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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
ななきっ 学校ほっぽって異世界の騒動に首を突っ込んでる妹をこれ以上あおらんといて! 元勇者と元魔王魔女の仲を気にしてるおせっかいな姉が承知せんからね!

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にじゅはーち 戦場奇想曲

文と絵、両方好き。

手間なのは仕方ない。好きなんだもの。


 うっかりしてたよ。

 バズスがいないと瞬間移動が出来ん!



 ーー山裾の草木をかき分けて()()()()リンとふたり、戦場に向かう。


 わたしはウンザリし始めてたが、リンはわたしと違って「戦場なのにまさか!」 のピクニック気分? なんかやたら楽しそう。なしてそんなにウキウキしてられるん。


「センパイ。リーマン時代にこんなコトがありましたねぇ。――ほら、顧客先からの帰り。乗ってた車がエンストしちゃって」

「ん? ……それってたしか、単にガス欠やったろ。リンが給油をメンドーがったせいで」


「まだ持つと思ったんですもん。山道で車が動かなくなって。あのときセンパイ、麓のガソリンスタンドに行ってくれたんですよね」

「どーも話を歪曲させて憶えてるなぁ。アレはリンが『崖下に()()()()()のスタンドが見えます』って叫んで、わたしが止めるのも聞かずに斜面を駆け下りて行ってもーたんやろ。わたしはそれを追い掛けただけ」


「だって。真っ直ぐの方が近道だと思ったんですよ」


 何をゆっとるか!

 ホントあのときは焦ったんやで。

 田中(リン)のヤツ、妙に責任感じて暴走して……。


「センパイ、ぐねぐねの車道を全速力で走り降りて。結局わたしより早くガソリンスタンドに到着しちゃったんですよ。待っててくれたんですよね」

「そりゃそーや……下手すりゃ捜索願を出さなきゃアカンと思ったし、こっちは必死で」


「あのときの一生懸命走ってるセンパイのカオ、素敵でケッサクでした」

「……ケンカ売ってんのやね、リン? 見てたんなら引き返して欲しかった」


 ハー。もう思い出し禁止。ロクでもない昔話。もーいい、もーいい。

 まったく苦々しいなー。記憶のフタを閉じよう。


 そしたらリン、ふふふと笑い。


 なんやのそれ。そのカオ。

 不快なんすけど。

 そうそれや、それ。そのカオやって!


 やたらカワユク微笑んでるし。

 逆にブキミで不安にナリマスから!


「……あのさ。わたし、ひょっとしてそんとき、何か仕出かした?」


 そう聞かざるを得ない。


「センパイ、ハーハー肩で息を吐いて、汗をダラダラ流しちゃって。――で、そのときわたしにこう言ったんですよ」


「…………(ゴクリ)」


 どうにか急斜面を降りきったところに頃合いの良い岩場があった。ちょうどいい足場に思えた。一段落だ。

 ――そこに、武市くんが、ハーハー苦しそうに息を吐きつつ突っ立ってた。

 かなり苦し気なカンジで。やたら汗を垂れ流してて。


 って、武市くん?

 山の中腹にいたはずやん?

 ここまで走ってきたん?


 ……なんかわたしを睨んでる?


「勝手に行動すんなよ。相談無しの頑張りは自分のためだけにとっとけって。オレはお前が思うほど頼りなくないからな。そのこと、次からちゃんと憶えといてくれよ」


「……あ、その。そーやんね。勝手に行動しちゃって……心配させてごめん」


 武市くんが見せた凄みにタジタジになって詫びた。えらく怒ってんなぁ。


 ホント驚いた。

 あの山の上からどーやって降りて来たん?


 ほぼ直線距離で降りたはずのわたしらより早く?


 置いてかれたって思ったん?

 そんなに必死に追いかけてこなくても。


「フー。ホントやっかみますね」

「え? あ、ごめんリン。……で、わたし、そんとき何てゆったって?」


「…………もーいーです」


 リンも怒り出した。

 なんやの、もーッ!


 ヒューッとバズスも降りて来た。


「作戦立てんとイカンげや、ペロペロキャワイーちゃん。軍事において単独行動は厳禁ヨ」

「……いまも武市くんに怒られたトコです。ごめん」


 また怒りモードの人が増えた。


「いえしかし、これ以上グズグズも出来ません。魔軍がもう崩壊寸前です!」


 指差すラルトさんの声は震えている。


 圧倒的な人数で押し寄せるヘルムゲルト連盟騎士団に、少数で耐えるアステリア魔軍は完全に崩れかけていた。剛健無双の魔物(ミニュイ)が次々に斃れ始めていた。


「石像は? 例の石像は見当たらないの?!」


 バズスの肩に乗って遠望鏡を探るシータンが首を振る。

 その石像の影響で視界不良らしい。


 正確な位置は特定出来そうにない。

 

「とにかく突っ込もう! せめて味方の戦力にならなきゃ!」

「わたしの部隊を投入します」


「頼みます、ラルトさん。わたしらも側面から奇襲をかけます」



挿絵(By みてみん)

キャラ紹介④黒姫ひまり

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