男爵になりました
「男爵ですか」
公爵、大聖女の推薦で、僕は本当に男爵になれた。
「これで正式に婚約出来ますね。次は子爵を目指して、もっと頑張って下さい」
ギネヴィアと婚約出来る資格を得たが、子爵を目指して、もっと頑張れと要求された。
何故かモブの平民が男爵になって、ギネヴィアと婚約する資格を得てしまった。
そもそもギネヴィアは王太子ルイモンド様の婚約者の筈なのに、絶対に変だ。
未だにルイモンド様、アーサー様、ランスロット様に接触さえも果たせていない。
何とかしてギネヴィアとモブの婚約を阻止しないと不味いわ。
「あの、錬金術士科のウェルさんですよね」
「そうですけど」
「ちょっと主様に近付かないで下さい」
「主様にはギネヴィア様という立派な彼女が居るんです」
モブに接触しようとしたが、従者の二人に邪魔されてしまった。
桃色髪の変な女が主様に接触しようとした。
あの女は絶対に何か企んでいる。
決して主様に接触させてはならない。
ギネヴィア様、アカネ、アオイ、セシアンナ皇女、アーサー様、ランスロット様、パーシヴァル様、ガラハッド様、ロザリア様、ベルリーナ様にも忠告しておこう。
「あの、聖女科のギネヴィアさんですよね」
「はい」
「ギネヴィア様に近付くな」
「この不審者がさっさと消えろ」
ギネヴィアに接触しようとしたが、今度も従者に邪魔された。
ブラン、ノワールの忠告通りに桃色髪の不審な女がギネヴィア様に接触しようとしたので、激しく恫喝してやった。
「あの、錬金術士科のアーサー様ですよね」
「・・・・」
不審者を見るような視線で睨まれた。
「あの、錬金術士科のランスロット様ですよね」
「・・・・」
完璧に無視されてしまった。
ロザリア、ベルリーナも同様だった。
「王太子のルイモンド殿下と婚約しました」
「婚約おめでとうございます」
セシアンナ皇女が王太子と婚約したと嬉しそうに話してくれた。
「ウェルもギネヴィアと早く婚約しなさい」
ギネヴィアと早く婚約しろと言われてしまった。
王太子のルイモンド様が隣国の皇女セシアンナと婚約してしまった。
完全に手詰まり状態になっていた。