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村人と祭事01
つづきです
森林を登り下り、どのくらい経っただろうか。
あの獣達は追ってきてはない。
約束は守られているようだ。
「灯りだ、よかった」
少しずつ、少しずつ近づいていくと灯りが増えていく。
疲れてもつれ気味の歩みが速まる。
ガサガサと草をかき分け、
明るい世界へ飛び込んだ。
民族音楽のような独特の音色。
打楽器の音の塊がシンの耳にダイレクトに届く。
オレンジの日の暖かな光に人々は包まれていた。
木造の建物が並び、各家の前には露店が立ち並ぶ。
家々の中央は広場になっていて、そこでは焚き木から大きな炎が舞っていた。
露店に群がる人々をかき分けながら、その炎に吸い寄せられ手を伸ばして進む。
心から安心できるようなあたたかな火。
手が触れそうなところまで近づくと、
『それ以上焦がれてはいけない』
振り返ると女性が立っていた。
燃えるような太陽のような赤髪、目は黄金に輝き褐色の肌は艶々と白の布に包まれている。
『おや、お前はここの人間どもとは違うようだな』
自信漲るはっきりとした口調。
「えっと、どちら様?」
つづきます