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小説って…俺でも書けるんじゃね?

デビュー作とも言えないほどですが、どうか生暖かい目で見ていただければ嬉しいです。



ひとつよしなに、よろしくお願いします。


 斎田祥太郎は激怒した。

 必ずかの某有名小説投稿サイトに跋扈している"異世界転生モノ"を除かねばならぬと決意した。



…そんな適当な冗談を頭の中で考えていた。



 斎田祥太郎17歳。

 容姿も特別良くないが、特別ブサイクでもない。遅刻はたまにしてしまうが、不良ではない。成績は中の上。ごくごく普通の高校生であった。



 まさか"異世界転生モノ"に激怒などするはずもない。むしろ"異世界転生モノ"が大好きなのだ。

 毎日欠かさずランキングを確認し、気になるタイトルや好きな作家の新作などを見つけては読み耽る。

 今日も例に漏れず、異世界転生モノの作品を読んでいた。


 ちなみに今読んでいるのも漫画家までされている大人気小説だ。一話で完結する小説で第一話は「お、俺…転生しちゃった…の?」という台詞から始まる。

そこからの話は「お、俺…◯◯しちゃった…の?」という台詞が最後のオチとして使われている。少し気の弱い感じの主人公が無双しながら成長していく物語だ。

引き込まれる内容でランキング上位を常にキープしている。


 では何故斎田は「走れメロス」に準えた雑な冗談を考えていたのか。その冗談と同時にこうも考えていたからである。



——俺でも書けるんじゃね?——



 あまりにも適当である。


 斎田は小説を読むのが好きであり、斎田はweb小説だけでなく、単行本や文庫本も各10冊以上は所持しており、世間的に見れば"本好き"といっても良いレベルだろう。斎田自身も、高校や地元の友人と比べて、自分は本を多く読んでいる部類だろうと自負していた。

 そういう考えから、あんな適当な事を考えたのである。

 尤も、持っている本は人気作家の作品や好きなジャンルの作品に偏っているし、文学賞を隈無くチェックするという程でも無い。ただ本を読む事が好きなだけであり、自分で小説を書こうとは今まで微塵も思ってもいなかった。


 だが今は俺も書こう、いや書けるとさえ思っている。どこからそんな自信が湧くのか、全くもって失礼な話である。




 若気の至りか行動力だけは早く、小説を書くアプリを早速スマートフォンにダウンロードして、早速"異世界転生モノ"の設定を考え始めた。


 「まあまずは主人公からだよな…。すぐ異世界に行くから現世の情報はあんまりいらないか?でもある程度固めとけば、後々設定とか増やすかもしれないから考えたほうが良いか。ただ社会人の経験無いしな…。ボロ出たら興醒めするし、無難に高校生にするか。」

ぶつぶつと1人で話しながら設定を考えていく。


 「どうやって異世界に行くかは…」

(死亡して転生する、眠りから覚めたら転生してる、神様と会って…うーん、方法が多過ぎる…。)


「ひとまずは考えたけど…」


 内容はこうである。


 ある日たまたま寝坊してしまい、遅刻しないよう急いで高校に向かっている途中、赤信号にもかかわらず子供が道路に飛び出してしまっていた。それに気付かないトラックが突っ込んでくるのが分かり、頭で考えるより先に体が動き、飛び出していた子供の背中を押して助けた瞬間トラックがぶつかり、衝撃を受けた瞬間———

目を開けると真っ白な空間が広がっていた。振り返るとかなり神様が立っていて、そこで今までの事やこれからの事、自分の能力などを色々話して転生する。



「…ま、まあそんな考え過ぎずに、仮って形にしとくか!別に斬新なものなんて書けるわけないし!そもそも俺作家じゃねえし!」



 あからさまな現実逃避であるが、とにかくひとまずは決まった。


「よし、じゃあ次は転生先の異世界についてだな!こういうのを考えるの楽しみなんだよなぁ。」


 早速異世界の世界観について考える。

だがこれが非常に難しい。ここまで難しいとは斎田も思ってもみなかった。


「すげぇ難しいじゃん…なんだよこれ…。でも深く考えられるのは面白いな。」

斎田は心の中で(実は俺才能あるんじゃね?)なんて考えている。ここまでくると適当というより、ただのポジティブバカである。



最終的に決まったのが以下である。

①所謂中世ヨーロッパをモチーフとした世界

②魔法が発達しており、戦闘だけでなく生活の一部にも取り入れられているほど魔法は身近な存在

③異世界には魔王という存在はおり、魔王軍との戦いは起こっているが、人間側が有利に立っている。

④主人公は戦うわけではなく、魔王軍との戦地からは程遠い地方でのんびりスローライフを送る

⑤転生先はその地方の領主の三男として生まれる。長男は若いが賢く、既に父親と領主としての仕事の補佐を務め、次期領主はほぼ確定している。次男は領主の仕事には見向きもせず、冒険者を目指している。


 「よし!出来た!」

 大まかな設定が完成し、上機嫌になる。

そしてそのまま家族以外の登場人物を考え始めるのであった。


「ヒロイン的な存在とのラブラブも欲しいけど、プチハーレムも興味あるからなぁ…どうしよっかなぁ…」

鼻の下を伸ばしながらあれやこれやと考えている。



 こうして様々な設定を考え夜が更けていくのであった。



 翌朝、斎田は寝坊してしまった。


 理由は単純である。

昨日自分でも"異世界転生モノ"の小説を書けるんじゃないか?と安易に考え作っていった結果、どんどん時間が過ぎ気付いたら机に突っ伏して寝ていたのである。

当然アラームも掛けていなかった為、母親がギリギリになって起こしに来た。



 寝ぼけているからか、遅刻しないように、間に合うように走ろう、としか考えていなかった。

昨日書いた小説の事はふと頭から抜け落ちていた。



 運悪く、通学路の途中にある交差点の信号が赤になってしまった。

 激しく息を切らしながら、斎田は早く青になってくれと心の中で願っていた。


 その時ふと目の前を見ると、赤にも関わらず渡ってしまって茫然と立ち尽くす子供がいた。子供の目線の先には大型トラックがスピードを落とさず交差点に突っ込んでくる。



 斎田は考えるより先に体が動いていた。

子供を助けたいと思う一心で体が動いていた。



間に合え!間に合え!


そう心の中で叫んでいた。


 そして子供の背中が目の前まで見え咄嗟にその背中を思いっきり押した。



その瞬間、昨日自分自身で考えた小説の設定がブワッと思い出された。



あれ…?これ、昨日かんがえ——————



その瞬間、トラックが思いっ切り突っ込み斎田もその衝撃を——————

受けなかった。



(…あ、あれ?衝撃がこない…?)

そーっと目を開けると、そこには真っ白な世界が広がっていた。

(ま…真っ白なくうかん…)

目にしている信じられない光景をただ説明する。


 後ろを振り向くとかなり歳がいったような見た目だが、背筋がピンと立っている人がいた。


「こんばんは、神です。」


「…へぁぇ?」

素っ頓狂な声をあげる斎田をよそに、神様はどんどんと話を進めていく。

「ワッハッハ、いやぁ〜驚いたじゃろ、すまんすまん、面倒じゃからざっくり言うぞ。さっき君はトラックに轢かれて死んでじゃったんよ。これからは別の世界、いわゆる異世界で生活してもらうからの。あの子供を救うなんてめちゃくちゃ偉い事したから君の能力はかなり優遇してやるわい。」


 斎田は神様の声など上の空———もう空の上なのだが———


 ようやく状況を理解し始めたのか、この空間に来て初めての言葉を話した。






「お、俺…転生しちゃった…の?」

最後まで読んでいただいたき、ありがとうございました。


100%思いつき、100%趣味で書かせていただきました。


素人感満載の文だと思いますが、読んで頂いて感謝します。


また書く意欲が湧いたら書きたいなと思います。ありがとうございました!


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