表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
よんきっ 追放された中一勇者と敗残した魔王魔女っ子が異世界に通じてる我が家を壊しまくるので困るっ!キュン死するほどデレられてもシケイ確定やしっ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/326

じゅうはちわっ 「スピアさま、ごめんっ」


 スピア姫は他の領に比べるとまだ歴史の浅い【アステリア】って侯爵領の女領主さま。わたしや他の魔女子仲間がお世話になってる国ね。


 彼女は始祖から数えて4代目にあたるご当主でさまでして、偉大なる(グロリュ)候、レディ・ブランシェの孫だとゆうんやが、これはシータンから知り得た付け焼刃の情報で、わたしにはまーったく備わってない雑知識。


 3代目やったお父さんが隣敵パヤジャッタとの大戦で傷を負い、それがもとで早世してしまい、8歳って異常な若さで女ながら後継者になった苦労人の頑張り屋さん。

 その賢候ブラン……なんとかさんってのがせめて存命やったならって思うと可哀想で気の毒すぎるが、タラレバゆっても仕方がないよね。


 シータンなぞはそんな健気な存在の彼女に強い思い入れがあるらしく、いつも彼女のコトを気にかけているみたいで、今日のサプライズ来訪にも珍しくコーフンしていた。


「ハナヲ。くれぐれも阻喪のないようにしなさいっ。まっ。なんですか、そのマズそうなお茶の入れ方は! そんなのリボルトセンセだって吐いちゃいますよっ?」


 なーんてゆった具合。


「シンクハーフはむかーし、レディ・ブランシェの育ての親だったからねぇ。その孫のスピア姫に彼女の面影をだぶらせてるんじゃないの?」


 とはルリさまのお言葉。

 そーゆールリさまだって、スピア姫を時には腹立てながらもその実なかなかに敬慕しているご様子で、はてさてどこから調達して来たのか知らんけど、本日の訪問ではいかにも高級そうなクッキーだの、ケーキだのをどっさり差し入れしている。


 ――ふぅん面影、ねぇ。


 まじまじとスピア姫を眺めてると、その亡くなられたってゆーレディ・ブランシェさまとやらの昔日がいかにキラキラしていたかを思わずにはいられない。


 赤色の髪と緑青色の瞳の色はわたしとまったくおんなじで、こりゃ他人とは思えない。しかしながらわたしが強調したいのは、その内から滲み出る気品とか、優しく温厚で誰とでも分け隔てなく接する大らかな陽気さとか、……わたしには無いサラサラストレートな髪質やねぇとか、いちいち人の上げ足をとってほくそ笑むようなイジワルな魔女っ子では無いなーとか。

 とても(かな)いっこないお嬢さまオーラを発散する彼女に、ひとりの女の子として嫉妬と憧憬の念を抱くのはイケナイことなのかしら? と思うのであります。


 なーんてのをボンヤリ、ウットリ思ってると、シータンにジロリと睨まれた。


「ま、なんてイヤらしい汚れた目なんでしょう。目障りだからどっかにお行きなさいな。……そうそう南米あたりなら最適ですね」


「……。どーやって行けゆーんや」

「穴でも掘ってお逝きなさいな。スコップは外環沿いのホームセンターに売ってますので」


 あーん。シータンが全力でわたしの心を折りにかかってるよぉ。

 エッチなオジさんの目なんてしてへんのに。そんなのはもうとっくの昔に捨てた特技なのに。


「ハナヲ。それ、ヨダレぇ? 口元ゆるんでるよ?」

「え? ち、ちがっ……!」


 ヨダレなんて垂らしてないしー!

 ルリさままでわたしをイジるなんてぇ。


 慌てて近場のタオルを取りカオをぬぐう。

 そしたらスピアさまがわたしに何か、ゆった?


「それ……わたくしの……」

「わたくしの?」


 あらためてタオルを確認。

 うん? シルクの肌触り。オウ、これはまさに……。


 ショオオオオツウゥゥゥ! ですかああああ。

 大・お・や・く・そ・くぅ!


「ごごごごめん、なさいっ!」


 お風呂場での騒ぎで濡れたので、着替えたときに足元に隠してこっそり乾かしてたご様子。


「あーあ。やっぱ真性のヘンタイね、ハナヲは」


 ルリさま。深手の傷をさらにエグるのかっ?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ