同人作家が召喚された
私は同人作家の夏小宮冬華。
夏コミに向けてラストスパート中に無理が祟って、十七歳の若さで過労死寸前になってしまった。
「あれ、私は過労死寸前だった筈よね」
気が付いたら、見知らぬ場所に居た。
「同人作家の召喚に成功した」
「これで我等は癒される」
「ラーマ様、おめでとうございます」
何だか周囲が騒がしいわよ。
静かにしてくれないかな。
ちっとも状況が整理出来ないじゃない。
「同人作家殿、同人誌を作成して私達を癒して欲しい」
豪華な椅子に座っている年増女が戯言を吐いた。
「はぁ、同人誌を作成?年増のオバサン、アンタ正気なの。それともボケてるの」
「「「「「・・・・」」」」」
私の発言により周囲が静寂に包まれた。
何故か全員がコスプレイヤーだった。
魔法使いみたいなコスチュームの年増女。
派手なだけの趣味の悪い制服を着ている学生。
着ぐるみモドキの鎧を装着している汗臭そうなオッサン達。
ひょっとしたら此処は夏コミのコスプレエリアなのか。
「ねぇ、此処は夏コミのコスプレエリアなの」
取り敢えず年増女に聞いてみた。
「夏コミ?コスプレエリア?同人作家殿、何を言っておられるのですか」
違ったらしい。
しかし同人誌を作成して癒して欲しいと頼まれても、道具が無いから絶対に無理よ。
「道具が無いから同人誌の作成は絶対に無理よ」
同人誌の作成依頼をあっさりと拒否した。
周囲の全員から落胆した視線を浴びせられた。
「あの召喚した同人作家少女の処遇は如何致しますか」
「そうですね。異世界の話は何かの役に立つかもしれないですから、私が後で尋問します。適当な部屋に軟禁しておきなさい」
「分かりました」
冬華は年増女の指示で軟禁されてしまった。
「あぁ、夏コミ行きたかったなぁ。原稿も未完成だったし、新作同人誌も読みたかった」
「どさどさどさ」
「痛い、痛い、あれ、これって未完成の原稿と道具じゃない。それと同人誌も有る」
未完成の原稿と道具と同人誌が降ってきた。
「これは夏コミの新作同人誌よね。超ラッキー」
夏コミの新作同人誌が全て揃っている。
歓喜して踊りまくった。
おっと、踊っている場合じゃない。
直ぐに未完成の原稿を仕上げよう。
冬華は執筆活動を再開した。
「何ですか。この惨状は」
年増女が部屋中に散乱している同人誌や道具を見て、とても驚愕している。
「年増のオバサンも新作同人誌を読む」
「私は王宮召喚士のラーマ。まだ二十代です。決して年増のオバサンではありません」
年増女は王宮召喚士だったのね。
「ラーマ王宮召喚士も新作同人誌を読む」
「新作同人誌ですって、モチロン読みます。あれ、どうして新作同人誌が此処にが有るのです」
「私が新作同人誌を読みたいと思ったら、此処に降ってきたのよ」
「つまり貴女が召喚したという訳ですか」
「そうなるのかな」
「他に召喚出来る物は有りますか。例えば同人誌を印刷出来る魔道具とか」
「印刷機か。有れば便利よね」
「どかどかどか」
印刷機が降ってきて、危うく潰される処だった。
兎も角これで同人誌が作成出来る。
冬華とラーマは歓喜の余り踊り出した。




