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彼女のほうだった

『妖精に関する記述』の書物に、前ほどの興味を抱けなくなっていることに気付いた。


 もちろん、知らない世界が描かれた記述にはワクワクとするのだが、妖精の特徴であるとか、そういった【妖精】を指す記述に魅かれなくなっていた。


【妖精】。

 住む世界線すら異なる別種族の彼女へ、言葉は通じるのか、常識は通用するのか、地雷処理みたいな心境を持ちながら、ある種の理性者のような心得こころえで対面していた。――でも本当は、逆だったんじゃないか?


 知の根本が違うと心得ていた。でもそれは、彼女もそう感じながら、まさに探り探り、話しかけていて。そして理知をもって、擦り合わせられるところをずっと探していた理性者は……彼女のほうだった。

 あまつさえ、理性の剥げた異種族という怪物に歩み寄って手を差し伸べてくれたのは、彼女だった。それも、ある意味で化物と対峙するようにしていた俺と違い、透き通って純心なくらい、理知は同じものだと信じて。


 誠実を尊ぶ妖精。

 彼女のことが少し分かったような気がした。


 今日も追っ手の影はナシ。最低でも五日は経ったこの時点で捜索の手が及んでいないということは、そもそも逃亡が目されている予測域から外れているのだろう。

翼視力よくしりょく】を用いてサイレントで追っ手の有無を探れるアドバンテージを活かして、探索域を広げてみたが予兆もなし。今日も俺たちにとっての平穏が保たれるだろう。


 妖精に関わる学習に飽きがきたからだろうか?

 日の沈まない時間が、やけに長く感じた。



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