15話 梅田でデート?
今日は梅田。
南田センパイとデート!?
デートって。コレ、デートなん?
クラスメートの【水無月まな】がきっちり同伴してるけど?
それでもデートって言い張るの?
まぁ、キンチョーせんで済むし、わたし的にはその方がいーんやけどね。
「なーハナヲ。オメーさ、さっきっからサイフばっか眺めてね?」
「そ、そんなコトない…………すよ?」
…………ウソ。
眺めてた。
……だって。
「けいはんな線」も「中央線」も、むっさ高いんやモン!
「ピタパ」あるっても、チャリンチャリンってお金は消費してるワケで、そのコト想像したら、ちいーっとも楽しい気持ちになられへんのも当然でしょーがっ。
「別に『おごれ』なんて言ってないじゃん。そう心配すんなよ、な?」
「はいぃ?」
わたしがカツアゲの心配してるって思ってんか、南田センパイは?
そこまで警戒してないよっ。
「それとも楽しくないか?」
「いえいえ、ごめんなさいっ。ネームがノッちゃって、つい夜更かししただけ」
「それは殊勝な心掛けでござるなー」
ござるなー?
「そんなキョトンしないでよ、ノリでしょ、ノリ。わたし今日はコノキャラで行くから」
「う、うん。まー水無月さんがそーゆーなら、ゼンっゼンおっけーやし」
わたし、どさくさに紛れてお礼を言う。
「リボルト先生のコト、有難う。おかげで……」
「バカ。約束だったろ? 礼なんて言われたら逆にムカつくね」
「南田センパイは良い人でごさるよ? そこんとこカン違いしないで欲しいでござる」
「うん。ごめん。そうやったね」
でも、そーゆーけどさ。
南田センパイが怒られるの覚悟で学校に話してくれたから、リボルトセンセは解雇をまぬがれたんやし。
人を陥れようってしたコトは許せへんけど、勇気を出してくれたことは嬉しいし、ホントに感謝してんねん。
心の中で。
ありがとう。
映画を観たあと、ミスドでお茶して。雑貨屋さんと服屋さんをはしご。
「次はアニメイトに行くでござる」
「おう、行こう!」
メッチャ健全。
わたしが予想してた通りの流れ。オッサンだったらあり得ない流れ。
それでヨシ!
「ネーム打ちはカラオケ屋でだ。ゴー!」
「イエー」
「そ、そうなん?」
「金なら心配すんな。誘った方が出すのが当然だろ、これはデートなんだから」
「やからデートって……」
「本づくりに必要な経費でござる。ここはわたしらに任せなさいな」
室内に入るや、わたしのネーム披露会が始まった。
約束やったもんな。
「ヤバッ! メチャリアル」
「このフラれるシーン、切なすぎますぞ」
喜んで良ーのか? どーなんだ?
いっとくが、過去の実体験描いたんやないからな!
「リボルト先生、手酷いフラれ方したでござるなー」
「コレ、あの先公の実体験だろ?」
先公とか久々に聞いたよ。懐かしいよ。杉浦幸さん思い出したよ。
あと、リボルト先生の実話でもないよ。
(二回ゆーとくが、わたしの実体験でも無いよ!)
「じゃ、これで行こう! 明日から三人で作画に入るぞ、いーな!」
「おーう!」
「ええーっ」
まだまだ試練は続くんだ……?
でもガラス戸に映ったわたし、いいカオしてる。
すごく楽しそう。
なんでかなぁ。




