語彙力がヤバい目な人が異世界転移した一人称小説が色々とヤバかった件~あの命がヤバい時に少しずつゆっくり回るアレ、ぐるぐるするのを体験中~
つまらない場合はそっとブラバする情けをください。
どうしてこうなった?
俺は少しずつゆっくりと薄れゆく意識の中で自分の何が間違っていたのかを考えている。
今は身体が動かない。だけど簡単に諦めたくないから少しずつゆっくりでも考える事を止めないのだ。
目に見える周りの景色の動きが少しずつゆっくりになり、限界を迎えた俺は少しずつゆっくり倒れていく。
あっちの方に見える地面が少しずつゆっくりボゴーンって爆発して、すぐ近くの地面がドゴォーンみたいな迫力で少しずつゆっくりドカーンな感じで大爆発した後みたいなボコボコの地面だ。
空からは火の塊がボワオーてなりながら、あっこらへんのお城に少しずつゆっくり飛んでいってってるみたいに見える。
あ、空からじゃあなくて空の方かな? 上の方では? 何か火の塊もボオワーって感じあるでしょ? 花火とかのほら、チカチカするあの感じが見えてるのだ。
そういえば確かあのお城の中には出発前に手を振ってくれるおばちゃんと、道端には子供を背負ってるおばちゃんと、もう最近はいないらしいけどおいしい屋台を引くおばちゃんがいたらしい。
もしもあんな火の塊がお城を燃やしたら熱いだろうなと思う。暑いと言えば少しずつゆっくり思い出したけど、そういえば夏休みにオーストラリアに行くって聞いてたんだった。
海水浴が楽しそうなんだよな。親戚とかと家族でワーワーとして、そういえば親戚のおばちゃんにまた会いたかったな。
そうだよ、それがあるから諦めちゃダメなんだ。きっと。
俺は少しずつゆっくり身体から力が抜けていくのを止める為に、少しずつゆっくり身体に力を込めていく。
俺が狙うのは必殺魔法のピカピカフラシュ光線波だ。
これを使うと命がヤバいが、今は状況がヤバいので、使った後にどうヤバいか調べれば良いのだ。
今までの暮らしでは分からなかったそのアレがこうなるとボオワーってなって少しずつゆっくりとパワーが見限ってくるのがきたのだ。
俺は例えここで死なないとしても、少しずつゆっくりと生きていくのだ。
その為に俺はパワーをボオワーっとさせてウオワーっていうつもりだ。
すると不思議な事が起こったのだ。
少しずつゆっくりと倒れかけていた俺の身体が地面に倒れこみ、動かないと思った身体が少しずつゆっくりと動いたのだ。
それは本当に奇跡的な事だった。俺はこの場所に来てまだ三十分も経っていないのに力を使いこなした証拠なのだ。
これを俺のいた世界では火事場の馬鹿力というのを俺は知っているのだ。
人間は普段はその能力の九十九パーセントを使わずに生きているので、危なくなったらそれを使う事を言うのだ。
前に読んだマンガで書いてあったから間違いない。だからこれで良いのだ。
きっと俺もそれを使って強くなる事ができる。少しずつゆっくりと立ち上がろうとパワーアップした身体が俺の指を動かした。
伝えなければならないのだ。この脅威に対抗する為の手段を。
ここは剣と魔法のファンタジーの世界だからこれがあれば勝てる筈なのだ。
俺は地面に『ぴすとる』と書いた。
頭のいい人ならこれを見れば、全てを理解するだろう。
これが俺にできる最期の知識チートだった。
薄れていく意識を少しずつゆっくりと取り戻し、俺のいた日本では見た事のない脅威の生き物を見た。
死ぬ前に見るというソーマト? で俺の日本での知識を思い出す。
白い羽に赤いトサカという形の鳥の生き物はニワトリに似ている。
でも大きさが違う。俺の知るニワトリの大きさはスーパーマーケットで売っているパックくらいの大きさだ。
でもこのニワトリはそのパックが何個も必要なくらい大きいニワトリだ。
俺の身体が動かないのはきっとコイツがニワトリではないニワトリなのだからだと思う。
ニワトリは人を石にするのだからだ。
そういうニワトリをコケトリスという名前であるというのを俺は知っていた。
昔、小学生くらいの時に多分、一年生か二年生くらいの時に、四年生ではなかったと思うくらいの時に知ったのだ。
知ったのはマンガだったはずだ。コイツは恐ろしい。だって凄い強いくて、読んだ時に怖いと思うくらい強いからです。
俺は何でコケトリスに出会ったかっていうと、今日の朝ごはんは玉子をご飯にかけて食べた。
この異世界に来る前の朝の話だが、コケトリスはそれを知っていて怒っていて俺に強く当たっているのである。
なーんちゃって、そんなわけないよなー・・・ちがうよな・・・?
もし違うのじゃないなら、ヤバいじゃない?
コケトリスは俺の頭の中に入ってきて朝ごはんの事を知ったのだから、これから俺が何をするのか知っているじゃないか。
それはエスパーの力だ。コケトリスはエスパーという超能力を持っているに違いない。
嫌だ。そんなコケトリスは絶対に嫌だ。ニワトリにコケにされたくない。
何だよコケって? 知ってる。石に生える奴だ。つまり俺はコケにされて石に生えて、だから石になる。
それが、それこそがコケトリスの石にするという事の真実だったんだよ。
なんだってー!
異世界に来て大発見。家に帰ってSNSに投稿したらバズるくらいの発見。
いいなーバズりてーなー!
タケシみたいにバズって仲間の人気モンになりてーよ。
オカンのシミーズの写真をアップして「清水のシミーズ」って意味わからんから、すげえウケるんだけど?
あとタケシはオカンの写真もアップしろ。多分もっとバズる。俺のバズーカもきっとボオワーってなるぞ。
ああ、駄目だ。そろそろソーマトを見ないと死ねない。
少しずつゆっくりと死に向かっているはずの俺はソーマトを見るのだ。
俺は赤ちゃんの時の事を思い出し、覚えていないので、忘れていた。
仕方ないから昔の事で忘れていない事を思い出す事にする事にする。
それは幼い俺の思い出である、初恋の女の人だった。
黒くテカテカの黒髪が光ったおかっぱ頭で、ドングリの瞳でイチゴの鼻で、それで小さなタラコみたいな色した唇。
チャームポイントはニコッてした時に出る、顔の皺と左目の少し下にある泣きボクロの様なシミなんだ。
そしてもう一人、初恋の次の恋した女の人が思い浮かぶ。
不思議だね。あんなに昔の事がまるで昨日の事の様に思い出せるのだよ。
もう一人の次の初恋の後の恋の人は、短い黒髪のおかっぱ頭の後ろはちょっと長くて髪が、顔に目が二つ、甘栗みたいな大きな眼であまおうみたいな鼻をしてる。
口は色のついていない明太子みたいな色の、その口の奥で光る金歯がチャームポイントだった人。
フミコ先生もアヤコ先生も、元気かなあ。まだ還暦過ぎた辺りの年齢の筈だけど、二人とも俺が死んだら悲しんでくれるだろうか?
でも俺はまだ死にたくはない、まだ生きてやりたい事があるんだ。
考えてみれば、今年の俺は良くない事が起こる年だって知っていたのに。
それなのに外に出てしまったのだ。
でも外に出ないといけない訳があったし、まさか外が異世界になっているなんて思ってもいなかったのだ。
だって俺はこのまま一人になれなかったからだ。
でもその所為で、俺は今少しずつゆっくりと死に向かっていて、こうしてソーマトを見ているのだ。
今年が厄年っていうのは当たっていた。
緊急事態だから外に出るなって知ってたけど、俺も緊急事態だから外に出た。
俺はどこで間違えたのだろうか?
だとしたら、いつ、どこで、どうして、どうやって、間違えたのだろうか?
俺はこのまま少しずつゆっくりと死にいくのだろう。
まだ俺の傍にはコケトリスが地面をツンツンしている。
どっか行けよ。
「クックドゥルールー」
コケトリスが雄叫びを上げた。
うるせえな。
おちおち、こんな場所で死ねないだろうが。
俺はずっと目覚めるのを待っていたチートがちぃっとも目覚めなくてそろそろ飽きてきた。
もうそろそろ一人異世界転移ごっこは終わりであろう。
暇つぶしにいい感じの小説のネタはできた。
それにしても俺をこんな目に合わせたニワトリの飼い主でもビビらせてやろうかと思ったのにな。
誰一人通りかからないのである。
しょうがないから立ち上がった俺。
スウェットが土で汚れてるので土を手で払って最初の目的地まで歩き始める。
ニワトリは相変わらず俺を無視して地面をツンツクツンをしたままだった。
まだ少し目がチカチカしているが随分と陽の光にも慣れてきた。
その所為で放し飼いのニワトリに飛びかかられて驚いて倒れてしまったのだ。
そもそも俺がこんな場所にいるのは親が寝込んで食糧がなかったからだ。
高校を中退して二十数年、それからずっと家に引きこもっていた。
今日、久しぶりに外に出て見た景色はこの二十数年ですっかり変わり果て、本当に異世界に来たようだった。
変わらないのは相変わらず派手な外観の西洋風のお城の形をしたラブホテルくらい。
中学生の頃に同じクラスのDQNの先輩が行った事があるとかイキッて自慢してたな。
自慢と言えば正月に兄貴の家族が夏休みにオーストラリアに行こうと親を誘ってた。
親は俺がいるからって断ってたが、だったら俺も連れて行くよくらい言えないかね。全く。
別におれは自分の人生を諦めたつもりはない。
今は在宅でも金を稼ぐ方法はいくらでもあるのだから。
実は俺は今、小説を書いている。
まだネットには投稿していないが、まあ心配ない。
俺の書いた最高傑作の小説は、いずれ世界を衝撃のラストで驚く事をする小説だからな。
それには今日の経験はきっと小説に生きる。
きっと俺の主人公はコケトリスにカレーに勝利するのだ。
正直、俺の未来は明るいはずなのに、不安もあったりなかったりする。
ネットの住人の陰謀で俺の傑作小説はおとしれられる様な事もあるかもしれなかったりするからだ。
その場合はどうにかして本当に異世界に行ったり来たりできないかなんて考えながら、ブーラブラと行く。
人の少ない町はずれの雑貨店を目指して車道の端を歩くのである。
やがてカーブを曲がろうとした所で俺に向かってトラックが突っ込んできたのだった。
◇◇◇
「それでカーブを曲がったら突然現れたんですか?」
「……はい」
「そしたらトラックは曲がりきれずに、あそこに突っ込んだと」
「……はい」
「フロント部分がぐしゃぐしゃだけど……貴方は大丈夫なの?」
「まあ運が良かったとしか……」
「そうだよね」
「それで様子を見たら、誰の姿もなかったと?」
「そうなんです。影も形も」
「俄かには信じ難いね」
「でも事実なんです」
「あーわかりました。一応念の為に病院で検査を受けてください」
そう言い残し、目撃者から事情を聞いていた警察官は現場を検証する仲間の様子を窺う。
すると私服刑事の一人が警察官の所まで小走りでやって来た。
「どうだった? 有益な情報はあったか?」
「いや、ちょっと難しいですね」
「そうか、まあこんな凄惨な事故を目の前で見たら、落ち着くのは難しいか」
「本当に消えてしまったんでしょうか?」
「トラックには痕跡が残ってるんだってさ」
「疑いようのない事実だという事ですか?」
「そりゃあ、そう考えるしかないだろう」
「だとしても、それならばいったいどこに消えたんです?」
「そんなの俺にもわからんよ。本当にどこに消えたのかね……トラックの運転手は」
終わり
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
語彙力ヤバいのは、わざとです。
続きが読みたい方は……いないと思うので募集しません。
ご意見、ご感想は嬉しいのでお待ちしておリます。
尚、この作品はブクマよりも評価☆1の方を頂ける方が嬉しいです。