表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
よんきっ 追放された中一勇者と敗残した魔王魔女っ子が異世界に通じてる我が家を壊しまくるので困るっ!キュン死するほどデレられてもシケイ確定やしっ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/326

きゅうわっ 「カレ、バイトするってさ」


 もう春なのに、真夜中の公園はタマシイが凍えそうなほど寒っぽい。

 桜の花はとうに散り修め、電灯の光が、地に払え去りつつある花びらの残滓をわびしく浮かび上がらせている。ああ、余計に冷え冷えする。


 ベンチで肩を落とす少年が独り、そのうら寂しい風景に一筆を添えている。ヤレヤレ……としか()いようが無いほどの憔悴図だ。


 ここはややおどけ気味に行くか。


「――そこの少年。こんな時間に何をしているんだい?」

「……ハナヲちゃん。探しに来てくれたんだ」


「そりゃ……。ド夜中に家を飛び出されちゃ、フツー心配するやろ」

「だよな。だって僕いまは中坊だもんな。こんな時間にウロウロしてちゃヘンだよな」


 タメ息交じりの言葉には自嘲の念が籠っていた。


「はい、コレ。よかったら飲んで」

「あちっ? 粒コーンスープ? ヘンなの! でもアリガトウ」


 そこの自販機で買ったんやが、ボタン上下押し間違えたんデス。まぁ許したも。――ちなみにわたしは()()()()。これはわたしの好み。


「惟人の悩みは何となく分かるよ。要はお金の心配してんでしょ?」

「え? ま、そりゃ……。だってビンボーは辛いぜ? ハナヲちゃんは本当の貧乏を知らないから悩まないんだよ。勉強も大事だけど僕はどちらかって言うと働きたいんだよね。それがよりによって中学生に転生って。働きたくても働けないってホント不便だ」


 ビンボー? それならかくゆうわたしだって年中無休で悩んでるさ。


 うーん。そうはゆうけどねぇ。

 この令和の世、働いてる日本の中学生なんていったい何人いるのやら。


「だいじょうぶや、お金の心配やったら。リボルトセンセが仕送りしてくれてるし」

「待って。……それ、異世界(あっち)のお金でしょ? 換金できないじゃん」


 う! スルドイ。

 確かに正直、アステリアの硬貨をどう日本円に換えようかと鋭意思案中なのである。


「あ、でも金貨か銀貨ならどうにかお金に出来ると思うし。とにかく子供はそんな心配ご無用やから! それより一緒に惟人の将来のコト、考えよう!」


「……ハナヲちゃん」

「なーに?」

「まるで親か姉ぇちゃんみたいだね」

「……え、そーかな?」


「言っとくけど。ハナヲちゃんと僕、同学年なんだよ?」

「分かってるよ。だからゆってんやん。一緒に遠足行こうって」


 クスクス笑う惟人。


「でさ。その遠足代はどーすんの?」

「そんなのはお姉ぇちゃんに任せなさい」


 またそれか……と再び笑う惟人。


「確かさ、この場所」

「ん? ……あぁ。先生稼業で落ち込んでたボルトセンセが、お巡りさんに職務質問されてたよね」


「あのときのセンセの心情、なんとなく今なら分かるなぁ。状況は正反対でセンセはこっちの世界に、僕は異世界側(アステリア)に嫌われたんだけど」


 そうそう。

 リボルトセンセ、学校で生徒からイジメられてこの公園でしょんぼりしてたんやった。わたしと惟人が見つけたとき、通報されてお巡りさんに職質されててめっちゃカワイソーやった。


「ハナヲちゃん。中学生でも働けるところ、知らない?」

「はあ、働けるところ……」


「ハナヲちゃん、冥界でアルバイトしてるよね? さっきココロクルリのカレシがそのバイト辞めるとかって言ってたよね? 人手が要りそうなら雇ってもらいたいんだ」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



暗闇姫(やみき)惟人(これと)です。よろしく」


「ワアア、凛々シイネェ。ワタシ()()ネ、ヨロシクネ!」

「ボクハ、こころくるりチャンガ大好キナ()()デス! 後輩歓迎スルネ」

「ワシハ()()ジャヨー! 分カラナイ事ハ何デモ聞クネー」


 惟人、戦慄の汗を垂らし。わたしの耳元にカオを寄せ。


『マジ? 名前似すぎててゼンゼン憶えらんないよ?』

『名前覚えるのも仕事です。戦場の戦友か部下だと思って』

『わ、わかった。ポン、ポー、ポム。女、若い、オジサン。オッケー』


「はい、ではよろしく。ちなみに今日はシフトに入ってない人があと2名います。後日紹介します。なまえはポイさんとポノさんやから」


「ま、マジかぁー」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ