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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
よんきっ 追放された中一勇者と敗残した魔王魔女っ子が異世界に通じてる我が家を壊しまくるので困るっ!キュン死するほどデレられてもシケイ確定やしっ

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はちわっ 「リビングホームルーム」


 とにかく空っぽの冷蔵庫眺めてても食べ物は湧いて来んし。


「ふう。もうスーパーは閉まってるだろうから、コンビニ行かんとなあ。案外遠いねんなぁ家からやと」

「――物騒なのでご相伴しましょう。ところでハナヲ。あなたお金はあるんですか? わたしスーパーコップMAX・とんこつラーメンにしますけど?」


 お金? 無いよっ。てーか、この期に及んでまだタカる気なんかいっ?!


 はわあぁ。怒鳴りたいけど、息がスカスカ抜け出ちゃうよォ。

 わたしってば、もうオナカペコペコなんですけど? 「食べ物無いんだぁ」って思ったら余計に空腹を自覚しちゃったデスよ。この状況いったいダレのせいでしょうかねぇ、シータンさん? ……いえー、魔女っ子シンクハーフさまっ?


「やれやれ。それにしても働かざる者食うべからず。仕事辞めるのはいいですが、ちゃんと後先考えて行動しないと、そこなハナヲみたいに()()()()()()()()の女の子に変身してしまって、無職少年と婚前旅行しちゃうハメになりますよ? ココロクルリは、しっかりとそのあたりをカレシに伝えてあげなきゃいけませんね?」


 WHY?

 解せん。

 とても解せん。


 なんで途中からわたしの話になってんの?

 仕事辞めたいってゆい出したのはルリさまのカレシ、ポーくんやったよね? ね? 


「だから! アイツはカレシじゃないんだって! うん、でもその例えすごっくよく分かった。ポーのヤツにしっかり考え直すようもう一度言ってみるよ」


 そーやで。()()()()()()()のシータンと違ってルリさまは素直でエライねぇ。

 ……けどやっぱ、とてつもなく引っ掛かるんやけどねえ。その「例え」の部分がねえ。


「そーです。無職はイケません。無職で転生とか非常識甚だしい。まったくありえないです」



 そのとき、ムックリと惟人(これと)が起き上がった。

 もっとも少し前から意識が戻っていたらしいが。


「惟人、だいじょうぶ?」

「あ? ああ。ごめんねハナヲちゃん。……それと陽葵(ひまり)もすまなかったな」


 リビングのソファで雑誌をめくっていた陽葵は、チラリと彼に目線を向けた。


「……で、惟人はなんで帰って来たん? 仕事が忙しいって言ってたやん?」


 やや咎めるような口ぶり。


「ぼ、僕は……」


 パタンと雑誌を閉じる陽葵。


「聞いたで? アンタ、国境守備隊長をクビになったんやろ? スピア姫が心配してハナヲとシンクハーフにケアを頼んだんや。どーゆー心算なんか教えて欲しいわ。今後はガッコーで勉学に励むん?」


 ギョッとした目で惟人がわたしを見た。


「お父さんもお父さんや。その様子やと惟人に『解雇を知ってた事』伝えてへんかったんやろ」

「あ……いや、それは……」


「分かってて、惟人が心配で様子見に行ったんやろ? お父さんらしいわ」


 何も()えんくなった。そりゃ真実だもの。でもわざわざ事前に断って訪ねるのもおかしくないか?


「ハナヲちゃん。初めから僕が辞めさせられるコト、知ってたんだ? だからあのとき、あまり驚かなかったし、急にも訪ねて来たんだね。……そうだよね。遠足の話は取ってつけた理由だったんだよね」

「ち、違っ……! それは違うくて……」


 シータン(シンクハーフ)が、惟人の頭の上に「ポム」と手を載せた。


「ハナヲはね。あなたが思う以上に底無しに優しい子です。でもイヤなコトはしないし、この子はそうしたいからそう行動したに過ぎません。理由なんて何でも良いじゃないですか。――それより問題はそこでなく、陽葵の言う通り、これからあなたがどうしたいか、どうしようと思っているのか、そこが重要だと思いますが?」

 

 いつもの惟人なら魔女に触られたら「馴れ馴れしいな」くらいゆいそうなもんやけど、黙ってアタマをナデナデされている。


 陽葵はソッポを向いたまま、


「ガッコウ、行くの? 行かへんの?」


 と答えをせっついた。


「……ウルサイな。考えるから黙ってろよ、落ちこぼれ魔女」

「なあッ! 何やと、この勇者崩れヤロウがッ!!」


 陽葵の、部屋が割れんばかりの怒声。

 また魔王魔女の()()()()()()()魔気(オーラ)を醸し出している。醸し出すってより、マグマのような闘気を噴出させている。


 っていきなりかあっ、怒りにも段階ってもんがあるやろーッ! アンガーマネジメントしろっ。


「ケンカを止めてー! ふたりを止めてー!」


 わたしのヘルプミーに、ルリさまもシータンも素知らぬカオ。どころかさっき陽葵の読んでいた雑誌にふたりして見入って談笑とかしてる。おまいらぁ、やっぱりかーっ。


 ほらほらほらっ。天井がミシミシゆってんで!

 照明がついたり消えたりし始めたしっ!


「惟人ォォ! せっかく人が心配してんのにぃぃ!」

「……悪かったよ。謝るよ」


 そうゆって惟人は出て行った。


「へっ?」


 肩透かしを喰らった陽葵は、絵に描いたような「キョトーン」で棒立ちになった。こりゃレアシーンだ。


 ルリさまとシータンが不思議そうに陽葵のカオを覗き込んだ。

 ボーゼンから赤面へと彼女の面容がわかりやすく変わった。


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