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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
にきっ TS魔女っ子の地獄めぐりツアー 昭和のドラマを存分にご堪能できます

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08話 温かっぽいぞ! [ 熱っぽいの! ]

寝室に入り、ベットに横たわるシータンのとなりに転がった。

 しばらく天井を眺めてから彼女の方を見ると、大きなつぶらな目で「ジーッ」とこっちを見ていた。


「うっわ! 起きてたんや、シータン」

「……添い寝なんて、破廉恥」

「……そんなつもりなかったんよ」

「わたし。なんでハダカなんですか? ドテラは?」


 着せてあげますから。待っててくださいよ、お嬢さん。


「けど部屋あったかいでしょ。別に寒くないでしょ?」

「ハナヲの大声で目が覚めました。わたし、独りで寝てました。いまはハナヲが一緒だから。とてもあったかいです」


 ギュッとしがみついて来る。そして再び目を閉じた。

 ……すぐにスースーと寝息。……なんともう寝てる。

 危ない場面で何度も救ってくれたシータン。返り血でドテラがドロドロになってた。すぐに水洗いしたからダイジョウブだよな。


 オレはシータンの寝顔に「お疲れさまでした」と声をかけ、小さく咳払いをした。


「サラさん? 様子窺ってないで声かけてよ。この住居不法侵入者」


 少し前からリビングの方で人の気配がしてんだよな。

 ホンット、不快。


「私だ。マコトイトーだ。後ろにサラもいるが」


 リビングに行くと声はすれど姿が無かった。


「かくれんぼ? 付き合ってるユトリ無いから。何の用なん?」


「課長とわたしは、ハナヲの目の前にちゃんといるわ」

「やったらとっとと出て来なよ。正直イラつくよ」

「調律器を使ってるのよ。実際はここに居ないの、わたしたち」


 最早言ってるイミがさっぱり。バカにするのもいい加減にして欲しい。


「もう帰ってください。わたしらはキョウちゃんが帰るまでずっと生き残り続けますから!」


「怒らないでよ。これは霊力よ。その調律器で映像を調整するの。……これでどう?」


 ……あ。

 ふたりが見え出した……。

 サラさんはソファに足がめり込んでるし、マコトイトーは半分壁に埋まってるという滑稽な状態だが。


「ハナヲ。黙っていまから伝える頼み事を聞いてほしいの」

「なにゆって……!」

「しゃべるな。この部屋は常に浄化部員に監視されてる。オマエは黙って私の頼みを聞いていればいい」


 壁に掛かった萌え萌えアニメポスターに埋もれながらエラそうにされても反応に困るぞ。


「胡散臭いあんたらの頼みなんて――」

「しゃべらないでって言ってるでしょ! ちゃんと日本語でお願いしてるのに、それでも言葉通じないの?!」

「ふえっ?! ……しゅみません」


 くうっ。思わず反射的に謝っちった。

 いいよ、黙ってりゃいーだろ黙ってりゃ。


「もう一人の魔女とともに地獄に堕ち、ヒラ・ノリツネを護衛しろ。彼と獄門(ラフィン)の長官を、閻魔さまの前で引き合わせて欲しい」

「な?」

「シッ」

「閻魔さまの前で【蜘蛛の糸事業】の是非について獄門(ラフィン)長官と意見を戦わせ、最終の判断を頂くのだ」


 課長さん、アンタ、キョウを殺せって命じてたよな?

 当初言ってた話とまるで逆だ。

 まったくあきれ返るよ。


 ……キョウのコトは心配だ。だがもうひとつ大きな懸念がある。

 オレは寝室に目を向けた。


「……わたしたちが信用できないって言うのね。そりゃトーゼンよね」

「ヒラ・ノリツネを殺せとそそのかしたり、死んだ方が助かると言った話を根に持っているのか? なんと器の小さい女だ」


 マコトイトー、オマエ絶対にトモダチ居ないだろ?

 しゃべるなってんで、不愉快な気持ちを顔芸で全力表示していたらサラさんが「YESなら右手、NOなら左手を上げて」と言い出した。


「まだ怒ってる?」


 右手。


「地獄に行くのはイヤ?」


 左手。


「気になる事がある?」


 右手。


「それなら心配いらないわよ? その部屋全体にある仕掛けを施したの。あなたの地獄堕ちがトリガーになって一時的に部屋の時間経過が3分の一になるようにしたの。つまり一日72時間。翌日の亡者襲来までざっと69時間。それまでに部屋に戻ってくればいい計算よ」


 サラさんが見透かした通り、オレはシータンを置いて行こうと考えていた。

 その場合次の亡者来襲までに戻れるか心配だった。悩みと対処法を的確に言い当て回答してくれた。


「解決した?」


 右手、チョイあげ。


「まだ心配?」


 右手を全力で上げ。


「もうひとつ。ヒラ・ノリツネは獄門(ラフィン)の長官と直接話をしたいという目的もあったけど、あなたと寝室で眠る魔女のタマシイを回収したいって気持ちがあって地獄に降りたのよ」

「ヒラ・ノリツネは、魔女の力を絶大に信用している。だが申し訳なくも思っている」

「監視下で彼は衝動的な行動を行ったように見せて、単独で獄門(ラフィン)を目指したのよ。わたしたちに相談もなく、ね。ただ、ココロクルリという魔女がもうひとりの魔女、シンクハーフさんの命を受けて彼を追い掛けたのは知っての通りね」


 サラさんに重なるようになっちゃうが、わたしはお構いなしにソファに座り込んだ。

 ちょうど彼女の胸のあたりが目線の位置に合った。チョイ気味の興奮を覚える。


「……行ってこよっと。地獄に。もうこの部屋飽きたし」


 独り言風にして気を使い、宣言。

 オレは、サラさんとマコトイトーをまだ1ミリも信用しちゃいない。けれども「キョウが心配である」この一点は地獄行きを決心する理由としては十分すぎた。

 69時間以内に戻らなければ、シータンが独りで亡者と戦わなくちゃいけない。


 それを思うと心臓が縮みあがるが「ゼッタイ戻る」と覚悟を決めた。


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