19 ココロクルリ25歳、公園で逆上
先日か先々日、新規ブクマ有難うございました。
異世界魔女っ子たちのドタバタ・日常系・ファンタジーラブコメな。
今日も無事投稿。
「驚いた。お姉さん、個体スキル転移を使ったの?」
「ご名答」
転移の行使。
ときどきテレビでやってる【アハ体験】の如き登場の仕方。
――え? アハ体験ってナニ? ざっくりゆーと、見えんかった物が突然「見えた」ってなる体験のコトで。って余計な解説させてからにィ、ムッチャムカつく~。
……あ、いえいえ、ムカつく相手は画面の向こうで読んでくださってるあなたさまでなくって、わたしのとなりで不敵にニヤニヤしてるお姉さんの方なのですよ。
「そんな短パン・フトモモ剥き出しで寒く無いの?」
「いまあたしに聞きたいコトってそれぇ?」
聞きたいってか……うー。
正直もう帰りたいなと。
だって! なんでイケイケなお姉さんが現れるねんっ。なんで勇者コレットやないねんッ!
「お姉さん。あなた、ココロクルリなん?」
「へー。大当たりー。――で、そういうあなたは限定解除の魔力保持者でしょ? コレットとの戦い、見さしてもらったよー。なかなか強かったねぇ、感心した」
やっぱあんたルリさまか。
20代真ん中くらいの、成長したルリさまだ。
「あなた、わたしの知ってるココロクルリさんとちっとも似てないし」
「似てないし? ナニその物言いたげな中途半端な言い方ぁ。……あーそっかぁ、あたしがキライって言いたいんだー、ナルホドー。――うん、そだね。あたしもオマエ、ダ・イ・キ・ラ・イ。即死んで欲しー」
「なっ」
突如互いの間で空気が凍った。
タラッと汗が垂れた。冬なのに。寒いのに。
「ココロクルリさん。お姉さん。わたしは別にコレットさんやあなたと戦いたいワケや無いねん。暴力振るわれるのがイヤなだけなんや」
「例えばさぁ、蚊っているじゃん? アレ、やたらめったら人の血吸うでしょ? その蚊が『いやいやわたしはあなたを殺したいワケじゃないんですよ。ただ血を吸わせてもらいたいんですよ。わたしが満足するまで』って言ったとしたら、『それならとーぞ』って自由に吸わせてあげる?」
えーとそれはつまり。
わたしは蚊に例えられてるのか? そーゆーコトか?
「ココロクルリさん。あなたはどうも物知りで頭の回転もいい人っぽいよ。でもね。ひとつだけカン違いしてるコトがある」
「へー? オモシロイなぁ、その挑戦的な態度ぉ。――えーとねぇ、じゃあその問題、当ててみようかなー」
ココロクルリさんが取り出したのは【モノサシ】。
これ、見たコトがある。
「……それ、魔力測定計」
「ご名答ォー」
わたしに持たせて大げさに拍手する。
ゆわれもせずに額に当ててから返した。それをジッと眺めてからわたしを見て。
「スゴイ。魔力151かぁ、限定解除の中でも超限定解除だ」
「いいや。キミと同じ、魔女さ」
「いえいえ、札がついてないし。それは騙りというものだよキミ」
札……。前に聞いた話だと魔女同士はぼんやりと【同類の証】、紋様のようなものがお互いに見えるのだとゆう。それが無いと彼女は嗤う。
「そーゆー者も世の中にいるってコト」
「……へぇ、キモ。ナディーヌって前からこんなにキモかったっけ?」
「それじゃさぁ、ルリさま。アンタ、ナディーヌの個体スキルって知ってんの? 知らないワケ無いよね」
「アイツは無能。黒姫にくっついてた金魚のフン以下。アンタがそれ。個体スキル? あるワケ無いでしょ、せいぜいホウキにまたがる程度だったよねぇ」
「ルリさまも、その無能と同じくらい、役に立たなかったよね。勇者コレットから尻尾を巻いて逃げ出したんだっけ?」
「……。ちょっと、さっきから黙って聞いてりゃ『ルリさま、ルリさま』って。キモイんだよ、アンタさぁ!」
……やっと土俵に上がって来た。ケンカ売るつもりなら買ってアゲルよ?
「あーあ、蚊に刺されてオデコがデコボコになってるよ? 早く叩き潰さなきゃダメなんじゃない?」
「言われなくても潰してやるわよ」
「――あ、でもさぁ。ルリさま、わたしの個体スキル、知らなかったよねぇ。そんなのでマトモに叩き潰せるの? ホント、勇者ぁ」
「……こ、こんのぉ!」
バリバリとココロクルリさんの身体が光った。魔力放出の前兆だ。一気に開放して短期決戦を仕掛けるつもりなのか?
「でさぁ。すっごく聞きたいコトがあるんやけど、ダメかなぁ?」
「ダメ」
「なんでダイキライだった勇者コレットに味方してるの? ってゆーよりもシモベ? それとも部下とか奴隷の類? わたし、あなたがカワイソーなんだよ」
真っ赤なカオで額にはアオスジ。相当怒りだした。ベンチから立ち上がったかと思ったら10メートル後方に瞬間移動した。またもアハ体験。
あたりの街灯が一斉に点滅しだす。
飛来魔法を使う気か? 火弾やったな。
「待て。質問には答えて。でないとアンタに加減していいかどうかワカンナイから」
火に油を注いだ、のか?
額のアオスジがますます朱色を深めた。
「勇者コレットはあたしのダンナ。ダンナの手伝いをしてどこが悪いのよ!」
「ん? ダンナ?」
最近ずっと挿絵ができてません。
絵を見てくださってる方へ、描く気はあります。どうか気長にお付き合いを。また絵に対する感想などもとても嬉しいです。
最後までお読みいただき感謝いたします。




