ヒロインの撤退
聖騎士達がモブへの襲撃に失敗しやがった。
それにしてもモブなのに聖騎士より強いなんて、もしかしたら隠れ攻略者かもしれない。
意外とイケメンだし。
取り敢えず観察する必要があるわね。
どうやら二人の従者が私を探しているらしい。
アイツらは狂暴そうだった。
暫くは鳴りを潜めた方が良さそうね。
私は暫く休学する事にした。
「君が聖騎士達を瞬時に倒したというウェルかい。君に決闘を申し込む」
「違います。人違いです。赤の他人です。失礼します」
僕が聖騎士達を瞬時に倒した事が大変な噂になり、武術科の連中が次々と決闘を挑んでくる。
まるで黒色悪魔のようだ。
「惚けるのか」
「惚けていません」
「待ちたまえ」
「待ちません」
「逃げるな」
「逃げていません」
やっと諦めたか。
本当に鬱陶しい連中だ。
「君が武術の天才と噂のウェルだな」
いい加減にしろ。
「グェ」
正拳突きを喰らわせたら、カエルのような声を上げて、あっさりと気絶した。
「申し訳ありません」
決闘を挑んで来たと思ったら、武術部の入部勧誘に来た教官だった。
当然だが入部の話は無くなった。
しかし武術では名の知られた教官だったらしく、決闘を挑んでくる連中は居なくなった。
「せっかく天才召喚士が召喚士科に入学したのに、錬金術士科に転入させたそうね」
「・・・・ラーマ、少し落ち着いてくれ」
隣国に出向していたラーマ王宮召喚士が学園長を詰問していた。
「とにかく私の弟子にして、徹底的に教育するからね」
「・・・・分かった」
「君が天才召喚士のウェルか。私は王宮召喚士のラーマ。そして今日から君の師匠だ」
「嫌です」
「我が儘を言うな」
「拒否しても良いですか」
「拒否は認めない」
「断っても良いですか」
「駄目だ」
「・・・・分かりました」
僕とラーマの押し問答は一時間にも及び、結局は僕が折れた。
こうしてラーマ王宮召喚士が僕の師匠になった。
「彼女達が君の召喚した魔物か。鑑定させてもらっても良いかな」
「「構いませんよ」」
【鑑定】
「・・・・」
ラーマ師匠の顔色が真っ白になった。
「彼女達は魔物じゃなくて神獣だよ」
「「そうですよ」」
「・・・・知らなかった」
ブランとノワールが神獣である事が判明した。
「ウェル師匠、私を召喚士として導いて下さい」
ラーマ師匠が僕を師匠と呼び、召喚士として導いてくれと言い出した。
立場が逆になってしまった。




