第158話 不死のドラゴンを倒したいなら、話を聞けばいいじゃない
「あ、あの時の化け物が王国に向かってきてるですって!?」
遡ること数十分前。
王宮の屋上で、クロからこの国が置かれている状況を聞いた。
再び地上に姿を現したというアンデッド・エンシェントドラゴン。
あの悪夢のようなモンスターが、まさか地上に出現しているだなんて。
私が捕まっている間に、そんな恐るべき事態に陥っていたとは。
「ど、どうしてダンジョンモンスターが地上に出てくるのよ!?」
「分からないです……今はレックスさん達がなんとか止めてくれています……! だから僕達も合流して、一緒に戦わないと!」
「うん、そうだね。なら————」
「待ちなさい」
私が即座に行動を起こそうとしたその時、凛とした声が背後から響き、私の動きを制止する。
振り返ると、そこにはお母様の姿があった。
「その不死のドラゴンを倒す策はあるの?」
「え? いやそれは————」
お母様の鋭い問いかけに、私は思わず言葉に詰まってしまう。
実際、私とクロが合流して勝てるのだろうか。
グランドクエストであの存在に遭遇した時のことを思い出す。
とんでもない能力を持つアンデッド・エンシェントドラゴンを前にして、まともに戦うことすらできず、ただ必死に逃げるので精一杯だった。
正面から戦っても勝てないと悟った私達は、あのドラゴンを偽物だと断定し、回避するという選択をした。
圧倒的な力の前では、為す術もなかったのだ。
あの時と状況は違うとはいえ、どうだろうか————
「闇雲に戦いに行っても、なんの解決にならないでしょ? だから、私の話を聞きなさい」
お母様が一歩前に進み出て、これまでになく真剣な表情で私たちを見つめる。
「今こちらに向かっている、そのドラゴンについて、私が知っていることを話しましょう」
「え?」
思わず驚きのあまり、素っ頓狂な声を上げてしまった。
隣に立つクロも目を丸くして驚愕の表情を浮かべている。
「お母様が……何かご存知なのですか!?」
お母様は、私が生まれた時からずっと別邸にいて、外の世界のことなんて知らないはず。
ましてや山の向こうのドラゴンの存在なんて————
なぜお母様が、あの誰も知らないドラゴンのことを知っているのか。
私の心の内に生まれた無数の疑問に応えるかのように、お母様はゆっくりと口を開き始めた。
「あれは————呪い。20年前から続く、強き呪い————」
読んでくださりありがとうございます。
主人公がこの先どうなっていくのか、ぜひこれからも見守ってあげてください。
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