殺戮王女の真っ赤なお城
真っ赤なお城。
目にも鮮やかなお城。
血のような、赤い赤いお城。
そんなお城には、あるお姫様が住んでいます。
そのお姫様は、多くの人から殺戮王女と呼ばれている存在です。
殺戮王女は、たくさんの人をその手にかけてきました。
だから、倒されなければならない人の一人です。
けれど、誰も殺戮王女を討ち取る事はできません。
なぜなら、殺戮王女の住むお城にひとたび足を踏み入れると、記憶を操られてしまうからです。
そうなれば、もうなすすべはなく。
抗うことなく、お城の犠牲者になってしまいます。
城へ向かった人達が外に出る事は、二度と叶わないでしょう。
真っ赤なお城は、犠牲者の血を吸ってどんどん、どんどん赤くなっていきます。
どんどん、どんどん鮮やかになっていきます。
綺麗なお城。
真っ赤なお城。
血のような赤い赤いお城。
恐ろしくて、誰も近寄れない。
触れられない。
いつしか、その城には誰も足を踏み入れなくなってしまいました。
その後、殺戮王女がどうなったかは誰も知りません。
けれど、時折り思い出したかのようにお城が赤くなるのですから、おそらくまだ生きてまだみぬ犠牲者が来るのを待っているのでしょう。