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画面に向かって

作者: ザクロン

今を生きている私。でもこの私は完ぺきではない。そんな私の物語である。

私はいつも画面に向かっている。

私の画面は常に様々な景色が映される。登下校での車窓から見られる景色、学校でみられる教室の景色、家でみるテレビやスマホの景色、そして目をつぶると見える真っ暗な景色。

しかし、そこには予期せぬ悪い景色を見てしまうこともある。先生の怒っている姿、嵐が接近して家へ帰れない気持ち、そして病気になってしまいずっと変わらない風景。

今日は何もいいことがなかった。だからこそ今パソコンという画面に現実逃避をしている。今見ている画面は私をいやしてくれる。それがいい意味でも、悪い意味でも。

私はよく失敗し、いまでは予期せぬ悪い景色が当たり前になってきた。もはや普段のあたりまえの景色に喜ぶようになってきた。

僕の画面はいつから割れたのだろう。修理もされず放置されてきた画面はいつ治るのだろう、いや、いつ壊れて全く見えなくなるだろう。

でも、目をつぶるとさまざまな景色がフラッシュバックする。それは走馬灯なんかではなく、もっと美しくて、もっと楽しいもの。だけど、やっぱり邪魔が入ってくる。この気持ちは何だろう。いろいろな考えが頭によぎって、目からは涙がこぼれてくる。明日になってほしくない。自分の画面がいつ壊れてなくなってしまうかわからないから。

「あぁ、消える……」古典落語『死神』から一つ持ってきた文章だ。この話は、人の寿命をろうそくに例えて進んでいく。私の中にも一本のろうそくが燃えている。激しさは誰にも分からない。自分にもわからない。

私はいま生きている。それは今目の前にみているパソコンとは違う。履歴削除も、画面交換もできない。でも私は生きる。今でも割れ続けているこの画面とともに。

これからも生き続ける私。こんな私を、みんなはどう見るのだろうか。それぞれが共に生きていた画面とともに。それはみんなでさえわからない。ましてや、私は言うまでもない。

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