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スキル【男様】で無双!生意気な女盗賊たちをわからせてやる!~やっぱり男様には適わないんだ~  作者: みちまるぎちすけ
【第一章】えーっ! 男が一番偉いんじゃないんですか?〜スキル【男様】の秘密〜
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拳と拳!

ここまでこの作品を読んでくださったそこのあなた様…

是非ともブックマークと評価をお願い致します!

 ☆


 シイナは城に戻った後、真っすぐ地下牢に向かった。

 さっさとあのラールという料理人の男ポイントを【ドレイン】で奪い取らなければ。そう考えたのだ。

 城に娘たちが攻め込んでくるとは予想外だった。それどころかあのサカタという男は、兵士を退散させ、ベルルを撃退した。

 あの男、男ポイントは低いが妙なスキルを持っていた。他人を催眠状態にかけるスキルか? あんなスキルは見たことがない。だがもう、本人は殺してしまったから、真相は知りようがない。


 あとの雑魚たちはベルルに任せたが……何しろベルルは年寄りだ。裏をかかれて倒されないとも限らない。あの小娘たちに万が一、城に侵入されたら面倒だ。

 邪魔が入らないうちにラールの男ポイントを全て、奪い取る。


 シイナは地下牢に向かいながら、手から血が滴っていることに気づいた。サカタに一撃を食らわせた時、付着したのだろう。

 サカタ……少しやぼったいが、若くて良い男だった。

 シイナは手の甲にべっとりついたサカタの血を、ぺろりと舐めた。新鮮な鉄の味。

「くくく……」

 シイナの不気味な声がひっそりと地下に響く。

 地下牢に到着した。

 通路の奥に向かって、大股で進んでいく。ここはその昔、以前の拷問好きの城主が趣味で作らせたものだという。ここで何人もの人間が命を落としたらしい。

 そのせいか兵士の中でも、ここに立ち入るのを酷く怖がるやつがいる。しかしシイナはむしろ、この地下の鬱屈とした空気が好きだった。

 この場所の空気には、古の怨念が漂っている。その恐怖の源泉こそが、己を強くするのだとシイナは思っているのだ。


「ラール!」

 通路奥、突き当りの地下牢の前に立ち、シイナは怒号した。

 地下牢の真ん中では、ラールが蹲っている。恐怖のせいか、こちらに顔が見えないよう、小動物のように体を丸めている。シイナはそのラールの様に、嗜虐的なものを感じて思わず、口角を吊り上げた。

「出ろ。お前の裁判を始める」

 シイナは鉄格子の扉に向かって蹴りを放ち、無理やり施錠を破壊した。鉄扉はそのまま勢いよく開き、乱暴な音を響かせる。

「裁判? 裁判長はどなたで?」

 ラールは蹲ったまま、くぐもった声で言う。シイナはそんなラールを見下ろし立った。

「私だ。私こそが裁判長だ。さあ、立て」

「へっ……違うね」

「なにっ」


 ラールは突然、立ち上がった。その顔があらわになる。シイナはその男を見て、愕然とした。

 ついさっき殺したはずの男、サカタがそこに立っているのだ。


「裁判長は俺だ。俺がお前を裁く!」


 瞬間、鋭い一撃がシイナに被弾した。

 それは単なるパンチだった。右の拳を振り上げ、思い切り突き出しただけの。武道の達人のシイナからしたら、笑ってしまうほど素人丸出しの一打だ。

 不意を突かれたせいで避けられなかったが、なんら怖い一撃ではない。

 なのに……。

 サカタの拳は深く、シイナの腹部を抉った。まるで雷に打たれたかのような衝撃。シイナの体は後方へ吹っ飛び、地下牢の壁に激突した。


「ぐはあ!」


 吐血。シイナは血を吐きその場に膝をついた。たった一発で、内臓が損傷したのだ。あまりにも重たい一撃……。

 一瞬、シイナの脳裏に死がよぎった。それはかつて、エンナと激突した時、一度だけ感じたことのある感覚だった。


「どーだい、痛いだろう? ”俺のパンチよ超強くなれ”ってスキルにかけたのさ」

 シイナはなんとか立ち上がった。

「……お前のスキルはただの催眠術じゃないのか」

「違う。俺のスキルは【男様】だ。万物が俺の命令に従う」

「万物が……? ありえん、そんなスキルなど」

「信じなくても結構。さあシイナ! ”ラールを返せ”!」


 サカタが確信をもって叫んだ。途端、シイナは警戒し、構えの姿勢をとった。明らかに、スキルを発動する間合いだった。

 だが、何も起きない。

 張本人のサカタは、首を捻っていた。

「あ、あれ?」


 ☆


 ――相手との男ポイントの差がありすぎると、命令をきかせられないぜ。


 頭の中の声の主は、あっけらかんとそう言った。


「おいおい! そういう大事なことは先に言っといてくれよ!」

 恨みがましい俺の言葉に、しかしやつはもう何も答えなかった。戦いに集中しろ、ということだろう。

 シイナの男ポイントは確か、2000から3000だとリルは言っていた。対して、俺の男ポイントは1……なるほど確かに大差だ。スキル【男様】を使って、シイナを操ることはできない。

 ならば、”超強いパンチ”を繰り出したみたいに、肉体を使ってシイナと戦うしかないということだ。


 俺は一人で、にやりと笑った。


「そっちの方が都合がいいや。俺は、お前をぶっ飛ばしたくて仕方がないんだからな!」

「何を一人で喋っている!」


 シイナは叫び、俺に向かって突進してきた。また、あの一撃だ。この俺をほうむった、恐ろしい攻撃。

 脳裏にあのときの恐怖と激痛がよぎる。一気に、全身が冷や汗で濡れた。

 しかし今の俺はもう、その恐怖から逃げない。真っ向から、受け止めてやる。

「シイナあああ!」

 俺は叫び、また右の拳を振り上げた。その拳を思い切り、シイナが突き出してきた拳に向かって振り下ろす。

 次の瞬間、爆発するような衝撃が地下牢を震わせた。

お読みいただき誠にありがとうございます!


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こんな私ですが応援してくださったら励みになります涙

何卒よろしくお願いいたします!

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