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魔法少女は少女を目指した  作者: あさままさA
⬛第二章 二人目の魔法少女
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第五話「魔法少女の契約とマナ」

「魔女は魔法少女にマナ回収を代行させたいんだよね? じゃあ、複数の魔法少女を生み出す意味って簡単に言えば効率なの?」


「そうだな。真面目な魔女なんかは複数の女の子に魔法少女の力を与えても管理できる。私には正直無理だな。政宗で手一杯だ」


 メリッサはテレビを点けるとリモコンで順々にチャンネルを替え、とにかくニュース番組を避けながら語った。


 とはいえ、この時間帯はワイドショーばかりでメリッサの好きなバラエティ番組は放送していない。


「でもな、魔法少女一人につき一地域を与えないと意味がないんだ。例えばこの街。毎日政宗が活動するだけでマナ回収は十分に行えていたと思う」


「確かにそうだね。寧ろ、マナの反応がないか探して回ってるくらいだし」


「それはどこの地域でもだいたい同じでな。例えば魔法少女が四人いれば、四地域に一人ずつ配置してやらないと意味がない。ただ、どの魔女も欲を出して魔法少女を沢山生むからな」


「どこかで魔法少女達の担当地域が被っちゃうんだね」


 政宗は昨日対峙したマジカル☆ローズを思い返してみる。


(随分と自信たっぷりだったし、不慣れな感じがなかった。他所で魔法少女をやってて、何かの理由でこっちへ来たのかな? でも、ローズさんにも与えられた街があったんじゃないの?)


 疑問には思うも、本人に聞かなければ答えが出ないので政宗は思考を打ち切る。


「でも、そんなに効率重視で回収しないといけないほど魔法の国のエネルギー問題って申告なの?」


「まぁ、それなりにピンチだな。まず、魔女はマナを消費して魔法を使う。そして、この世界は大気にマナがない。逆に言えば魔法の国の大気中にはマナがあるんだが……こいつを魔女が数千という時の中で消費し、もうすぐ使い果たしかけてるんだ」


「なんかこっちのエネルギー問題と似てるような気がするね。石油とかそういうの」


 政宗は人差し指を下唇に触れさせ、斜め上を見ながら言った。


「似てるかも知れんな。まぁ、我々魔女の体にもマナはあって、それを消費して魔法は使える。だが、無尽蔵にあるわけじゃない。何でもかんでもマナでこなす魔法の国では自前のマナで賄って生活するには無理があるんだ」


「自転車を漕げば体力を電気に出来るけど、それじゃあ効率が悪いって感じなのかな」


「ふむ。なかなか政宗はこちらの世界基準に翻訳するのが上手いな。ご褒美に冷蔵庫の飲み物をどれでも飲んでいいぞ」


「いや、ビールばっかりじゃない」


「あと数年すればお前と一緒に飲めるんだがなぁ」


 心底残念そうに語り、ビールを口にするメリッサ。


「ちなみにマナ回収は政宗、お前自身にも実は関係がある。政宗の願いは膨大なマナで行使される魔法だ。だから、政宗が目標としているマナ量は他の魔法少女より多いかもしれないな」


「そうなの!? じゃあ、ボクは自分に使う分のマナも稼いでたんだ?」


「そのとおり。回収したマナは私とお前で分けるんだ」


 自分が集めているマナを今までは何となく不思議なエネルギーとして捉えていた政宗。


 理解が深まり感心した表情で「へぇー」と呟き、考える。


(つまり、メリッサとしてはボクの願いを叶える分のマナは自分の利益にならないんだよね? なら、自分で稼いでくるとはいえメリッサからすればボクって面倒な契約者じゃない?)


 もしも「女の子になる」という巨大な魔法を望む者でなければ仕事を完了しているくらいのマナを、政宗はすでに集めている。


 それは即ち、他の人間が魔法少女だったらその子は卒業となり、新しい子にこの街での回収を委託できていたということ。


 おそらく、他の魔女なら政宗を魔法少女にはしない。

 取り分が多く、契約完了までの期間が長いからだ。


 ――だが、メリッサは政宗の悩みと境遇に同情し契約した過去がある。


「とりあえず、マナの仕組みや魔法少女を複数抱える問題は分かったよ。つまり、ボクにとっても他所の魔法少女がこの街にやってくるって、あんまり良い状況じゃないよね?」


「まぁ、確かにそうだな。普通なら相手の魔女に文句を言いに行ったり、その魔法少女に妨害魔法を行使するところ。……なのだが、私はそういうのが絶望的に面倒くさいんだ」


「……め、面倒くさい!?」


「あぁ、面倒くさいのだ」


 メリッサの雑な理由に表情を引きつらせる政宗。


「……じゃあ、あの魔法少女とボクはどう向き合っていけばいいのかな?」


「それは政宗に任せる。二人魔法少女がいればマナの回収効率が悪くなり、願いの成就は遅れるだろう。それが嫌なら私も行動するが――その魔法少女にこの街での活動を許すならそれでも構わない。何事も平和が一番だよ」


 テレビへ視線を注ぐメリッサの横顔を見つめ、政宗は呆気に取られ――しかし、不安そうな表情を浮かべる。


「もしかしてあの子と……友達になれって言ってる?」


「気が進まないか? まぁ、お前は今まで友達を作らないようにしていたしなぁ。でも、ちょっと考えてみたらどうだ?」


「……うん、そうだね。とりあえず、あの魔法少女とまた会う機会はあると思うし、様子を見てみるよ」


「そうしなさい。私としても行動を起こさなければならないのは面倒だし」


 願いが叶う時は少しずれ込むかも知れないという可能性を踏まえ、政宗はローズと仲良くなる道を前向きに考える。


 気は進まないが、嫌なわけじゃない。少し不安なだけ。


 だから、政宗は結人にも相談してみようと思った。


(あれだけ魔法少女が好きな結人くんだし、ローズさんに関しても何かしら考えてるかも。もしかしたら何か良い意見がもらえるんじゃないかな?)


 ――と、そこで政宗は気付く。


「あ、そうだ。最近ね、ボクがリリィの姿で助けた子にお礼を言われたんだ。何年も前に助けたのを覚えてるって凄くない?」


「へぇ……大したものだなぁ。確かに目撃された魔法少女は意識し続ければ覚えていられるが……。四六時中考えているようなやつでないと普通は忘れてしまうぞ?」


「まさに四六時中考えてるような人なんだよ。ずっとボクにお礼言いたくて忘れずにいてくれたみたい」


 手遊びをして恥ずかしそうに頬を赤らめる政宗。

 メリッサは優しい笑みを浮かべる。


「分かった。そいつ男だな? そしておそらく政宗、お前が好きなんだ」


「えぇ!? なんで分かったの?」


「意外とさっきの説明だけで分かるな。いやぁ、政宗にもようやく春が来たか! しかし、私はお前の保護者みたいなもんだからな。どんな男か確かめたくなる」


「何を言ってるの、そんなんじゃないから! ……ただ、リリィのことが好きって言われたのは事実だけど」


 恥ずかしそうに体をもじもじとさせて視線を外す政宗と、下世話な笑みを浮かべるメリッサ。


 姉妹のようで仲睦まじい――これも魔女と魔法少女の一つの関係性だった。

 ※分かりにくいかも知れないので補足。


 マナは体力のようなもので一日に使える量は限られており、休憩したり眠れば回復します。

 そして過度な運動のように体力を越えて行使すれば疲れ果ててしまうでしょう。


 マナ回収で人の感情を回収しているように、このマナの正体は精神エネルギー。

 肉体的リソースの体力に対し、精神的リソースのマナという感じでしょうか。


 ……何だかややこしくなってきましたが、要はRPGに例えると魔女にはMPって概念があるけどゲージを使いきると魔法が使えないよって感じです。


 本文に書けよ、って思われるかも知れませんが説明過多な可能性もあったので。

 もし本文にこういった説明があった方がいいと思われたら教えて下さい。

 本文に組み込んでみたいと思います!

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