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第22話 神様は不公平?

「神がいるならなんでこんな不公平なことが起こるんだよ。世の中いじめと関係なく楽しい生活を送っている子もいる。俺だけじゃない。幸せな日常を送っている子もいれば、毎日虐待されて苦しみながら生きている子もいる。


金持ちと貧乏だっている。戦争が起きている国と起きていない国がある。全てのものに対極があるんだ。不幸がわからなければ幸せもわからないって聞いたことがあるけどさ、不幸を経験する人はなんなの。そのあとに大きな幸せが来るって嘘だよ。不幸を経験して不幸なまま死ぬ人もいるし、ストレスから病気になる人もいるし。神がいるのだとしたら、神は福引きみたくひいきする人でも選んでいるの?」

 


不公平。考えたこともなかった。


でも確かに、人間社会は平等ではないと静子様から聞かされたことがある。幸せと不幸の量は決して比例していないと。不幸な者は不幸の連鎖から逃れることが難しいと。


それは静子様のご経験から語られたのだろうけれど、多分、翔君も常々不公平や不幸を感じているのかもしれない。


無言で翔君の腕に手をかざす。あざは一瞬で治せた。


「なに、これ。綺麗になった・・・・・・」


翔君は素直に驚いている。顔のあざも半強制的に治して綺麗にした。


「怪我、全部治せるよ。他に痛いところある」


「お腹。蹴られるから痛みがある・・・・・・あと足も少しひねっている。軽いんだけど」


痛いと言っている体の痛みも全て治す。


翔君は不思議そうな顔で自分の手足を眺めていた。


「もうどこも痛くない?」


「ああ、体は大丈夫・・・・・・心以外は」


心の痛み。これは私にも治せなかった。


一時的に症状を軽くすることはできるけれど、根本的な解決にはならない。


「私はまだ身近な人しか幸せにできないけれど、これで少しは信じてもらえるかな」


「俺は祟られて変死するの」


やっぱりまだ信じ込んだままだ。


「だからあれは全くの嘘だって。デタラメ」


花松町の人から翔君がいじめられているという噂を聞いて、やって来ただけと言った。


「本当に、祟らない?」


「祟らない」


「さっき解決できると言っていたけどどうにかなるものなの。我慢していればもうすぐ夏休みだし・・・・・・」


「夏休みが終わったら?」


翔君は黙り込んだ。


終わっても、終わらない。続くのだ。夏休み明けにいじめが原因で不登校になってしまう子や、自殺までしてしまう子もいるとここ数年、夏の終わりによくニュースで聞いていたから知識はある。


翔君とはもう縁ができた。不幸になんかさせない。一時辛いことがあったけど学校が楽しかったって大人になって振り返ったときに言えるようになってもらいたい。


「わからない・・・・・・でも、多分明日もあいつらは俺を攻撃してくると思う。あんたの連れているオオカミに襲われたっていう理由で腹いせ的に。そうじゃなくても、なにかと理由をつけて攻撃してくる。でもそれもいつか終わる。終わるんだ・・・・・・」


泣きそうな顔で翔君は俯く。私は翔君が膝の上で作った拳をそっと握った。


「いつかじゃなくて、今終わらせよう。心の傷は私には治せないけれど、これ以上酷くなる前に終わらせることはできる」


「どうやって終わらせるんだよ」

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