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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
結(むすび)の章

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⑬真相究明するっ

異世界魔女っ子たちのドタバタ地味系・日常系・ファンタジーラブコメっ。


 翌日もバイトに出た。

 冥界との往復はまだできた。


 意図的に赦してるのかは定かでない。

 

 ポーくんは出社しなかった。寮を訪ねたが不在。

 彼が行方をくらませたのは明らかにわたしのせいやが、悪かったとはこれっぽっちも思ってない。 


 そして。

 未だにキョウちゃんにも会えてない。


 どうしても彼には伝えたいことがある。聞きたいことがある。

 なのに。


 寮の前でバイト終わりの惟人と落ち合い、ある場所に向かう。


「まだ何か用なの? 学校は? 大丈夫なの?」


 冥府庁1階のロビーにあるカフェ。

 昭和歌謡の名曲が流れる店。

 純喫茶、冥途。


 矢継ぎ早に質問するサラさんはこの店の常連やった。


 面会を申し込むと、ここを指定されて。

 ってコトでノコノコとわたしらは、相手の総本山に乗り込んで来たんである。

 

 いや別に悪い事してるんやないんやからいいでしょ?


「学校よりも友だちのことです。ココロクルリはポーくんの子を……」

「ええ。その話は彼の口から直接聞いたわ。そういう理由だから、転生を取り消して欲しいって言ってきて」


「そ、そーなん?!」

「なのでわたしは冷静になりなさいって諭したの。それならなおさら積極的に転生しなきゃでしょ? だってオトコには責任ってものがあるんだから! わたし、間違ってる?!」


 サラさんの迫力にタジタジになる惟人。


「サラさん。わたしが伝えたいのは別の話です」

「別の話?」


 テーブルの上にスマホを置く。

 怪訝ぶる彼女の様子を確認し開く。


 しばし眺め、目だけをわたしらの方に上げる。


「――これが?」


 何だとゆいたいらしい。

 タイミング悪くテーブルに運ばれてきた邪魔げなクリームソーダを端によけ、咳払いする。


「ポーくんが隠し撮りした作業場の様子です」

「それは見たら分るわ。だから。それが何よ?」


「よく見てくださいよ、サラさん。ここに映ってる人物……」


 再度目を凝らし、今度は半開きの口をつくってカオを上げる。


「……鬼?」

「ええ。鬼族の者です。この作業場には本来、冥界人……それと特別に許可を得た関係者の僕らくらいしか入場できないはずです。それがこの日は外部の者が入り込んでいた……」


 サラさんの目が据わって動かなくなった。黙考しだした。


「……これは? 撮影は、いつ?」

「1ヶ月半ほど前だそうです」


「で? ポーくんはいまごろ何故これを?」

「――その日。臨時雇いのバイトが入るから面倒を見てくれとゆわれたそうです。不審に思った彼はこっそりその者の姿を撮影していました」


「だから。何故いまごろ……あ」


 一旦目を閉じたサラさん。

 スーッと息を吸い、目を開ける。


「1ヶ月半前って言ったわよね。――それってひょっとしてあなた、()()()()と何か関りがあるって言いたいわけなの?」


 あの事故ってのはそう。

 ちょうどその頃に発生した農業用プラント事故のことだ。


 バイオガスならぬ地獄特有の有毒ガスを使用する化学農業工場――わたしらが働く工場がトラブった。

 その影響は大で【蜘蛛の糸事業】に代わる新規事業の立ち上げを行なっていたが、この壮大な計画が数年は遅れそうだともゆわれている。


「その日、ポーくんに面倒を見てくれって指示した現場長は?」

「その日は彼の上司の職長が休み、彼が現場長を務めました。臨時雇いの面倒を見るよう指示したのは、彼と面識のない総務の人間やったそうです。ポーくんは職長に電話したそうですがそんな話は聞いてないと言われて。なので彼は怪しんで臨時雇いの作業者とやらを隠し撮りしたと」


 首をひねるサラさん。


「ふーむ。当日のスケジュールを確認したら、その日はヒラ長官とウミさん、そしてわたしの三人で獄門(ラフィン)の会議に参加してるわね。……だとしたら、プラント(現場)に口出しできたのは……たとえば代行者の青鬼」

「そう、彼に指示したのは、わたしは青鬼じゃないかと思います」


「……いえ。でもそれは有り得ないわ。冥府庁を抜け出して現場に出向き、指示するなんて。そこまでヒマ人じゃないわよ、さすがに」

「いえ。わたしは直接指示したとは一言もゆってません」


「どーゆーコトよ?」

「青鬼の他に動けるものが居れば、細工は可能です。――例えば先代長官の息のかかった組合員とか」


 先代長官は【蜘蛛の糸事業】肯定派の筆頭で、労働組合と癒着していた。


「……あなたは青鬼が組合員(彼ら)に与して悪だくみをしたって言いたいの? その証拠はあるの?」

「……あります」


 サラさんの前に置いたスマホの画面をスライドさせた。


「こ、これは……!」


 こちらも隠し撮りした写真だった。

 青鬼とともに、2人の人物が映り込んでいる。


「青鬼と談笑している人物がふたり。……この人たちをサラさんはよくご存じでしょう?」

「そりゃあ。ひとりは組合の執行委員長。もう一人は……獄門(ラフィン)の長官、アキ・サネミツ」


「妙な組み合わせだと思わへん?」

「まぁそりゃあ。普通に考えれば仲良くお酒を酌み交わす間柄じゃないわよね」


 組合執行委員長は、【蜘蛛の糸事業】廃止の件で現長官のキョウちゃんと対立している。


 そして。

 アキ・サネミツさんは、地獄界を統べる長官だ。


 冥界の長であるキョウちゃんことヒラ・ノリツネとは同格で、()()()()ゆーくくりでまとめちゃえば、ツートップを形成しているライバル関係。


 だけれども最近のふたりは新規事業の基本構想で折り合わず、溝を深めてるってウワサされている。


 上昇志向の強い青鬼がその状況を利用し、キョウちゃんのいわゆる対抗馬をそそのかして野望を膨らませてるって。そーゆー邪推をするのはイケないコトなんやろーか?


「……言いたいことは判ったわ。けれどもこれだけじゃ証拠にはなんない。ただ協議してるとこを撮ったって見えなくもないもの」


「ですよね。やから……」


 わたしは次のブツを出した。

 サラさん、「うっ」と呻いた。


「ボイスレコーダー……!」

「シータンの魔装発明品のひとつです。魚眼レンズ機能も備えてて、映像再生も出来る優れものです」


「ちょ、でもそれ、どうやって……?!」

「そりゃ決まってます。わたし、この手の突撃は得意なもんですから」


 ハッとサラさんがバカにしたように笑った。フザけてんの? と怒った。


「わたしが撮ったんやないっす。もちろん協力者がおったっす」



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【以下テンプレあいさつ】

最後までお読み頂き有難うございました。

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