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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
結(むすび)の章

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⑪冥府庁応接室

異世界魔女っ子たちのドタバタ日常系ファンタジーラブコメ。

昭和アニメを聞きながら投稿。


 あれから1週間ほど経った。


 ルリさまは完全にふさぎこんでいる。

 アステリアに帰ろうとしない彼女を無理に魔法学校に連れて行くこともせず、そのままうちに居させている。今は、リボルトセンセが使っていた部屋が、彼女の巣ごもりルームになっている。


 わたしはゴールデンウイークが終わり学校に通いだしたものの、彼女が気掛かりで授業どころや無かった。

 終われば一目散に帰宅する毎日が続いた。


 陽葵からすれば()()()()やとゆーが、それでも心配なんやから仕方ない。


 財布の小銭を指折り数えて駅前でドーナツを買い、自転車を飛ばす。

 玄関のドアを潜り、すぐに彼女の部屋をノックして。


「何?」


 ――って返事があるとホッと脱力する。ここ数日の日課だ。


「ドーナツ。一緒に食べよ?」

「……いいよ。ハナヲ食べなよ」


 ドア越の会話。でも有難い。


「わかった。んじゃ中で宿題していい?」


 昨日はそうゆうと断られた。

 でも今日は。


「別にいいよ」


 とドアが開き、カオをみせてくれた。

 元気は無いものの、食欲は戻ったみたいで朝食のプレート(陽葵がつくった)はキレイに片付いていた。


 日にち薬か……。


「あれ? ルリさま、勉強してたん?」

「そりゃ……。いつまでもヘコんでらんないし」


 リボルトセンセが使ってた広めの机は辞書やら教科書やらノートやらで埋め尽くされていた。


「……ドーナツ、食べる?」

「……うーんと。仕方ないなぁ。食べてアゲル」


 ソファ代わりのベットにふたりで腰掛け、しばしのブレイクタイム。

 その後マジメに宿題をこなし、ルリさまの課題を手伝った。


「最近うまくマカロンが呼び出せないんだよねぇ」

「そーなん? わたしも――」


 何でだか、個体スキルの設定変更オルディルシル・コンベルションがうまく発動しない。

 ゆえに例のSNS拡散問題もまだ未解決である。


 そのハナシはヤメだ。

 別の話題を探した。


「今晩食べたいものある?」

「えーと。お昼にはアステリアに帰るよ。漆黒(ノワルディジェ)姫さまに挨拶しておかなくちゃ」

「挨拶? なんで?」


「魔法学校を退学するんだからさ、最後くらいちゃんとしなきゃ」

「え? 別に退学する必要なんてないやん! だってもう……」


 ポーとは別れたんでしょ。

 口に出しかけて冷汗が出た。


 ちょっと笑ったルリさま、真顔に戻って。


「わたし。オナカにポーの子供がいるみたいなんだ」




 ⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒  ⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒¨⌒




 ふかーく深呼吸して大扉を押した。

 陽葵とふたりだ。


 サラさんが扉付近に立って出迎えてくれた。

 奥の執務席にはウミさんが腰掛けていたが、彼女も立ち上がって応接コーナーの方に手を差し出した。


「ヒラさんは?」

「不在です。別にわたしたちだけで充分でしょう?」


 キョウちゃんはおらんのか……。


「用件はあらかじめサラさんから聞いてます。結論から言えば、通知が出ている以上、ポー氏の転生措置は覆りません」

「ひとつお聞きしたいが」

「なんなりと」


 陽葵は威圧感のあるウミさんの目をまっすぐ捉えて問う。


「今回の通知、以前から準備されてたものなんですか?」

「どうして?」


「通常この手のものは半年以上前から準備され、本人にも少なくとも3ヶ月以上前に打診されると伺ってます。けれども今回の場合、青鬼から決定事項を提示されたのは3日前。これって当人には打診されてたんですか? 説明いただけますか?」


「それについてはお詫びします。個別の案件に関しては各セクションの責任者が処理していますので、現時点では調査中としかお答えはできません」


 ウミさんでなくサラさんが担当として答えた。

 そのサラさんの表情は青く、硬い。


「調査結果はいつ?」

「メドの話はまだできません」


 ウミさんが憤慨したように腕を組み。


「よしんば原因が判明しても外部の者に公開はできません」

「外部? ココロクルリやポーは当の本人でしょう?」


 まぶたをヒクつかせたウミさん。


「ポー氏にはじゅうぶんな説明がなされているはずです。その上で彼は転生措置を受け入れているんだと判断しています。例えそれが通常の手続きと若干異なっていたとしても、それはただのイレギュラーです」

「そのイレギュラーとやら、どんな場合に適用するんや?」


 陽葵の口調が変わった。

 短気の気質がもたげ始めている。


 ウミさんが続けようとすると、サラさんが止め補足する。


「誤解を招いたとしたらごめんなさい。つまり彼は優秀で勤勉な冥界人だと認められたから、そのような特別待遇の措置になったのではと考えます。決してご本人の意思をないがしろにはしません」

「どこか他人事な言いっぷりやな。……やったらその措置とやらを実際に実行しようとする人物は何処のダレや? ソイツに訊きただすわ」


「それは……規定上、答えられません」

「チッ」


 蹴るようにして席を立つ陽葵。


 一礼するサラさんに。


「今日のバイト、出ますんで」

「……え。そう、なの……?」


「出ます。よろしくお願いします」


挿絵(By みてみん)

右往左往に揺れ動く



次回は水曜日投稿!

頑張りたい。


追記

挿絵抜けてました。改めて掲載します。

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