Track3
ー翌日ー
ピンポーン
「陸翔いますか?」
僕は陸翔の家に来ている。
「あ、ちょっと待ってて。」
そう言ってドアが開く。
「よく来た!ささうちの部屋に。」
自分の部屋もあるのか。確かに僕も持ってるけど陸翔の部屋は前紹介してたベースや楽譜などが沢山ある。
「凄…」
「ありがとう。急で悪いんだけど昨日の件だよね。」
と問い始める陸翔。
「うん。でまた調べたんだけど、衣装はなんでも良くて、歌う順番はクジで決めるらしい。あと、人組の持ち時間は※MC除いて10分までで応募数が増えたらそれも抽選らしい。歌う曲はなんでも可って書いてある。」
※MC:master of ceremonies, master of ceremonyの略ライブやコンサートなどで、曲の合間にアーティストや演奏者が話をすること、またはその時間。(Wikipedia)
「じゃあ先歌う曲決めよっか。」
「そうだね。」
俺が相打ちを打ちながら歌う曲を決めることになった。
「俺らは※オリ曲を持ってないからカバーからだな。」
※オリ曲:オリジナル曲の略称。原曲 、 アレンジ、カバーされた曲に対しての、アレンジされる前の曲。
陸翔がそう独り言ぽく言う
「とにかく夏っぽいやつが良いよね。」
「そうだな…」
「あ!バンプの天体観測とか!」
「ミスチルの花火もいいね。」
ふたつの楽曲の時間を 時間を調べてみる。
「これなら10分以内だから大丈夫だよ。」
「よっしゃ!次は服装なんだけど少しイメージしてるものがあって…」
陸斗が提案する。
「薄い浴衣ってどう?」
「薄い浴衣?」
「普通の浴衣だと暑いから、薄い浴衣でどうかなって。」
「成程…」
「どっちも黒で少し小物付けるとかでいいかなって」
「いいかも。」
「ちょうど家に帯あるんだ。ちょっと来て。お母さん!帯持ってきていい?」
陸斗が陸斗の母に確認を取っている。確認が取れたようなので陸翔に案内され帯があるというクローゼットに向かう。
「ここだ!あれ…これだけ?」
あったのはオレンジ色の帯と青色の帯。去年はもっと色がついてる帯があったらしい。
「お母さんが捨てちゃったのかな…とりあえずこの2つしかないや。」
「じゃあこの2つで決めようよ。」
「そうだね…まぁ2つあったのが逆に奇跡だよね。」
そうだなと感心しつつ色を決めていく。
「陸翔、青がいいんじゃない。苗字が蒼羽だし。」
「確かに。じゃあ俺青にするよ。音弥はオレンジでいい?」
「いいよ。これで決まったね。」
なんかサクサク決まる気がする。やっぱり陸翔の進め方が上手なんだなと思う。そういえば陸翔は幼稚園でもみんなの中心だったことを思い出す。俺は…すみっこで本を読んでた。所謂「陰キャ」ってやつだったな…あ、そういえば。
「陸翔、思い出したんだけど夏祭りの演奏当日に予約らしいよ。バンド名とかメンバーの役割とか書くんだって。」
「そうなの?じゃあそれまでに練習しないとね。あ、着物の着方もね。音弥着物着れないでしょ。」
なんでわかるんだよと思うけど、今は曲の練習だな。僕達は地下に行って練習を始めた。