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スキル【男様】で無双!生意気な女盗賊たちをわからせてやる!~やっぱり男様には適わないんだ~  作者: みちまるぎちすけ
【第一章】えーっ! 男が一番偉いんじゃないんですか?〜スキル【男様】の秘密〜
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シイナ登場

ここまでこの作品を読んでくださったそこのあなた様…

是非ともブックマークと評価をお願い致します!

 俺の勢いはもう止まらなかった。これは、殴り込みだ。

 俺はエレナが許せなかった。やつはただ、男を腑抜けにしただけじゃない。この世界からいろいろなものを奪ったのだ。フィルや、その村の人たちの苦しみは、エレナのせいで起きたのだ!

 その妹が、この街にいる? これは好都合だ。

 そいつをぶっ倒せば、姉も黙っていないだろう。

 そんな確信をもって、俺は城に向かったのだが……。


「本当に、ごめんなさい」

 俺が殴り込みに来た張本人、エンナの妹、シイナは今、俺に向かって深々と頭を下げていた。


「私の姉があんなことをしてしまったせいで、今現在も、たくさんの人が苦しんでいます。その状況は、私にとっても心苦しいものです……」


 顔を上げた彼女の相貌を目の当たりにし、俺はまたも息をのむ。シイナはとんでもない美人だった。

 透き通った肌に、よく化粧された大きな瞳。そして過度な装飾のないドレス。シイナは俺がこの世界でであった盗賊たちのような、がさつな女とは全く違う。女性らしい女性だった。

 俺はしどろもどろになってしまう。

「あ、ああ。そんなに素直に謝られたら、なんも言えないけどよ」


 俺たちの城主への謁見はいとも簡単に実現した。

 まず俺たちは、城門の門番に、シイナに会いたい旨を告げた。門番は嫌な顔ひとつせず、かしこまりました。と恭しく頭を下げて、俺たちを城内に案内した。

 そして絢爛豪華な一室に通され、間もなくシイナなが直接、部屋に入ってきたのだった。


 そしてシイナは、俺たちに何の躊躇もなく、頭を下げた。

 シイナは自身も怒りを滲ませた、熱のこもった眼で俺のエンナに対する非難を肯定した。

「サカタさんの抱く怒りは最もなものです。彼女の行っていることは、まさしく征服です。この世界のことわりをそっくり作り替える、神をも恐れぬ蛮行なのです」

「お、おうおう。そっかそっか。わかってくれてるなら、じゃあもういいか。フィル、帰るぞ」

 すっかり調子の狂った俺はフィルの肩を抱いて、部屋を出ようとする。

 しかしフィルは動かなかった。

 シイナに厳しい意見をぶつける。

「そう思っているのなら、どうにかしてください。エンナに意見する立場にあるあなたには、その責任があるはずです!」

 シイナは無念そうに、きゅっと唇を結んだ。

「全く持って、その通りです。しかし今や妹の私でさえ、エンナを止めることは難しい。彼女はあまりにも強くなりすぎた……。しかし、私だってただ黙っているわけではありません。そのために、この街にきたのです。あなたたちは、この街にきて、男性の姿が多いことに気が付きませんでしたか?」

 俺はこくこくと頷いた。

「ああ、確かにそうだ。それもみんな、色んな仕事についているようだった」

「そう! 私はこの世界に蔓延る、女が強くて偉い、男はその下だ、という考えをなくしたいのです。そのために、この街では男性でも、職業の制限がなく、自己実現を成し遂げられるよう取り組んでいるのです」


 俺は隣にいたフィルにこっそり問う。

「すまん、どういうことだ?」

「男はギルド以外の場で普通職につくことができないんですよ。別にそういう決まりがあるわけじゃなくて、単純に男ポイントの高い女性の方が、仕事を得やすいからなんです」

「ギルドではそういう制限がないのか?」

「ギルドで請け負うクエストは命を懸けることもありますから。単純に人手の問題ですね。安全で確実に金を稼げる普通職は、女様が独占しているのが世間の現状です」


 シイナは両手をぱん、と合わせて、本当にうれしそうに笑顔を浮かべる。


「そのおかげで今やこの街では、地方からも男性の方が集まってくれるようになりました。エンナに対抗する、世界平和への道は、このエルドから始まるのですよ!」

「お、おお~」


 俺とフィルは自然と、シイナに対して拍手をしていた。全く、非の打ち所がない、素晴らしい考えをもち、かつそれを実行している。

 俺はフィルと顔を見合わせた。

「どうやら、俺たちは場違いだな、こりゃ」

「え、ええ。じゃあ、帰りましょうか。ここで私たちがやるべきことはないですよ」

 俺はシイナに向かって頭をさげた。

「時間をとらせてしまってすまなかった。まさかエンナの妹が、こんなに立派な考えを持っているなんて思わなかったよ」

 シイナはにっこり微笑む。

「いいえ、とんでもございません。またなにかありましたら是非、訪ねてきてくださいませ」


 毒気を抜かれたような気分で、俺たちは城を後にした。

 フィルが恨み言を言う。

「もう、びっくりしましたよ急に。サカタさんって意外と、直情型なんですね」

「たはは……悪い悪い。絶対悪い奴だって思ってたからさ」

「それじゃあ予定通り、まずは宿に行って温かいご飯を食べましょう!」

「そんな予定だったっけ? まあ、まずは生活を立て直さないと、ギルドで職業登録もできないもんな」

 シイナがいい奴だとわかった今、しばらくこのエルドで生活することになりそうだ。

 ギルドで職業登録をし、クエストをこなして資金を調達したのち、首都に向かう計画だった。

 この街ではエンナのいる首都のことなど、情報収集もやっていく必要があるだろう。

 それともう一つ、俺たちには重要な目的があった。


「それにしても、私たちみたいなパーティーが仲間を募集して、誰か集まってきてくれますかねぇ」

 フィルはそうぼやいた。俺はうむと頷く。

「なんでもまずはやってみるしかないさ。わからないことだらけなんだから、考えたって無駄だ。行動あるのみ!」

 ギルドでは、職業登録や、クエストの受注の他、一緒にパーティーを組む仲間を募集できるらしい。

 エンナ打倒を目的とする俺たちだったが、正直このままでは、勝ち目はない。

 だからこの街で心強い仲間を見つけようと考えていた。

「背の高い人がいいな。サカタさんは短足だから」

「あのフィルさん? なんか生意気になってきたね?」

 とにもかくにも長期滞在できる宿を探さなければ。

 そうして、街を歩いていた俺たちだったが。

 突然、背後から声をかけられた。

「ねえ、あんたたち。仲間を探しているの?」

お読みいただき誠にありがとうございます!


是非ともブックマークの登録と広告下にある☆☆☆☆☆から評価をお願い致します!!

こんな私ですが応援してくださったら励みになります涙

何卒よろしくお願いいたします!

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