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第149話 仮面が外れたら、観念するしかないじゃない

「こんのぉ……!」



 ヴィオレッタの怒りは有頂天に達していた。

 紅潮した頬に浮かぶ怒りは、もはや誤魔化しようのない醜悪な色を帯びる。


 仮面が完全に剥がれ落ち、内に潜む悪鬼がついに姿を現していた。



「お前達ぃ!! 国王も王妃も皆、悪魔に操られているのだ! だから早く————」


「————醜い真似はよしなさい。ヴィオレッタ」



 口を開いたのは王妃クセル————お母様だった。


 普段の柔らかな物腰とは打って変わった、お母様の毅然とした態度。

 透き通った優しい声が、感情のない冷たさを宿し、屋上に響いていた。



「あなたは見限られたのです」



 あなたのその高慢な態度、人を見下す目————


 権力のことしか考えず、身分の下の者は簡単に切り捨てる————



 それに皆、付き合いきれなくなったのです。



「あなたには————人の上に立つ資格はない。観念なさい」



 最後通告だった。


 星明かりが屋上を照らす中、静寂が辺りを支配している。

 風が頬を撫で、ドレスを揺らす。


 遠くで鳥が鳴く声だけが、この重苦しい沈黙を破っていた。



「お前は、いっつも————」



 怒りなのか、ヴィオレッタの体は震え出す。


 憎悪を込めた視線の先には、お母様がいた。

 瞳の奥に宿る狂気的な光が、私の背筋を凍らせる。


 今の彼女は、追い詰められた獣のような危険な雰囲気で、何をするか分からない怖さがあった。



 そして、目を見開いて、お母様に対して何かを叫ぼうとした————



「おまえがああああああっ—————」



 その時————


 突如として、爆発音が響き渡る。



「!?」


「なんだ!?」



 地面が激しく揺れ、私達は皆、バランスを崩しそうになった。

 轟くような音が王宮全体を震わせ、石造りの建物がきしむ音が不気味に響く。


 明らかな異常事態だった。


 さっきまでの人間同士の争いが、突然別次元の脅威によって中断されてしまった。



「————た、大変です!!」



 屋上に兵士が慌てた表情で上がってきた。


 その兵士の顔は恐怖で青ざめ、額には大粒の汗が浮かんでいる。

 息も絶え絶えになりながら、必死に報告する姿から、事態の深刻さが伝わってきた。




「すぐそこまで、魔物が接近しています!!」



読んでくださりありがとうございます。



主人公がこの先どうなっていくのか、ぜひこれからも見守ってあげてください。

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