よんじゅいーち 何百年ぶりかの親子会話(1)
体調がすぐれません。
せめて終末は……もとい、週末は詰めて更新したい。
ムシロを敷いて、ふたり、膝を突き合わせた。
――ふたりってのは当然、わたしと、敵軍の代表であるポルタヴィオン総主教。
ただし、ギャラリーが非常に多い!
しかも、全員余さず敵、敵、敵!
孤軍奮闘とはよくゆーが、今まさにそれ。絶体絶命、絶賛体験中。
「さすがにこんなトコで会見するのはちょっとカンベン……」
「良い天気だなぁ、ナディーヌよ」
うもぉッ!
……ナディーヌってのはわたし、暗闇姫ハナヲの前世での名前。
敵ってゆったがこの男、実はわたしの父親なんだそうである。
なんだそう――ってのは、わたしに実感ないからで。やから、そーゆー表現になってしまってるワケで。
「空を見てみろ」
「空ぁ?」
あの雲、ブタみたいなカタチ。
揚げたらオイシソー。
やからって、それがナニ?!
「あの雲などナディーヌの大好きなブタの揚げ物ソックリだ」
「あ、いや。ブタの揚げ物……トンカツやね。ま、スキやけど」
よー知ってんな!
読心術でも使えるんかい。
「いーや。オレは相手の心なんて読めんぞ?」
「ソレ、読んどりますやんッ!」
「ふふそれはな。オマエの表情の変化でそう察してるだけだ」
へー。
フーン。
表情変化でトンカツが好きって判るもんなんかな!
「判るんだな、これが」
「それ! それや、それ! 明らかオカシイやろッ?! カンゼンにモノローグと会話してるよね?!」
「ハッハ。ナディーヌと話しているとこの上なく楽しいぞ」
「……」
びちょびちょに汗かいてきた。
この話し合い、相当苦労しそう。
ζ' ζ' ζ' ζ'
「そろそろ手打ちにしてください」
「先に越境してきたのはそちらである」
先制パンチを繰り出そうと隣国パヤジャッタに踏み込んだのは、確かにアステリア。
でもそれは諸国連合体のヘルムゲルト連盟軍がアステリアに向かって進撃を開始したからであって、こっちはそれに対抗する防衛手段として手を打ったまで。
「それをゆうなら京師に赴いたスピア姫に危害を加えようとしたそちら側が、先に今回の事態を招いたんじゃないですか?」
「スピアどのは、魔物族を悪しき方向に導こうとする張本人だろ。逮捕されて当然である」
悪しき指導者!
逮捕!
まったくもって穏やかやないね。
「彼女は単に魔物族と人族の融和を図ろうと尽力してるだけです。両者対等な立場で国づくりをしようとしてるんです。悪しき方向へ煽動……なんてしてません」
「ところでナディーヌよ。お前も、黒姫も、漆黒姫も、どうしてそんなヘンな方言を使っている? ナゼ、魔道士【ゲンコ】の呪いをあえて解こうとしないのだ? 非常に不愉快なんだが?」
「えぇ。そ、それは……」
「理由はカンタンだ。つまりは、お前たちは幼稚なのだ。ぬるい仲間うちで、おててつないでキャッキャッしているのが楽しいのだ。それで良いと認めてるのさ」
なっ?!
なんやとォ。
「関西弁つかおうと津軽弁つかおーと、そんなんわたしらの勝手や! アンタにわたしらのコトまでとやかくゆわれる筋はないッ。それがハラ立つって……! 幼稚なんはアンタの方や!」
「アンタ言うなよ、お父さんと言え」
ゴツン!
アタマをどつかれた。
痛くはなかったが、ムッときた!
「そもそもお父さんってなぁ! 子供の良き手本になるべきやろッ! それやのにアンタ、横柄でデリカシーなくて、頭ごなしに人のアタマどついて……ロクでも父さんの典型や!」
……ってアレ?
前にもどっかで似たようなセリフを聞いたような……。
「オレはな、魔物がキライなんだよ。その中でも魔女はサイアクにキライだ。利己主義で、物欲が強くて、勤勉さもない。バカなクセに、人族以上に傲慢で、名誉やゼイタクを求める。魔力を誇示して怖れを与える。まったくあきれた連中だ。そんな者どもは世の中から一掃されて当然なのである」
「ほおう。やから、魔物との共存を目指すアステリア領を目の敵にしたと?」
「そうだ。アステリア、そしてついでにカモデナンディ公国は地図上から一掃すべき病原菌である」
魔法紹介①「障壁魔法」
ポルタヴィオンはハナヲの父親です。
今回は彼のキャラ絵の構想を描こうと思ったんですが、何故かヤメにしました。
わたしの場合、新キャラはイメージするのに絵を描いたりするんですが……「まーいっか」となりました。
オトコキャラやしなぁ。まーいっか。




