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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
にきっ TS魔女っ子の地獄めぐりツアー 昭和のドラマを存分にご堪能できます

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11話 白羊宮の魔女っ子たち他 [ アリエスの乙女たち ]


「アキサネミツと僕は人間時代からの腐れ縁でライバル同士みたいなものだったんだ。こっちの世界でも何かにつけて張り合ってたな。彼が獄門(ラフィン)の長官に就いたから出世争いは負けたけどね」

「でもキョウちゃんは冥界の長官ってのになるんでしょ?」


 まぁね……。と笑みを浮かべたキョウちゃんは神妙な面持ちだった。

 煙まみれの部屋から解放されたものの、【霊安室】のような場所で陽気さを求められても……なんやろが。


「ハナヲちゃんとシンクハーフさんのタマシイ。返しておくね。ここまで付き合ってくれて有難う。ふたりを危ない目に遭わせてごめんなさい」

「謝ってばっかやね。そうゆう場合は『ありがとう』でいいんやで……?」

 

 ――にしても綺麗なタマシイ……。手の平の上で、まるでろうそくの炎みたいにゆらゆらしてて――。

 わたしのは透き通ってて青白い。シータンのはすごく濃くて深い青。

 それぞれ違ってて、とても不思議な気持ち。


 キョウちゃんと目がぶつかった。ジッとこっちを見詰めてたから動揺した。

 な、なんやの……?!


「……ハナヲちゃん。地獄に堕ちたとき、何度か死んだんだね」

「――え?」

「魔力防護使ったって言ってたからそんなコト無いって思ってた。でもやっぱり何度か蘇生を繰り返したんだね。だからだいぶ様子が変わったんだ?」

「様子?」


 尋ねかけたわたしに急接近してる彼のカオ。

 わッと狼狽したおでこに手を当てられた。


「……ちょっと背が低くなったかな。そっか。そういうコトか」

「な、なにが? なにがそーゆーコトなんっ?!」


 そのとき不意に生じた感覚。

 熱っぽい頬。やかまし気な心臓音。強く打つ鼓動。切れぎれの息。

 いっぺんにそれらが身中に押し寄せた。


 なんだ、コレっ?!


「タマシイ、大事にするんだよ?」

「当たり前や。んなコト、ゆわれんでも――……あ!」


 なんだなんだ?!

 む、胸が締め付けられる。苦しい……。

 ち、ちょっと待って! コイツ……キョウちゃんが近くにいすぎたら苦しくなる。


「ちょっと離れてて!」


 なにコレ……ホントにヤバい。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 長官室前の会議室で地獄人と冥界人の企画プレゼンが続いている。


 既に【蜘蛛の糸】事業の休止は告げられていたので【69時間縛り】はなくなったけど、シータンが心配なので、キョウちゃんを置いていったん防人の部屋に戻ることにした。


「居残っててもいーんだよ? ハナヲ」

「ルリさまさぁ、わたし、そんっなに後ろ髪引かれてるカオしてる? 冗談ヨシコちゃん!」

「うっわ、ショーワ。じゃ一緒に帰ろ」

「ウン」


 アキサネミツさんと肩を並べてプレゼンに聞き入るキョウちゃん。完全に審査員モード。

 その後ろ姿を眺めながら、そっとドアを閉めた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 部屋に戻るとシータンとサラさんがソファでお茶をすすっていた。

 シータン、ドテラがきれいに乾いてよかったね。やっぱそれ無いとシータンじゃないや。

 

「遅かったですね。もっと時間ギリギリでドラマチックに帰還するかと思いましたが」

「シータンも人が悪いよ。キョウちゃんと打ち合わせしてたんならそーゆっといてよ」


 立ち上がったサラさん。

 わたしに向かって深々とアタマを下げた。


「ハナヲ。この度は不快な思い、危ない目に遭わせて本当にごめんなさい。あなたとシンクハーフさんをマコトイトーに紹介したのはわたしです。ヒラノリツネ長官をサポートできるのは、あなたたちしかいないと思ったんです」


 ルリさまがいきり立った。


「ハナヲもシンクハーフも、亡者との戦いで死にかけたんだよ?! それに地獄でヒラノリツネのサポートをするのはわたしの役割だったでしょ! どーしてハナヲまで行かせたの!」


 サラさんぐうの音も無く平謝り。


「流れで……。ヒラ長官はあまり多くを語る人じゃなかったので、細部の段取りが詰めれなくて……。ハナヲも加勢させようってなって。言い訳しようもありません」


 部屋の中に監視カメラがあって常に浄化部の眼が光ってるので、イロイロ演技しなきゃならなかったそう。少しでも疑念を持たれたらお終いだと覚悟を決めてたらしい。


「だとしても、挑発するにも度が過ぎたよねぇ。随分なゆい方されたもん、わたし」

「ええ……その点も猛省してるわ。マコトイトー課長なんて、ヒラ長官に不敬を働いてしまったって辞職願を出してるし」


 そ、それは反省し過ぎでは?!


「課長はチョーがつくくらいマジメだから。鏡の前で【イヤな男】の役作りに一生懸命だったらしいわ」


 あー、それ練習の効果、メッチャでてマシタ。


「ともあれ、【蜘蛛の糸】事業。こんなバカげた殺し合いが無くなって本当に良かったです。今夜は枕を高くして眠れるというものです」

「だね。シータン」


「でも……」

「でも?」


「一番予想外だったのはハナヲのことなの」


 サラさん、腕を組んで弱り顔。


「わ、わたしのコト? 予想外?」


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