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スキル【男様】で無双!生意気な女盗賊たちをわからせてやる!~やっぱり男様には適わないんだ~  作者: みちまるぎちすけ
【第一章】えーっ! 男が一番偉いんじゃないんですか?〜スキル【男様】の秘密〜
5/48

えっ?

ここまでこの作品を読んでくださったそこのあなた様…

是非ともブックマークと評価をお願い致します!

 ☆


 結局、ルミールは直接戦うまでもなく、俺にひれ伏して降参してしまった。頭を垂れて、なにか恐ろしいものに生命を掌握されているかのような怯え方……。それは、檻から脱出した時と同じ光景だった。

 ルミールは仲間たちと共に、荷物も置いたまま森の奥へ逃げ去ってしまった……。


 俺が持っている【男様】というスキル。俺は結局、このスキルのことが何もわからなかった。ルミールが逃げ去ったあと、逆立っていた髪の毛も自然と下りて、全能感も消失した。

 そして、頭の中で聞こえてきたあの声。あれは…あいつこそが、【男様】というスキルそのものなんじゃなかろうか、と思う。

 スキルが発動しているとき、俺はまるで違う人間になったかのようだった。

 無意識に呟いていた「男は偉い」という言動も、普段の俺なら絶対にしない。男女平等が当たり前の時代に生まれ育った俺は、そもそもそんなこと考えたこともないのだ。

 俺は、自分では制御できないこのスキルを少し……怖いと思った。


 ☆


「サカタ様にかんぱーい!」


 フィルは初対面の印象とはまるで違う、明るい調子でそう声をあげた。それと共に、村から集まってきた人たちが、乾杯! と樽ジョッキを高々と上げる。

 宴会が始まった。

 ここは、フィルの村の酒場だ。俺はルミールが支配していた村の人たちに感謝されて、現在このような接待を受けているのだった。


 テーブルに腰を下ろした俺の周りには、村の娘たちが集まって、口々に俺をたたえる言葉を告げていく。

「サカタ様、男ポイントが1あるって本当ですか? 素敵……この村の人たちはみんな0ですよ。こんなに男らしい方、初めて見た」

「あんた、さっきからサカタ様にくっつきすぎなのよ。サカタ様困ってるじゃない」

「うるさい! あんたこそさっきからサカタ様を引っ張るんじゃないわよ」

「そんなことより、今度は私と話をしてください。サカタ様は異世界から来たって本当ですか?」


 俺は彼女たちの勢いに気圧されて、苦笑することしかできない。


「あはは……みんな仲良くね」


 娯楽に飢えていたのだろうか。村を救った救世主、という点を考慮しても、村の娘たちは俺のことをかなりの好意をもって迎えてくれていた。

 俺は彼女たちにわあわあとじゃれつかれながら、酒場を見渡す。

 この村の男性はみな、お年寄りだった。いや、そう見えるだけで、実際はもう少し若いらしい。男ポイントを奪われた彼らは、その日から抜け殻のようになって、見た目も更けてしまったのだという。

 だから村娘たちにとって、俺は久しぶりに……あるいは生まれて初めて接する、若い男、ということなのだろう。

 嬉しいような気もするが……俺は、そんなこの村の現状に薄暗い気持ちになってしまった。

 普通、年頃の女子は同年代の少年たちと共に、青春時代を過ごす。

 その相手が、彼女たちにはいないのだ。

 引きこもりだった俺には、そのさみしさが何となくわかる。

 俺はあらためて、エンナという征服者が、この世界から奪ったものの大きさを知った。


「もうあなたたち! サカタさんが迷惑しているでしょう。離れなさい!」

 フィルが顔を真っ赤にして、テーブルまでやってきた。フィルは俺の周りに集まっていた娘たちを追い払うと、しれっと俺の隣に座った。

 わざとかなんなのか、ぴとっと肩の触れ合う距離。

「あのサカタさん……本当にありがとうございました。村の人たちがこんなに楽しそうなの、久しぶりです」

「いや俺は別に大したことはしてないよ。フィルの方こそ、俺の命の恩人だよ」

「そんな! 私なんて」

 フィルはどうも、酔っぱらっているようだった。どんどん、俺にくっついてきて、しまいには胸に顔を埋めてきた。

 酔いのせいか、それとも他の作用か。頬を赤く染めたフィルの顔が、俺の顔のすぐ下にある。この子、よく見たら本当に可愛い顔をしているな。

 引きこもりには刺激が強い距離。

 フィルはぼそぼそと寝言みたいに言う。

「私もサカタさんみたいな立派な男になりたい」

 俺は照れ隠しで、わははと笑って見せた。

「ははは、そんな大した男じゃない俺は」

「大した男です。ルミールと戦っているときのサカタさん、本当に格好良かった。私もあんな男にならなきゃって思いました。そうでなければ、これからサカタさんと冒険するのに、足を引っ張ってしまう」

「いやいや俺だって冒険の経験なんかないし……っていうかさっきからフィル? 君、男になりたいとかなんとか言ってない?」

「はい、言ってますよ。おかしいですか? 私みたいなへなちょこな男が、サカタさんみたいな勇敢な男になりたいだなんて」

「待て待て待て待て待て待て待て待て」


 ん?


 俺はフィルの両肩を掴んで、ぐっと引き離した。まじまじと、その顔を見る。

 フィルはふへへ、と気の抜けた笑顔を俺に向けた。

「なんですかサカタさん、ちうですか? それ、ちょっと早いかもです」

「いやいやいやいやいやいやいやいや。フィル。確認していいか? 君の性別は、女だよな?」

 フィルはきょとん、とした顔で小首をかしげた。

「え? 私は男ですよ。ていうか、この村に女の人はいません。男ポイントの高い女性はみんな、能力を生かして稼ぐため首都に行くんです。こんなへき地には男しかいませんよ」


 まじか。

お読みいただき誠にありがとうございます!


是非ともブックマークの登録と広告下にある☆☆☆☆☆から評価をお願い致します!!

こんな私ですが応援してくださったら励みになります涙

何卒よろしくお願いいたします!

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