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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
さんきっ 元アラフィフ魔女っ子およびに異世界チート魔女っ子、ことごとく#下流魔女

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20話 スピア姫のお願い

 どうやらキョウちゃんに追われてるわけではないらしい。

 冥界の別の者――。



「ドテラのシンクハーフが冥府シエオルイルで騒ぎを起こしたって話が発端ダヨ」


 騒ぎって、いつ? なんの?


「それって【蜘蛛の糸】の部屋に監禁されたハナヲを助けに行ったときのコトじゃないの? でもそれはオカシイでしょ! それじゃわたしの方がもっと大騒ぎしてたでしょーが!」


 ルリさま、唾を飛ばす勢いでバズスに噛みつく。

 それを浴びるバズスは。ふえっ?  天国に昇ったような恍惚の表情を浮かべてるっ。 ひぇぇ、キモイ。


「そりゃそうや。シータンが罪ならわたしも同罪や!」


「罪名は【冥界通信法違反】ダヨ。人間界と冥界の通信は禁止されてるのだがネ、それを破っちゃったってのが口実ネ」

「……確かにあのとき、電話回線使ってわたしと遣り取りしたけど」


 ルリさま、口をとがらせる。わたしも不服や。


「わたしなんてインターネットで武器いっぱい購入したよ? そんなのは罪にならんの?」


「そこらへんは政治的措置というものダヨ。ドテラ魔女っ子の方が利用価値が高いと判断されたんでがな」

「政治的って誰の陰謀で? まだ話が見えてこないんやけど」


 ヒソヒソ声になったスピア姫の眉が寄った。


「どうやら冥界が二派に分裂し対立しています。反主流派の首魁がわたくしあてにシンクハーフを出頭させよと命令してきたんです」

「理不尽すぎやな。あんたらこそ、人間界に強権働かせてるやんっ! それこそ、なんとか法違反っしょ!」


 キョウちゃんをトップとする冥府長派に対し、地獄の鬼どもが担ぎ上げた前冥府長の一派が巻き返しを図ろうと動き始めた。

 当初は議会うちでの舌戦レベルやったのが裏で様々な工作事件が起こり、強硬に取り締まったキョウちゃんへ反発が高まり、とうとう府内で小競り合いが起こる事態に発展したそうだ。


「やっぱり例の【蜘蛛の糸事業】への反発?」


「ソレが大きいだよぉ。事業の復活を叫ぶ支持層を基盤に、反勢力はヒラ・ノリツネの追い落としに掛かっているんだなぁ、コレが」

「前冥府長派はシンクハーフを拘束して冥府荒らしの犯人に仕立て、冥府での暴動を扇動した罪を挙げてヒラ・ノリツネを糾弾しようとしているの」


「なりふり構わんなぁ。そんなの不首尾に終わるって」

「なぜそう思うのかしら?」


 だって、あのキョウちゃんなんだから。

 あの人はそんなコトじゃゼッタイ負けない。


「わたし、シータンと(キョウちゃん)を護る」

「ふへっふへっ」

「な、なんだよっ。なにが可笑しいのっ?」



「手遅れなのさねぇ。ドテラ魔女はとっくに拘束されちまったよ」

「なっ?!」

「ど、どういうことですか、バズス! なぜもっと早くそれを伝えてくれなかったんですかっ」


 「グー」の両手を、胸の前でブンブン振って姫さまが怒っている。

 カワイイ。

 可愛すぎて、おかげでショックが根こそぎなくなっちゃった。


「経過を詳しく説明して、バズス」

「説明も何もナイですが。ドテラ魔女が自分からワナに掛かっちゃったんだゲスよぉ」


 ルリさまが彼のオシリをガスッと蹴った。


「だからっ。その話をしろって言ってんでしょ!」

「いったーいっ。んもー。ロリロリ金髪ランボーダヨネ! 理由は単純明快、わざと捕まって、敵の本営で大暴れしてやろーってハラ」

「それ、シータンが自分でそーゆってたん?」

「もっちのロンロン」


 シータンのヤツ……。


「もーっ! シンクハーフったら、普段はいっつもフザけたりのほほんってしてるクセに、いざってときは勝手に熱くなって独り暴走しちゃうんだから!」


 うんうんうん!

 ルリさまのセリフ、まんまの想いデス!


「スピアさま、どうかわたしにシータン救出をお命じください」

「そんな。そもそもそれをお願いしたくてあなたたちをお呼びしたんです。どうか、あの子を救い出してあげてください」


「バズス、キョウちゃんに敵対する勢力のアジトに案内して」

「ガッテーン! オイラも久方ぶりに大暴れシタイネー!」


 暑い胸板をバンバン叩いたバズスは、空中に異常なデカさの棍棒を現出させ、吼えた。


「ガオー!」


 やかましーって。


「行こ、ハナヲ」


 ルリさまも本気モードの眼差しになってる。


「ウン。行こう」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「……なんかさー、悪いけど冷めるよね」

「言わないでよ! こっちだって、似たりよったりの気分なんだから!」


 ふたりで隣りのバズスを睨んだ。

 涼しいカオで口笛まで吹いて。


 ……なんてヤツや。


「バズス。アンタが『一番早く着く方法ダ』ってゆったから、わたしら従ったんやで?」

「はあ? 言葉の通りでんがなやしー。イヤなら次の駅で降りちゃえばあ?」


 わたしらは「まさか」の路面電車に揺られながら、目的地へと向かった。



 はいっ、つ・づ・く。


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