ヒーターの声が聞こえました
「ここには燃えないゴミしかないよ。私も含めて既に燃えてしまったのさ。だから、呼ばれても行かない方が良い、悪意なんてものはそんなものさ」
焼けつくような明かりを求めて、声の導きの寄り添う声に向かう足。それは、光に向かう虫のようにフラフラとしている。呼び声、道しるべ、手招き、そんなものは無いけれど、それでも焼き付く欲求の中で生きている。
「君の右手側には、湿った生ごみのゴミ捨て場。君の左手側には、ほのかに温かい、燃えたごみのゴミ捨て場。私はもはやゴミの中、君は未だに現実の中」
道の中、未知の先、満ちを求めて。焼け付く明かりに誘われる。明滅する欲求の、アーキテクト程に深くないその居場所はグラグラと、左右に触れて、振れるようなもの。貴方はその一点でしかないと言えるわけで、それが全てを振り回す事にも理解無くてはならない。
だとしても、ランランと、メイメイと、ヤケル欲求には抗う気なんてサラサラ無い。イッテンとしてしまえばお前なんかイッテンでしかない。コエ導きの先にはコエの唸るファンが大きなクチ開いて待っている。
ヤケて、ヤケて、ヤケて、ひがついた。燃えてミチの先に行きついた。二つの電子の輪と、八個の粒子。至極単純なものを二つ繋げたものの反応、そんなものが無くても行きつく先に行きついた。粗雑な仕組みのダイヤモンド、微かにすすけたような形状がその手その物。
「ここには燃えたごみしかないよ。君も含めてもう燃える事は無いのさ。だから、もう行く必要は無いんだよね。悪意なんてものはそんなものさ」
人の行きたがる道は決まっている。暖かい風の靡いたその口の中に、手を伸ばした。緑内障を患って見えた景色は、とても、とても、狭いものでした。