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30/53

連星(3)

今回も改稿を加えました。

30、連星と均衡


 ……寒い。

 どれくらい気を失っていたのだろう。

 辺りは薄暗くて木箱などで囲まれた天幕の中だ。ウェイバーの剣にまだ血が滴っているところを見ると、どうやら斬られてから殆ど時間は経っていないらしい。

 先程までいたファントムはいつのまにかいなくなり、ウェイバーは自らの剣についた血を眺めてブツブツと何かを呟いていた。


「ゆらぁり……解せぬ。……何故、万物を絶つはずの我が剣が止まった?」

「シュージ王! しっかりしろ!」


 敵兵を振り切り、アダスが俺に走り寄った。アダスに抱きかかえられることで消えかけていた意識が戻る。

 うっすらと霧がかかった意識だったが、どうやら俺はまだ生きているらしい。

 右わき腹の傷は深い。だが、幸運なことにウェイバーの刃は俺の腹を数センチ斬るだけにとどまったのだ。


「が……はっ……はっは」


 痛みで浅い呼吸を繰り返す俺に、アダスは服の袖をちぎりなんとか腹の出血を抑えようとしている。

 この瞬間、俺もアダスも無防備でウェイバーにとっては命を奪う絶好のチャンスなのだが、


「……剣先で脊椎を斬るはずだった間合い、振ってからの時間……明らかに私の距離が狂わされている。……これが召喚王の魔法の秘密か? 位置と……距離を乱す魔法?」 


 相変わらず自分の剣を見たまま、周囲を無視して呟き続けるウェイバー。周りの兵たちも司令官の様子に遠慮しているようで迂闊に動いてはこなかった。


「くぅ! ……ぐぅぅ」


 俺はアダスに応急処置を任せ、血と一緒に流れる意識をなんとか繋ぎとめていた。

 だが突然、胴体の筋肉という筋肉が痙攣を起こし、力を入れてプルプルと震えたまま固まる。そのまま、俺の手足と首以外一切の筋肉が動かなくなる。例えるなら、夜中に足が攣った時のような感覚だ。


「……血は止まりそうだ。あとは、王を連れ出さなければ――」

「ぎゃーーーっ!!」


 アダスが呟いたその時、銃声がして天幕の入り口に陣取っていた兵達が悲鳴を上げる。


「……ゆらぁり。何事だ?」


 突然の出来事に、それまで放心していたウェイバーが顔を上げる。

 倒れた兵士を踏み越えて天幕に入ってきたのは、銃を構えた二人の男だった。


「おうおうおうおう!! アンキシェッタのお気に入りを迎えに来たら、敵陣で腹から真っ二つになりそーな餓鬼がいるじゃねーか! なあロトン、普通、女が気に入るのは胴体がちゃんとくっついてる男だよな?」

「馬鹿かラスティ!? こいつはたった今ウェイバーの野郎に綺麗に捌かれたんだぞ? つまりさっきまでは2等分男じゃなかったってことだ!」


 怪我に響くどころか、鼓膜を破りそうなほどの大音響で叫びあう。

 乱入してきたのは、燃えるような赤毛をひげともども炎の様に伸ばした男が、全く同じ顔で二人……双子だ。

 双子は筋骨隆々の体の上に亀の甲羅を適当に吊るしたような大雑把な竜皮鎧を着こんで、両手に一丁ずつ、背中に2丁腰に一丁と二人で10丁もの火縄銃を装備している。


「ゆらり……双子の赤獅子……貴様らが赤獅子の団長か!?」

「ゆらり……そうだ、俺が団長で兄貴のラスティで」

「ゆらり……俺も兄貴で副団長のロトンだ!」


 ウェイバーのボソボソとした口調を真似て自己紹介をする二人。自己紹介によるとどっちも兄になってしまうが……自分の冗談がよっぽど気に入ったのか、自己紹介の後二人してガッハッハと豪快に笑った。

 ウェイバーはそれが癇に障ったようで


「真似をするな。……ゆらり、しかし包囲を受けている貴様らがここに来れたということは、親父殿の言っていたクリクスの城の無数の隠し通路というのは本当のようだな」

「おうおうおうおう! そうそれ、隠し通路よ! これがある限り俺っ様達は出入り自在! てめーらの糞みたいな軍隊でクリクスを包囲なんてしても無駄無駄無駄っつーことよ!」


(隠し……通路?)


 というかラスティとロトンは見た目どころか口調もそっくりなのでさっき自己紹介されたばかりなのにもう見分けがつかない。そういえば以前アンキシェッタが団長について話てくれたとき、二人の区別があいまいだったのを思い出した。

 天幕の外では双子の他にも襲撃している部隊がいるらしく、レッタいる方向以外にもあちこちで赤獅子騎士の火縄銃の銃声が鳴り響いていた。


「がっはっはっは! やってるやってる! なあウェイバーさんよぉ、俺ぁお前を穴だらけにした後この糞餓鬼を持って帰んなきゃいけないんだがよぉ、こいつが死んじまう前に持って帰るにはどうしたらいいと思う?」

「馬鹿かロトン! せっかく切れ目が入ってるんだから、二つにして持って帰って、向こうでくっつけりゃいいだろうが!」

「殺す気か!」


 思わず最後の力を振り絞って突っ込んだ。かと思うと、ぷつりと糸が切れ体から力が抜けていく。"ああ、死ぬかも"と本気で思った。


「ゆらり……馬鹿には付き合いきれん。今日のところは引いてやる。だが、この程度の事。貴様らの寿命が2、3日延びただけだということを肝に銘じておけ」


 クルリと振り返り、天幕の壁をスパスパと切り裂き逃げ始めるウェイバー。双子はすかさず銃を両手に構えてウェイバーの背に向かって乱射したが、


「ゆらり」


 銃の照準が自分に向けられるや否や、電光のごとき速さで振り返り腰の剣を抜き放つ。

 4丁の火縄銃が煙を噴出すのと同時に剣がすさまじい速さで閃く。弾丸は全て、ウェイバーの剣によって防がれてしまった。

 だが、足を止めたその瞬間アダスがウェイバーに飛び掛る。

 アダスの剣は鋭く、十分な速度を持っていたが、ウェイバーの体捌きによって鎧の下の服を僅かに切り裂く程度で終わった。そのまま、ウェイバーの逃走を許してしまった。


「ヒュ~! 見たか、今の? 銃弾を斬るなんざ、剣も捨てたもんじゃねえな」

「おい、それより餓鬼の顔が青くなってきたぜ。いい加減やばいんじゃねーか? ……しっかしこんなの担いだら銃が血で濡れそうだな…………なあ、青獅子の。こいつ、本当に2等分したら駄目なのか?」

「……俺が運ぼう」


 珍しく、少し焦ったようなアダスの声を聞きながら、俺は今度こそ意識を失った。


***


――つよく……もっとつよく!


 思い出すのは最後に見たウェイバーの剣撃。4つの銃弾を弾き返したウェイバーのモーションを、まるで3Dのシミュレーションプログラムをいじっているかのように何度も、あらゆる角度で繰り返す。


――もっと! もっともっともっとつよく!


 足の運び、手首の角度。剣を扱うためのあらゆる技術を、俺以外の誰かが勝手に演算して自分の中に組み込もうとする。

 ……気持ち悪い。頭の中の、自分の記憶を勝手に何度も見られて、剣術の研究に使われているのだ。一体誰がこんなことを……


「う、うぁ……ううぅ……」

「……シュージ様、シュージ様? 大丈夫ですか?」


 肩を掴まれ、強く揺さぶられる。

 目を覚ますと、俺はベッドで寝ていて、傍にはアンキシェッタが椅子に座っていた。

 周囲はかなり薄暗く、まるで俺の周囲にだけ明かりが寄り付かないかのようだ。


「アン……キシェッタ?」

「そうです! アンキシェッタですよぅ」

「ここは……どこ? アダスは? ――――ッ! 痛たたたっ!」

「あ! 寝ていてください! 起き上がったら駄目です」


 体を起こそうとするが、上手くいかない。逆に変に筋肉を動かそうとしたため、右わき腹の傷がズキズキと痛んだ。

 唯一自由になる首が動いて、辺りを見回した。俺がいるのはベッドと鏡のついた机、それに椅子しかない牢屋のような無骨な部屋。レオスで最初に召喚された東の塔を彷彿とさせる石畳の部屋だった。


「ここは……?」

「クリクスの城内にある客室です。シュージ様、うちの団長に助けられましたねー。珍しくあの二人が人の役に立ちました」


 団長……。あの豪快な赤毛の双子がそうなのか。


「敵は? ウェイバーはどうなったんだ?」

「ティアちゃんのお兄さんは兵をまとめて一時撤退した後、陣を立て直しています。すぐには動けませんが、また攻めてくるでしょうね」

「そうか……」


 よかった。これでしばらくは安全だ。

 俺は安堵のため息をつく。


(……ん? あれ?)


「他の二人は無事?」

「ええ、レッタちゃん達は罠にかかってものすごい数の兵士に囲まれたらしいですけど、無傷で撃退しちゃいました。それより…………ごめんなさい、シュージ様。私の陽動、うまくいかなくてこんなことに……」

「アンのせいじゃないよ。俺こそ、ウェイバーを仕留められなかった」


 俺の手を握って本当に申し訳なさそうにするアンに対して、なんだか俺の謝罪には感情がこもっていない。

 申し訳ないと思っているのは間違い無いのに、心とは裏腹にどうしても言葉に感情を込めることができなかった。

 というか自分の言葉自体、自分で喋っていると言う実感が無い。


「そんな……仕方ないですよぅ。シュージ様はまだファントムや魔法を使い始めて日が浅いから…………あ! でも、あの止血は見事でした! 気絶しても背筋や腹筋で血管を締め付け続けるなんて、人間技じゃないです! あれが無かったら間違いなく死んでましたね」


(止血? 背筋に腹筋?)

 まったく記憶に無い。というか俺の意識は本当にギリギリで、あの時にそんな新技を試す余裕は無かったはずだ。

 が、混乱とは裏腹に俺の口から出た言葉はとんでもなくキザな台詞だった。

 

「ああ、どうしても生きてアンに会いたかったからな。無我夢中だった」


 アンキシェッタも予想していなかった俺の言葉に、触れている手がカァッと熱くなる。

 そんな様子を確認すると、それまでベッドで寝ていた状態からピクリとも動かなかった俺の体が持ち上がり、同じ目線でまっすぐアン見つめた。


「わ、私に……会いたくて?」

「ああ、そうだ。どうしても、君にもう一度会って俺の気持ちを伝えたかった」

「キモチ……? シュージ様の、気持ち!? そ、そそそそそそそそそそそんな! わた、私、まだ心の準備が!」


 アンの混乱を余所に、沈黙と一緒に何故かいい雰囲気が俺達の間に流れ始める。

 薄暗い、ランプの明かりで照らされるアンの潤んだ黄茶色の瞳と薄い桜色の唇。彼女はムードに準じて白い頬を薔薇のように染めていたが、俺の体は精神的な興奮にも関わらず何の反応も示していなかった。

 左手がアンの卵のように白くてすべすべした顎を掴む。


「俺、アンが好きだ」

「そんな、私は、まだ……」

「アンが欲しいんだ。もし、嫌じゃなければ、今は少しだけ、俺に任せて……」

「………………………………いいですよ、シュージ様」


 アンが目を瞑って俺に身を任せた。

 お許しは出た。顎を支えたまま、右手で短い灰青の髪を撫でながらゆっくりと顔を近づける


「ん…………」


 お互いの唇を軽く押し付けるソフトキス。アンの唇はティアより薄いが、すべすべして柔らかく、薔薇の花の香りがする。俺の数センチ先には目を瞑ったままのアンの顔。気分を盛り上げるため慎重に、本当に慎重にキスを続ける。

 そのまま――体が俺の意思を離れたまま、より深いキスをしようとしたが、始めて数秒だと言うのに、アンが俺の胸を押しのけ距離を離してキスを中断させた。


「どうしたんだ?」

「…………あなたは誰ですか?」

「何を言ってるんだ、俺はシュー」

「違います。今のキスは、女の子のキス。もしくは女の子のことを知り尽くしたキスです。少なくとも、シュージ様にできるものではありません」

「………………」


 そうだ、先ほどからの違和感の正体。

 怪我をしているから分かりづらかったが、俺の体は今、俺の物ではない。

 アンキシェッタは少し迷った後、袖で唇を拭うとキッと俺の目を睨み付けた。


「あなたはあの時、私がレオスで会ったシュージ様のファントムですね?」

「………………」

「今回、シュージ様が死にかけたおかげで出て来た。そうでしょう?」

「………………フフッ」


 自分の唇から、自分の物ではない笑いが漏れる。


「体を使う目的は何ですか? シュージ様と敵対しているなら何故、テルマ村で私を助けたり、こんな風に私を……その……篭絡しようとしたり……」

『フフッ……フフフフフ………………アハハハハハハッ! まさか私の迫真の演技がこんな風にバレるなんてね! 経験が浅いのは、こいつも私も一緒ってことかー』


 突然、俺の喉から女の声が漏れ始めた。口調も女だが、オカマ声ではない。

 まるで変声機か腹話術でも使っているような、俺とはまるで違う少女の声がアンキシェッタと喋っていた。


『お察しの通り、私はこいつよ。でも、敵対してるわけじゃないわ。体を奪ったのは、そうしないと生き残れないから』


 俺のファントムは意外にもあっさり自分の正体を認めた。

 以前の、黒くてモヤモヤした姿から喋るならもっと内気なイメージがあったのだが、その声と性格はカラッと明るい。正直、俺とは全く別人のようだ。


『本当なら元の世界に帰るまでこいつを押し込めておきたかったんだけど、ちょっと事情があってね。今回はあなた達にあんまり私を危険な目に合わせるなって脅しに来たの』

「お、脅し? そ、それじゃ……なんで、私にあんなこと……」

『あ~~~、さっきのね。あれはね、あなたとエッチしたかったから』


 ファントムが人差し指を自分の唇にあてながら言った。

 仕草も声色も可愛いかも知れないが体は男。正直見るほうの立場じゃなくて良かった。


「なっ……! エ、エ、エ、エ、エッチ!?」


 ファントムの言葉に、頬がほんのり染まるくらいだったアンの顔がボンッ!と耳まで赤くなる。

 俺も心中では"そこまでするつもりだったのか"と驚いていたが、体は自由にならず、一切のリアクションをとることはできない。 


『でも駄目ね。女の私じゃあ、肝心な部分が動かせないもの。私って、こいつが使わない女性としての脳部分を使ってるんだけど、おかげで体の使い方とか考え方とか、食い違って大変なのよね~』

「でも、女の人ならなんで、私と、その……」


 やや怯みながらアンが問う。

 ファントムは明らかにその反応を楽しんでいるようで、ニタリと口角を吊り上げながら


『私は女だけど、こいつの本能でもあるの。この体を守るのと同様に、こいつの欲求を解消してやらなくちゃいけないし、こいつの遺伝子を残してやる義務がある。こいつってヘタレだから、向こうではそういうのまっっっっっっっっったく無かったんだけど、こっちに来てから私は調子良いし、こいつはあなた達にベッタリだし、脈がありそうならあなたに子供生んでもらおうかなーって思ってさ」

「こ、こどっ、子供!? 子供って赤ん坊ですか!? ちっちゃくて、可愛くて、でも産むのが大変って言われてるあの子供!?」


 少し落ち着いて血色が元に戻りかけていたアンだったが、"子供"という単語を聞きまたパニックに陥る。しかも、今度は鼻から赤い線が二本。


『……鼻血出てるわよ。それと何? やっぱり子供に興味ある? なんならもう一回試してみよっか?』


 そこでようやく自分の状態に気付いたアンキシェッタ。慣れた手つきでスカートのポケットからハンカチを取り出すと血を拭ってから鼻に詰めた。

 顔を上げて首の後ろをトントンと叩く。

 どうやらよく鼻血を出す体質らしい。


「グジュッ……………………いえ、それはもういいです。それより、私だけでなくレッタちゃんとティアちゃんとも会ってください。私達、あなたに聞きたいことがいっぱいあるんです」

『二人追加!? さすがの私でもいきなり4Pはちょっと……』


 今アンが断るまで若干間があったような……いやそれより、もっと恐ろしいことに気がついた。

 話言葉だけを聞いていると、俺のファントムは飄々として掴み所の無い存在のように聞こえるが、今俺の脳裏を勝手によぎっているのはめくるめく桃色の妄想。つまり先ほどの自分の発言を真剣に捉えているわけで。


「……よんぴー? とにかく、すぐ二人を呼んできますから待っていてくださいね」

『あ! 待って、アン!』


 言葉の意味を汲み取れないまま、部屋を出て行こうとするアンキシェッタ。

 ファントムは咄嗟にその手を掴んだ。


『怪我を治すのに栄養がいるの! なんでもいいからブドウ糖、水分、塩分、鉄分に蛋白質――』

葡萄ぶどうと水と塩と鉄……? ワインと……錆びた鉄……とか?」


 "やっぱりシュージ様の味覚はわからないなぁ"なんて変な風に納得しようとするアンキシェッタ。

 そういえばここは中世真っ盛りの世界で栄養学はそれほど発達していないんだった。

 ファントムはたじろぎ、俺の頭の中の少ない料理のレパートリーから必死に該当する物を引っ張り出す。


『あー、その、お粥に大豆かほうれん草を入れた物を食べたいの。お粥は薄めで』

「はれ? そ、そんな簡単な物でいいんですか? でも、それならなんとかなりそうですね。二人を連れてくるのと一緒に私が部屋までお持ちします」


 と言ってアンキシェッタは部屋を出て行った。

 ちなみにトルゴレオのお粥とはお米ではなく燕麦を使ったポリッジのことだが、お米のお粥と同じく水分、塩分と穀類のブドウ糖を大量に含む極めて消化効率の良い食べ物だ。それに鉄分やミネラルの豊富な大豆やほうれん草を加えれば確かに怪我に効果があるかもしれない。

 けど育ち盛りに粥と豆の病人食なんていくらなんでも味気無さ過ぎる。鉄分やタンパク質を取りたいなら肉でいいじゃないか。

 というか肉の方がいい。肉食いたい肉。

 そんなことを強く念じていると、


『うっさい。消化する方の身にもなりなさい』


 なんて風に怒られた。

 そこで初めて、こいつと意思疎通ができることに気がつく。


『意志疎通ってゆーか、齟齬の発生しない以心伝心ね。 同じ言語野を使ってるんだから当たり前なんだけどさ』


 お前には色々聞きたいことがあるんだけど……


『却下。私は保護者としてあの三人と話をしに出てきたの。そんなに気になるならあの三人みたいに意志でファントムを従えればいいじゃない。もっとも、私はあんな人形共とは格が違うんだけどね』


 ……俺の分身だと言うのに、この高慢な物言いと言葉の端々に滲み出るサドっ気オーラ。

 なんとなく、俺が彼女達に逆らえない理由が分かった気がした。







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