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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
よんきっ 追放された中一勇者と敗残した魔王魔女っ子が異世界に通じてる我が家を壊しまくるので困るっ!キュン死するほどデレられてもシケイ確定やしっ

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ななわっ 「金髪ロリツインテさん」


「……でお父さん。なんで勇者(コイツ)がウチに帰って来たん?」

「なんでって。……陽葵(ひまり)とわたしと惟人(コレット)の3人で、せっかくやから春の遠足行きたいなあって。そー思って」


「こんなコレット(クサレ勇者)と遠足行っても、なーんも楽しくないのに?」

「そーゆーなって」


 おフロの湯を浴びたのに着替えも許されずにリビングの床にビショビショの服のまま正座させられてるわたしと、陽葵(かのじょ)の裸体を見たためにバトル(ケンカ)の最中に不覚を取った、床に転がされてる惟人と。


 陽葵はとゆーと、濡れた髪の毛をバスタオルでくるみながら、――なんと失神している彼の顔面に足を載せた。


「や、止めてあげなよ。内心惟人も反省してるって」

「反省? 反省ってのは額から血が吹きだすまで床に頭を打ち付けて土下座してからするモンやで? なぁ、お父さん?」


 そっかぁ? そーなんか?


「ルリさまに頼んで出入口変更してもらうからさ、もーカンベンして」


「……つーかさ、言ってんじゃん? 出入口に出来る場所は限られてるって」

「――!」

「ル、ルリさまッ?!」


 とつぜん横やりが飛んできたかと思ったら!


 ダイニングテーブルにルリさま、正しくは()()()()()()さんが腰かけていた

 この娘っ子、いつの間にか我が家の食卓に紛れ込んでた?!



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ――彼女こそ、生粋の魔女っ子(ラマージ)のひとりでして。


 金髪ツインテで、ロリ顔で、アニメキャラ実写版を地で行ってるカンジ、しかも今どきツンデレ成分をぞんぶんに発症してるとゆー、タンピン三色・満貫そろってる女の子。……()()()()()しない人にはまーったく意味不明やね、ゴメンなさい。ちなみにわたしもしないのだがね。


「カンタンに出入り口を変更するって言わないでよ。水とか水の代わりになる所でしか結界は結べないの。もうこの話、何回もしてるでしょう? 理解するノーミソ無いの? それとも覚えるノーミソが無いの? ホンっト、バカなの?」


 じゃあ、ゆわせてもらいますがね、それなら玄関の姿見でもいーんじゃないですかっ!

 ……とはゆえない。洗面所の鏡でもいーんじゃない? ともゆえない。


 両方ともそこは以前、惟人だったか陽葵だったか(たぶん両者)に吹き飛ばされた。そのたんびに隣家から「やかましい」って苦情もらったっけなぁ……。


「ルリさまぁ、『バカ』とか、きゃたないコトバ、使っちゃダメにゃあー」


 ルリさまの使い魔、妖猫マカロンが彼女をたしなめた。

 一見ヌイグルミかと見紛うほど()()()()の三毛猫ちゃんだ。

 彼女の頭に乗っかって、上からカオを覗き込み、「めっ」する。


 キュッと口を結んだルリさま、うつむいてカオを赤らめ、コクリ。

 ――なぁっ、ルリさま! いきなしデレ発動やないですか。マカロンさまの「めっ」もいいっ。てかふたりともカワイすぎっ!


「……ちょっと気が立った。ごめんなさい」

「どーしたの? なんかあった?」


 陽葵が声をかけると、ルリさまが再びツンを発揮しだした。


「ポーのヤツがさ、仕事辞めたいって。ねえハナヲ、アイツから何か聞いてる?」

「え、ポーが? 初耳や」


 ポーってのは、わたしのアルバイト先の同僚で。


「アイツ、『モット華ヤカナ仕事シタイデスー』とか言ってんの。工場勤務に飽きちゃったんじゃない?」

「彼にそんな素振り、まったく無かったなぁ」


 わたし、週3のシフトで通ってるから最後に彼に会ったのは先週の……金曜日、だなぁ。そんときは別にフツウやったなぁ……何かあったんやろか。


「もう別れたら? そんな頼りないオトコ」


 陽葵がピシャリ。

 カーッと全身真っ赤になるルリさま。


「わっ、別れるとか別れないとか、ナニ言ってんの?! わたしらそんな付き合いじゃないしっ! でも急に仕事辞めるって言われたら誰でも驚くじゃない?!」


 ま、そりゃそーだ。相手を想ってれば想ってるほど心配は募るってもんだ。

 ポーくん、どーするつもりや!


 とっさのアドバイスが出ない。

 気を取り直すためキッチンに向かった。たしか冷蔵庫にアイスがあったハズ。それをルリさまに出してあげよう。そんでわたしも食べてアタマを冷やすのだ。


「……あら? 奇遇ですね、ハナヲ。……ショタくんとの婚前旅行とダンナさま宅でのネトラレプレイ、ご苦労さまでした。おかげさまで、待ってた間に冷蔵庫がすっからかんです。さっさとスーパーマソダイか、カンセイスーパーにGOして補充してください」


 ――冷蔵庫の前でペタン座りしたドテラ着の魔女っ子が、【いま】まさに目星のアイスを平らげていた。なんの悪びれも無く口の周りをベタベタにさせ、悪態をつきまくり、「しれっ」と食糧の補充を要求している。


「シータン! いたらいたって自己アピしてっ! ビビリすぎて心臓止まりそうになったよ!」

「……やだ、ハナヲったら服がビチョビチョじゃないですか。驚いてオシッコ漏らしちゃったんですか? わたし情けなすぎて、アイス全部食べちゃいましたよ?」


「全部?! 全部食べちゃったん?! たはぁぁ」


 彼女の申しました通り、冷蔵庫の中味はノンスムルと調味料のみ。冷凍庫は皆無。

 くうう、なんてこった。


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