【第4章】 愛DAOと役割オークション開設
【場所:市民ホール 特設シンポジウム「これからの家族のかたち」】
「本日は、より良い家庭のための役割分担を考えよう、というテーマで──」
「お待たせしましたー! 本日、感情と労働の不当な混同にメスを入れに来ましたー!!」
未来人、堂々乱入。
会場、すでに「あ、また来た」みたいな空気。
「まず皆さん、“愛してるなら、やって当然”って思ってません?」
「……まあ……そういう気持ちも……」
「それ、感情に乗っかって労働を無償化してますよね!?」
「ぎゃあああ始まったーー!!!」
【制度案④:愛DAO制度】
家族内の全役割をDAOで分割(料理・育児・感情ケア・経済支援など)
各役割に“報酬価値”が設定され、入札形式で分担者を選出
感情労働もトークン化(例:「愚痴聞き30分=30愛情トークン」)
感情と労働の混同を可視化し、義務の曖昧性を排除
「これにより、“愛してるのに何もしてくれない”という感情の未回収問題が解決します!」
「逆に“めっちゃしてくれるけど愛されてる気がしない”も明確化!」
「ちなみに、“愛情はあるけど労働はできません”って人は“感情サポートDAO”に委託できます!」
「何それ!!」
「もう“誰がどこまで背負うのか”は、感情じゃなくて契約で決めましょう!!」
【会場、混乱と笑いと沈黙】
一人がぽつりとつぶやく。
「でも……そうしないと、“してもらって当たり前”っていう地獄から抜け出せないかもな」
「愛だからって、全部引き受けるの、やっぱり無理だったんだよ」
【未来人、静かに黒板に書く】
『“愛してるなら”は、制度で言ってはいけない。』
【次章予告】
第5章:“愛されてるか不安”は誰の責任か
次回、DAOも契約も越えて、問いがついに感情の深部へ。
「私はなぜ、愛されてるか不安になるのか?」
制度のすき間から漏れ出す、“声にならなかった感情”の章へ──