はじまり
よろしくお願い致します。
「マジ乙やわ。」
開口一番どうしたと思ったかもしれない。
こうなった経緯は少し時間をさかのぼる事となる。
12月24日(金)22時頃…
私はクリスマスに浮かれる世間を他所に残業追われていた。
「世間様はクリスマスなのに私は仕事…
しかも残業付きで…」
そう愚痴を零しつつ猛スピードでパソコンに資料を
打ち込み、怒涛の勢いで仕事を終わらせた。
「よし、終わったー!」
ガッツポーズで勢いよく立ち上がり、いそいそと帰宅準備を初める。
ものの数分で準備を終わらせダッシュで電車の駅へと走り出す。
「あと、5分で着けば電車に乗れる!」
そう呟きながら改札を急いで通り抜けエスカレーターを駆け下り、電車へと滑り込んだ。
「あー…間に合ったぁ…疲れた…」
ガタゴトと電車が揺れ、適当に座席に座りケータイゲームで時間を潰すとあっという間に最寄りの駅へとたどり着いた。
「明日は休みだし、何もしたくないし…」
明日の休みをどれだけ怠けられるかを考えながら
晩御飯を漁るべくコンビニへと立ち寄った。
「ゲームのお供のポテチにイカみりん…あとは、明日のお昼のスパゲティに今日の夜ご飯に牛丼やな。」
そう呟きながらカゴの中にポイポイと商品を入れていく。
「あ、デザートも欲しいな…プリンともっちりどら焼き…迷うっ!」
3分ほど悩み抜いた後に結局両方をカゴの中に入れ、
レジへと向かった。
「2160円になりますー。」
…結構いったなぁ。。。もう少し自重すべきだったか…
そう思いつつお金を渡しレジを後にした。
さて、後は帰るだけ。
家の鍵を開け、ドアを開いた瞬間強い光が辺りを包んだ。
「…は?」
思考が停止しかけたが、何とか脳みその使える部分を振り絞り考えをまとめる
…そうだ、なんかきっと部屋とか間違えたに違いない
そう判断し、後ろを振り向いた瞬間透き通るような声で話しかけられた。
「あら、人間?」
振り返ると、見たことも無いような絶世の美女がいた。
「えっと…どちら様?」
表すなら滝汗状態の私はかろうじて捻り出した言葉を美女へ投げかけた。
「あらあら、名乗る時は自分から名乗るものよー。」
頬に手を当てながら絶世のお姉さんはニコニコとこちらを見つめている。
「あ、すみません。私は雨宮カケルです。」
「そう、カケルちゃんって言うのねー。
私は、ノア。世界を管理しているのー。それで、カケルちゃんはどうしてここにいるのー?」
「どうしてって言われても…家のドア開けたらここだったんですけど…。」
「えっ。」
「…えっ。」
いや、突然お姉さんお顔真っ青になったけど何か変なこと言ったかな…
とりあえず何もわからないし反応を待ってみよう…
「家のドアをくぐった時強く光ったかしらー?」
そう言ってお姉さんはすごい勢いで色々と質問をしてきた。
正直に答えた私を他所にお姉さんはorz状態で沈んでいる
「すみません、追いつかないんですけど私帰りたいんですけど。」
「…帰れないわ。」
聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「えっ、はい?」
「帰れないの。でも、出来るだけのことはするわ。」
「いやいや、意味がわからないです。」
「貴方は死んだのよ。」
お姉さんから突拍子もないことを告げられますます意味がわからなくなったがとりあえず状況整理のために理由と今の状況を聞いてみた
「カケルちゃんが言っていた光というのは人間が住んでいる世界と私たち世界を管理する者が住んでいる世界に繋がった瞬間に起こる現象なの。カケルちゃんの世界でわかりやすく言うと召喚…が1番しっくり来るかしらー。」
「で、召喚されたのになんで私が死んだとか言われたんですか?私ここにいますよ?」
「そこが問題なのだけど、私たち管理するものの世界は肉体がないのー。だからくぐった瞬間カケルちゃんはきっとものと世界では死んでるわー。」
「…」
頭が真っ白になった。
家族は既に他界しているためその辺の心配はないが
私の残りの人生が強制終了したのだ。
喪失感が半端ない
「私で出来ることならなんでもするわー。だから、そんなに気を落とさないでー。」
いやいや、諸悪の根源が、なに言うとんねん…
「マジ乙やわ。」