にじゅく! 戦場のど真ん中
本日中に絵が間に合いました。
「ナーナー、ペロペロキャワイーちゃんたら、どー思う?」
「ど、どーってナニがッ?!」
「ラルトの旦那のコトよー」
見かけないけども、そーいやさ!
しょっちゅういなくなるね!
「ナンやってのよ、ソレがッ?!」
「あーんもー。じれったいペロペロキャワイーちゃんだコト!」
突如バズスに両脇を抱えられたかと思ったら、思いっきり高い高いされた!
ぐわわあぁぁ!
ちょまちいーッ、高い高いどころやないッ!
お空高くに放り投げられたあぁぁぁッ!
「ぎゃあああっ、バズスうッ、いま戦闘中やぞぉぉぉ! ナニするんやぁ!」
「ほらぁ見て。3時の方向、陽が昇った山の方、ラルトのダンナがオンナ侍らせてのたうち回ってるがな―ッ!」
「どーでもいー、いまソレ、どーでもいいっ!」
真下に無数の敵兵が群がる中、見る余裕なんてないわッ!
――とかゆいつつ、女の子数人に囲まれてのたうち回るって表現されてる彼をしっかり視認してしまう。
彼にまとわりついてる子ひとり!
彼にビンタかましてる子2名!
彼にケリ! 入れてる子ひとり、――あと数人が彼を取り囲んでるう!
出で立ちから、全員【輝く乙女部隊】ではないかと推察!
以上、確認限界ッ!
「双妖精出力全開ッ!」
右手の剣がずっしりと重くなった。ビカビカと光り出した。
「バズース! 同じく3時の方向に【石像】発見や! わたしをそこまで飛ばして!」
戦場のど真ん中で痴話ゲンカを観察させられたのは無念つか不快!
けれども石像を発見できたのは、またとない行幸。
魔剣をぶつけてこれを完全破壊してやるッ!
待っててよ、アステリアの兵たち!
「ペロペロキャワイーちゃおん、ソレムリーでげすー! 正直言って石像のおかげで頭痛がイタくてもう魔法使えマセーン」
ガック!
「んもぉぉ、役立たずう!!」
地上落下寸前のわたしを受け止めたバズス、悲しそーなカオ。
「あー悪かった悪かった。んじゃあ、わたしと武市くんを石像めがけてブン投げて!」
「アーイッ! イエッサー! お役に立ちますゼイ!!」
とはゆっても幾ら怪力自慢のバズスでも石像のところまでわたしを投げるのはムリ。トーゼン、投げられた側のわたしもヒドイ目に遭う。
そこで我が魔剣、双妖精を最大限使うわけや!
ひさびさの、超限定解除!
身体にどんな影響が出るんか知らんのやが、ここはそんなコトゆってらんないし!
「突撃! 征けい、バズース!」
「アイアイサーでゲスうッ、ペロペロキャワイーチャオォォォンッ!」
武市くんをしっかと抱き、ふたりは一個の弾丸と化して跳んだ。
頸がもげそうなGを受ける。
「武市くんッ! ヘン顔ヤメテッ! 力が抜けるッ!」
「ま、ま、まっ! 真顔だぁぁッ」
バズスの底無しパワーと双妖精の潜在能力、そしてわたしの固定スキル【超限定解除】が相まって上空高く敵兵らを一気越え、石像に迫った。
けどしかしっ。
「ズレてる! 位置がだいぶズレてるッ!」
「暗闇姫ッ! オレを石像の方向に跳ばしてくれッ」
「ええっ?! 出来ないよ」
アンタがどーなるか分かんないし、それに魔力が急速に減退しだしてるしッ!
「暗闇姫あんとき、オレら全員仲間だって言ってくれたよな。『みんなで明るい空見よう』って!」
「空?! 空がどーしたん?!」
「オレ、防人の房室で、キミに元気づけられた! 有難う!」
「さ、防人のとき?」
「オレやシンクハーフを救ってくれて有難う! それと……オレ、お前が好きだ」
急に武市くんの色が無くなった。
「武市くんッ!」
「暗闇姫――オレを早く石像に」
こ、このォ!
武市のヤツ、何もかも計算ずくで。
「ズルイでッ! 自分ひとりがマンゾクしてやり遂げた感出してんやないでッ! もうちょいしっかりしいッ、告るんやったら物事が落ち着いてから、ゆっくり、キチンとしい!」
「暗闇姫」
「そうせんと心に響かんッ。胸に受け止めきれんッ! このっアホチンッ!」
放物線を描いていたわたしらは最高高度に達した。
滞空状態を実感するコト約2秒、やがてゆっくりと落下し始めた。
「……分かった。じゃあ一緒に行ってくれ。暗闇姫」
敵の矢が届き始めた。
とゆって防御魔法に回す余力は無い。当たったら諦めよう。
「全力でぶつかるよ。武市くん」
再び空中で浮遊感を得たわたしは、まっすぐ石像をにらんだ。
「軌道修正。目標、魔力吸収機!」
目減りする魔力を飛翔魔法に振り当て、あらためて石像を目指す。
キャラ紹介⑤漆黒姫リラ




