽快な男が飛び込んできた。
「はぁーい!地獄の特訓って聞いてワクワクしながら来ちゃいましたー!!」
(白、ドン引き気味に)「え、何それ怖い…」
「いい所できてくれたね、漏。彼は君と年齢が近い。よく話してから戦うといい。」
白の顔に、運命を悟ったような影が差した。
つづく。