10 思い詰める小4女児
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異世界魔女っ子たちのドタバタ地味系・日常系・ファンタジーなラブコメ。です。
GW明けガンバリまっすったーとぉ。
昼ゴハンを作ったげるっても、よそ様の冷蔵庫を勝手に漁るわけにはイカンし。
それにだいたいわたしは基本料理が不得手。よって在りもので何とかするって芸当は不可。出来るのはスーパーに総菜を買いに行く程度。
てなコトで、スマホで近所のスーパーの場所調べていざGO。
「ただいまー。聞いて喜んでよ、今日のお昼はカレーに決まりましたー」
カレーの具フェアにつられたせいだ。ホントは出来合いの唐揚げと小パックのポテトサラダでも買うつもりやったのに、ある程度手作りしなきゃアカンくなった。
ジャガ、ニンジンとタマネギ切って、炒めて肉投入。合ってるかは知らん。
ルーはCM便乗、定番の物。グツグツ煮たら出来上がり。――当然、白メシも買ってきてるぜ。レンジでチンするヤツだぞ。
「……まだ寝てるん? しゃーないなぁ」
寝床でグーグー快眠中の撫花さん。結局わたしのなけなしの腕力と、魔法のホウキ、瞬間芸の浮遊魔法で寝室にお運びしたのである。まったく世話のかかる大オトコだ。
「撫花さん、撫花さんっ。もうお昼だよっ。カレー、冷めちゃうよ!」
「ふわぁ。ごめーん陽葵ィ、もうちょっと寝かせてくれる……?」
寝ぼけてカン違いしてる。わたし、陽葵やアリマセン。
「……先、食べとくか」
◆◆
くんかくんか。
ううーん。
これはぁ……スパイシーな食欲をそそるニオイやぁ。……さては、お昼間に食べたカレーだな。
また食べたくなったよー。
「――うわ。寝ちゃってた?!」
食後、撫花さんから与えられた課題を何回か繰り返してるうちについ、ウトウトしたんやと思う。リビングテーブルで夢うつつの国にご案内されてしまった。
そして目をパチクリ。
見上げた先にエプロン姿の陽葵がいた。
◆◆
「今日の晩ゴハン、お姉ちゃんの作ったカレーを採用させて頂きます」
「……あのう。昨日はごめんね? 突然、その、押しかけちゃって……。イヤな思いさせちゃったね」
「いえ。……別に」
モジモジする陽葵。
照れてる? それとも不快に耐えてる?
「えーと。ホントに昨日はごめんなさい。それと今日も。陽葵……さんが居ない時に勝手に上がり込んじゃって。……その、えーと……ごめんなさい。んじゃ、帰ります。迷惑かけました」
テーブル上を片付け、ササッと足早に玄関へ。
撫花さんにはあいさつ出来んかったが、テンパリ気味のわたしには今そんな余裕はない。なんにせよ、陽葵にまた怒鳴られるのが怖い。
――と思い直して踵を返し、陽葵にあらためてアタマを下げる。
「撫花……陽葵さん。わたし、今回はお父さんに用事があって訪ねたんですが、不快な気持ちにさせた事、本当に反省しています。……わたし、あなたにそれを伝えて謝りたくて……なので、待ってました。……じゃあ、失礼します」
「待って。お姉ちゃん」
「……?」
パタパタ……とスリッパを鳴らしてわたしの前に。
少しビビリながら見ていると、ヒョイ、とわたしに向けてアタマを下げて来た。
「お父さんから聞きました。絵を習いに来たって。怒鳴ってごめんなさい。思い違いしてごめんなさい」
「――え、い、いや……わ、わたしこそ……」
「お姉ちゃんの絵見ました。あんまり上手くないけど、『上手になろう』って頑張ってるの、分かりました。絵を習いにっていうのは信じます。ヒドイ言葉使ってごめんなさい」
ああ!
この子ホントに陽葵さんデスカ。
少なくとも暗闇姫家におられる陽葵さんとは別人のよう。
こんなにも素直で、こんなにも礼儀正しい陽葵は、陽葵じゃないっ。
「あ、え、えーと。わたしこそ、アシスタントとかとっさに出任せのウソつきました。そりゃ怒るよねって……後悔してます。そんで、お詫びしなきゃって……、その」
「アシスタントがウソってのは直ぐに気付きました。それほどたくさんの仕事、お父さん受けてないから」
――はは……。
撫花さん、ゆわれてるよー。
◆◆
「お父さん、昨日の晩、一睡もしてなかったと思います。お姉ちゃんを探し回ってましたので」
「わ、わたしを?!」
「警察から連絡もらって『行ってきます』って出掛けて。そのまま朝まで帰って来なかったですから」
見つからなかったって。しょげ返ってたらしい。一晩かけた探し人はそりゃわたし……だったよね。
そんなに熱心に探したり気にしたりしてくれてたんだ……。
「お父さん、わたしに一生懸命説明してくれて。言い合いになったけど、あんなに真剣に人のコトを気にかけるお父さん、珍しかったから。もしかしたらウソじゃなかったのかなぁ、ホントに絵を習いに来てたのかなぁ……なんて。そしてさっき、お姉ちゃんの絵を見て納得がいきました」
覚ったふうに語る陽葵は、沸かしていたポットで紅茶を入れてくれ、わたしのはす向かいに座った。
わたしは彼女に引き留められ、またノコノコと撫花家のリビングに舞い戻ったのである。
「陽葵さん……、しっかりしてるね」
上から目線のつもりじゃなく、心からわたし、そんなセリフが出た。……やっぱり根っこは陽葵なのかも知れない。まっすぐで人を思い遣る子。
「お姉ちゃん。ひとつ、質問していいですか?」
「あ、わたし。暗闇姫ハナヲです」
「じ、じゃあ暗闇姫ハナヲさん。……お姉ちゃんは、お父さんのカノジョさんですか?」
「……へ?」
「お父さんと。どのくらい仲良しなんですか?」
撫花陽葵「カノジョさんなんですか?」
ご訪問感謝、書き手冥利に尽きます。
そう言えば文字数が50万を超えてました。
わたしの創った物語としては最長だと思います。
楽しい楽しいでここまで辿り着きました。これからも歩み続けたいと思います。
(ハナヲが中学卒業までは描きたいなぁ……と大風呂敷を広げるのであった)
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【以下テンプレあいさつ】
最後まで読んで頂き有難うございました。
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暗闇姫ハナヲと魔女っ子一同、そして香坂くら、感謝・感激いたします。




