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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
はっき 夢の世界のわたしは過去のわたしでもあって別の人生を歩んでる愛おしい人でもあって。

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03 【コラボ企画】いい夢アリシュエル気分

今回はGW特別企画でお送りします。

ちゃんと許可もらって登場いただいてマスよー。


異世界魔女っ子たちのドタバタ地味系・日常系・ファンタジーラブコメっ。

すったーとぉ。

◆◆


【特別企画】

MITTさま作:(N2055GH)異世界ネコ転生! ゲーム世界に転生したら、ネコでしたが、くっそ強いロリ美少女のお供として、俺は生き抜くっ!

https://ncode.syosetu.com/n2055gh/ とのコラボ企画

聖国教皇息女、アリシュエル・アスターさんゲスト登場回


挿絵(By みてみん)

こちら、アリシュエルさん! (のつもり)


挿絵(By みてみん)

んでこれが、やみきハナヲ!


それではスタート!


◆◆


 ここは冥界、わたしのバイト先。

 冥府庁長官のキョウちゃんにオッケーもらったので、堂々とサラさんに談判する。


「んもぉ。忙しいんだから私的な頼み事持ち込まないでくれるかしら」


 ブツブツゆいつつ帳面をめくるサラさん。

 彼女、エンマ課課長兼転生サービスセンターのセンター長、ってコトでイワユルわたしの上司。(――そんでもってキョウちゃんの部下。カワイソカワイソ中間管理職やんねー)


 このたびサラさんに異世界同士をつなげるための作業をお願いした次第。キョウちゃん直々の指示なのだ。なので嫌々ながらも作業してくれてる。


「面倒だとか大変だとか言ってるんじゃないのよ? 煩わしい案件に手間をかけさせないでって言ってるの」


 それ、果てしなくニアリーイコールではないですか?


 サラさんに案内されたのは【個別事案対応センター内往来用分岐所】。

 ずらり並んだ事務机に、ぱちぱちソロバン弾く職員さんたちがチラホラ。そのうちの一人が「どうぞ」と個室の方角をを指す。入ると部屋の奥にさらにドアがひとつ、ポツン。


「そのドアをくぐったら、もうそこが別世界よ」

「オーッ。アリガトー」


 ここからお目当ての世界に跳ぶのであーる!


「えーと。もうひとりのあなた、暗闇姫ハナヲがいる世界に跳ぶのよね?」

「そーでーす。その人に絵を教えてもらうねんっ」

「あー。その軽ーい言い方、実にイライラするわね。――じゃ。いってらっしゃい」


 送り出してくれた声が「逝ってヨシ」に聞こえたのは気のせいか。

 ドアを開け、向こうを覗く。


「さっさと、いってらっしゃいっての」


 グイと背中を押されてバタン! ドアを閉じられちゃった。

 このドア、24時間後には消えちゃうらしい。おーこわ。


 ブルッとして周りを見ると、ナゼだか分からんがガタゴトと揺れている。この揺れは何だ? とは全く思わなかった。瞬時に懐かしく辛い揺れやと覚った。

 窓の外、流れ去る夜景。

 あーこれは。


「電車内?」


 どうやらそのようだ。

 改めてゆーが、ここは間違いなく電車内。

 ()()貸し切り運行の夜間列車、どこか知らない土地のローカル線。

 少し落ち着くために座席につき、息を整える。ゴロ寝だって自由自在なガラすき状態。


「さてと……」


 それで。

 さっきからずっと気になっているコトがあった。


 それは隣りの車両だ。ワーワーワーワー声が聞こえてた。あんまし心地いい響きのモンやない。

 深呼吸してからその車両に移動し、声を掛けた。


「――あのう。アカンのとちゃいますか。女の子を汚い言葉でののしって。それで()うコトを聞かせようとするんは」


 見るからのDQNなヤカラさん()()と眼が合った。こ、コワイッ。チビリそうとやや後悔。でも、やからってそんなん見過ごせへんやん。


 彼ら急に黙ってから目配せし、ひとりがわたしの方に近付いた。


「待ちなさいな。わたしがお相手したげるって言ったのに。あなたたち幼女でもお構いなしに襲おうとするの? うわキッモ。サイテー」


 絡まれてた当事者お姉さんが挑発。あ、アカンて。んな火に油注ぐような……!


「能無し粗〇ヤローな輩だもの、仕方なしかな? それとも今すぐ土下座して自分のバカさ愚かさを恥じて、ここから飛び降りるとか? ふふ、それも一興かな」


 チョイチョイと彼女が指してるのはトーゼン車窓、半開きの。

 それをガッ! と開け放ち。


「さぁ。おバカさんども。誰から飛び降りる? あなた? それともあなた?」

「何言ってんだこの女……!」


 さすがに半笑いから怒りの表情にモード転換したDQNたち、彼女に詰め寄った。……もうわたしのコトなんて全員ムシ。完全モブ化した。つーかドキドキハラハラは逆に増大。


 そのとき、お姉さんのツヤッツヤの黒髪が「しゃらららっ」となびいた。そんでキラキラ煌き!

 うっわチョー美人やんッ?! まぶしすぎッ!

 

 ――で、ここからは非現実な光景。

 DQNたちは(何人いたっけ、もうどうでもいい)ひとりも余さず、居なくなっちゃった。

 ブッ飛んじゃった。え……えーと、電車の天井部と側面の一部ごと、車外の暗闇に流れて行っちゃった。悲鳴や怒声なんて一切無し。それほどアッとゆー間の出来事やった。


「お、お姉さんがやったん? 今の……?」

「そーよ。これで彼らも少しは反省するかしら。いえ、反省してもらわなきゃ、更に数発喰らわせる手間がかかっちゃう。それはメンドーよね」

「め、メンドー……お姉さん、そ、それは……ややヤリ過ぎなのでは、と……?」


「ん? お姉さん……? アリシュエル。わたしの名前」

「アリシュエル……さん? わたしは……」


「あなたは()()()()()()、さん。……それゼッケン? いつも体操着で電車に乗ってるの?」

「うっわああ、な、なんでわたしタイソー服?! さてはサラさんのしわざかぁ?」


 お姉さん、アリシュエルさんがクスクス笑って教えてくれた。


「――ここはわたしの国、エスタージェ神聖共和国でも、あなたが普段暮らしている世界でもない、ただの夢の国。無数の人が一夜(ひとよ)の出会いと別れを繰り返す架空の世界。今夜あなたは恐らくたまたまここに紛れ込んでしまったのよ。そして見ず知らずのDQNたちに出会って瞬殺オサラバした。そのついでに絶世の美人と出会うことが出来た……とそういうわけ」

「つまりわたしは異世界に来たってゆーよりも、誰かの夢の世界にお邪魔しちゃったと。そーゆーワケですか?」

「夢ユメ言ってもここも一個のれっきとした異世界。たしかに夢の世界ではあるけれど。……これ、持ってる?」


 見せられたのは、お守り大の札。

 数字が書いてある。1、2、3……6ケタある。


「624216? ……これが?」

「あなたも持ってるでしょ。確認してみて」


 ――持ってた。

 数字、まるきし同じやった!


「本当のわたしの目的地は全然違う数字の場所だったの。何かの手違いであなたと同じ番号の場所に跳び、そしてあなたと巡り合っちゃったんだよね。これって偶然だけど、ある種運命を感じるのはわたしだけなのかな。せっかくなんで限りあるこのヒトトキを楽しみましょ?」


「……アリシュエルさん。エラく前向きですね」

「そりゃ、ね。わたしの過去、あなたの想像以上に重いもの。……聞きたい?」


 大破したってのに未だ走り続ける電車。車掌が駆けつけないどころか緊急停車する気配さえない電車。ゴトゴト、ガタガタと小刻みに震動を繰り返して。

 その不条理をまーったく意に介さないアリシュエルさん。


 それは夢やから?

 夢の世界やから?


「その過去バナシ聞いたらわたし多分、怖くてチビってしまいますんで止めときます。つか、とっとと元の世界に帰って、本来行きたかった世界に行くコトにします。……じゃ」


 そう告げて逃げるように前の車両に戻ると彼女もついて来た。

 そんでもってわたしの肩をポンポン……と叩き、座席につくように促した。当然彼女は先に席についている。――その笑顔、人懐っこい、無条件で信用してまいそうな笑顔。そんな無双技ふりまくのヤメテ。


「あの、わたし。ある人に会うためにこの電車に乗り込んだんです」

「へー奇遇。わたしもよ。わたしはお母さん……かな」

「かなって、お母さんや無いんですか?」

「ごめん。『かな』じゃないよね、お母さん、よね。……顔も見たコトが無いお母さん」


 わたし、知らん間にアリシュエルさんの真横に座ってた。それこそ肩が触れ合いそうなキョリで並んで座ってた。横顔に見とれながら会話してた。


「……ひとつ聞いていいですか? この電車はどこかの駅にちゃんと停まるんですか?」


「へぇ。もしかして、キサラギ駅みたいなのを想像してたりする?」

「えーと……まぁ。――だってさっきからゼンゼン次の駅に到着せんし……何かブキミ……みたいな」


 ケラケラとアリシュエルさん。

 バカにしてるんじゃなくって「かわいーなーもーっ」ってギュッしてくれた。そうしてから、


「――着くわよ、この電車。あなたとわたしの願う場所に。ゼッタイに着く。願ったところに必ず着くの。そう出来てるから安心して」


 と、頭をヨシヨシ。完全に子ども扱いや。……いや、ま、ちっともイヤや無い気分なんですが。ちびっと気恥ずかしいだけで。ハイ。


「――ほら、着いたわよ。――降りないの?」

「――降ります」


 手をつないでホームに。

 何駅やろ? と見たのに駅名がちっともアタマに入んない。そのうちどーでも良くなった。


「わたし、ここから15番線発の電車に乗り換え。暗闇姫(やみき)さんは……」

「はい、2番線みたいです」

「正反対の方向ね。じゃあここでね」


 何のためらいもなく握っていた手を放して立ち去ろうとしたので、思わず呼び止めた。

 それなのにアリシュエルさん、振り向きすらせず、ただ大きく右手を挙げて。


「バイバイ! またね!」


 とびっきり弾んだ声でサヨナラを告げ。

 一気に目当ての階段を駆け上がって行った。


「……変わった人や」


 つい今までつないでた手の温かさを思いつつ、彼女の見えなくなった階段をいつまでも眺めてた。

 遥か遠くのホームから「まーたーねー!」と両手を振るアリシュエルさんに気付くまで、そんなボーゼンとした時間に浸かってた。


 ――負けてらんない。

 何故かそんな風に急に思い立ち、わたしもブンブン手を振った。


「またねーッ! アリシュエルさーんッ!」



◆◆



コラボ企画

【異世界ネコ転生! ゲーム世界に転生したら、ネコでしたが、くっそ強いロリ美少女のお供として、俺は生き抜くっ!】

【黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~】


おしまい。4話に続く。


挿絵(By みてみん)

御礼アリシュエルさん画「可愛くて、ちょっと怖くて、優しそう」(ムズい)

ヒトコトで言うと「メッチャシンドかった!」です。また同じくらい楽しかったです。

キャラが動いてくれるまでに随分時間が掛かりました。動き出したら今度は勝手にしゃべりはじめました。

あと絵。他の方のキャラを描くってなかなか無いし、想像するのがとっても面白かったです。好きな作家のファンアート? 描くの分かる気がする。あと2次創作も。


MITTさま、有難うございました!


最後まで読んで頂き有難うございました。

「良い」と思った方は感想、ブクマ、評価、いいねなどで応援お願いします。

(出来るだけブクマ剥がさんでね)

やみきハナヲと香坂くら、感謝・感激いたします。

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