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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
ななきっ 学校ほっぽって異世界の騒動に首を突っ込んでる妹をこれ以上あおらんといて! 元勇者と元魔王魔女の仲を気にしてるおせっかいな姉が承知せんからね!

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さんじゅごー 脅威

不定期更新が続きすみません。

今日も載せることが出来ました。


「いちおー先に聞いておく。アステリアを滅ぼしたい理由はナニ?!」


 わたし、ここが決戦地やと決めた。

 まだ万全とはゆえんまでも、ある程度の身体的・魔力的回復はできた。

 シータンもいる。


 あとは、バズスとかんなぎリンを正気に戻せれば勝機はある! ……と思いたい。


「先に――とは? 何を置いて先に問い詰めるというのか? 甚だ疑問なり」


 禅問答でも楽しんでるかのような嘲ったような態度で、性懲りもなく再びわたしのアタマに触れようとしてきたので、両手で思いっきり突き放してやった。


「【先に】ってのはなー、決まってるやろっ【アンタを叩きのめす前に】ってコトやッ!」


 コロコロリ。

 ――と他愛なく魔狼(ベデル)の背中から転げ落ちた総主教ポルタヴィオン。


 地面までの高さ、ゆうに2メートルは超えてたので後悔がちょっぴり混じり、わたしも降りてみた。まさか大変なコトにはなってないとは思ったけれども。


 そしたら、バズスとリンが「わー」とわめいて背を追ってきた。


 彼らの心配はわたしにあらずは明らかで、にわか仕込みに崇敬するポルタヴィオン(オッチャン)を心配してのコト、憤慨の眼を血走らせてわたしに噛みついた。


 かたや、何故だかポルタヴィオンはとっくに魔狼(ベデル)の背に戻っている。

 そして次のターゲット、シータンの方にゆっくりと近づいている。


「ポルタヴィオン! わたしとの話、まだ終わってへんで!」

「終わりダヨ、ペロペロキャワイーちゃん!」


 バズスが両手を持ち上げ、ゆーらゆーら振り回し始めた。


「――なッ?! バズス! アンタ、わたしにマジホンキな魔力をぶつける気イかッ?! ――()っ?!」


 このタイミングで!

 アタマ痛がぶり返した。


 それでもどうにか魔法用障壁を張り、爆裂弾に備えた。

 なのに。

 あろうことか、かんなぎリンがせっかくの防護陣を解除する。


「センパイ。これはお仕置きなんです。わたしはセンパイのために心を鬼にします」


 バズスの一撃を喰らう瞬間、シータンがわたしに覆い被さった。

 彼女の必死の眼と、バカでかい炎の柱が重なった。


 何か叫んだと思う。

 それは自分の耳にも届かなかった。




ζ'  ζ'  ζ'  ζ'



 あたり一面が緑の色味を失くし、炭化し爛れた土がロチロ残り火を発している。

 死骸になった魔狼(ベデル)は、こんもりとした山のようになって転がっていた。


「バズス……オマエ……」


 ののしってやりたいのに言葉が上手く出ない。

 怒りが勝ちすぎて唸るばかりだ。


「いけません、ハナヲ。ポルタヴィオンの思うつぼです」

「シータン……」


 真っ黒に焼けたシータンの背中。

 痛ましいのと申し訳ないのとで、とても正視できない。


 ポルタヴィオンが静かに語りかける。


「その様子だと、魔女シンクハーフ・バレーヌの恢復にはあと5分は掛かるな。ナディーヌ・ド・アステリア、いや暗闇姫ハナヲ。その間オマエはどう乗り切る? もう助けは無いと思えよ?」


 カッカするのと恐ろしいのとで更に気分が悪くなってきたわたし。


「……ハ、ハナヲ。相手の力は強大です。勝ち目のない戦はすべきではありません」


 ――シータン。そうはゆうけどさ。

 降参したら話が解決するなんてコト、ちっとも思えんよ?


「じゃあシータンは諦めるってゆーのんッ? アステリアが無くなっちゃうんやで?! それでいーのんッ?!」

「感情的にならないでください。わたしは冷静に対処しましょうと言ってるだけです」


 わたしは……!

 わたしは冷静や!


「バズス! かんなぎリン! いい加減正気に戻って! 一致団結して当たらんとポルタヴィオンの良いようにされてまうだけや!」


 懸命の叫びに、ふたりは額を押さえだした。


「まだ戻らんか!」


 ふたりの頬げたを思いっきり(はた)いてやった。


「――オヤ? 無粋な邪魔モノが近付いてきたな。もうちょっとだったが、まぁいい。今日のところは引き下がるとしよう」


 鼻をスンスンゆわせたポルタヴィオンが独白し消えた。

 バタンとバズス、リンが倒れ込んだ。


 ――カンゼンに白目をむいている。


「……わたしの強烈パンチで?」

「当然ながら違います。ポルタヴィオンの支配が解かれたんです。どれだけ自信過剰なんですか、ハイテンションなハナヲさん」


 瀕死のダメージ負ったクセに、口がよく動くよね、シータン。


 (ノワル)姫、漆黒(ノワルディジェ)姫、そしてコレットこと暗闇姫惟人が、数体の魔狼(ベデル)飛竜(エル)を連れてあらわれた。


「……逃げ足の速いオヤジさんだコト」


 漆黒(ノワルディジェ)が忌々し気に頬を引き攣らせた。いつもどこかふざけたようなところがあるが、今日はなんだか語調に真剣味が感じられる。


陽葵(ひまり)。聞きたいのですが、何故ポルタヴィオンはわたしやハナヲの名前を知ってたんでしょうか?」


 やや頬を固くさせながら、シータンが尋ねた。彼女の、すっかり元通りになった白い背中が大きく露出している。トレードマークのドテラが更に破損してしまった。だいぶショックを受けてるに違いないが。


挿絵(By みてみん)

キャラ紹介⑪かんなぎリン 

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