表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
ななきっ 学校ほっぽって異世界の騒動に首を突っ込んでる妹をこれ以上あおらんといて! 元勇者と元魔王魔女の仲を気にしてるおせっかいな姉が承知せんからね!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

217/326

きゅう 切迫する武市とルリ


 ウミさんと青鬼の登場には何の疑問も持たない。そりゃ、ふたりの目的までは知らんけども。

 わたしらは冥界経由でアステリアに来たんやから、同じルートを通って冥界人が訪ねてきたってフシギやないし?


 しかしながら武市半平太くんがいるのはナゼなの?


「サラ、そして暗闇姫さん。あなたたち、この少年に付けられてたのよ?」


 つけられてた……。それって尾行されてたってコト?


「そ、そんなはずは……! 普通の人間が異世界の入り口を発見するなんて考えられません!」


 サラさんが反論したら、ウミさんがこわいカオで彼女に迫った。


「繰り返します。あなたは尾行されていました、サラセンター長。だろう判断は厳禁。かも知れない行動を取りなさい」

「も、申し訳ありません」


 ……。

 あのサラさんがしょげ返っている。

 ……あの、サラさんが。


 武市くんが言う。


「ごめん。オレ、どうしても暗闇姫たちが気になって駅まで追いかけてしまった。でも見失って。諦めきれずにいたら、4人連れで現れたんで……」


 駅のエレベータが冥界とつながってる。それを見られちゃったのか?!


「迂闊だった。オレ、気付けなかった」


 惟人が言うとウミさんが、


「惟人くんも迂闊だったわね。武市半平太くんは()冥界人よ。だから気付けなかったのかも」

「冥界人?!」


「冥界人だったときの能力がまだ維持されてたら、気配を消すことも容易だったろうし。そのことと、尾行を警戒していなかったことは別物だけどね」


 しれっと後出し設定を提供しつつ、お説教!

 武市くん、シータンにむかって一礼した。そして彼女も一礼。


「この少年は、蜘蛛の糸事業で防人をしてたときのわたしの、同居人(バディ)です」


 今更ながらの説明やが、シータンのドテラは、ゲンコとの戦いで袖が取れてしまい、形状をちゃんちゃこに変えている。

 なので袖の下をさぐろうとして手を止めたシータンは、ハタと困り顔をつくって、あらためて懐から小銭入れを取り出し、その中の百円玉を武市くんに渡した。


 何をしようってのか?

 わたしたちの視線を浴びたシータン。


「有難う。あのとき借りてたお金です」


 はい?

 久々に会ってんのに、そんな程度の対応なん?

 思い出の品でも出すのかと思いきや、ただの律儀一徹やねんね、シータン。

 つーか男子に無反応、相変わらずやねぇ。


「防人のときにオレ、暗闇姫に勇気づけられたんだ。憶えてないだろうけど。今度はオレが暗闇姫の役に立ちたいから! ゼッタイにジャマはしないから! 手伝わせて欲しい!」

「わたしが? キミを勇気づけた?」


「ほんのモブキャラと思ってたダンハンがいきなりゲストキャラ入り、もしくは準レギュラーポジジョンに割り込もうとしてるのを目の当たりにして。皆はん、鳩が豆鉄砲を食ったようなカオをしてまんなあ」


 ケッケッケと青鬼。どーしてアンタはいっつもそんな風なの?


「武市くんたら、暗闇姫さんの後を追えるなら電車に飛び込んでもう一度冥界人になってもいいとまで言ってたし。どこまでハーレム要素を持ってるのかなぁ、暗闇姫ハナヲさん。実にうらやましいわ」

「そ、そんなんゆわれても知らんですよ、ウミさん」


 言葉通りの謙遜か、それとも計算ずくのイヤミか。

 どっちにしても何だかムカつくよぉ。


 会話に参加しようともしない惟人はだまって部屋から出て行った。――のに、再び戻ってきた。明らかに困惑顔を浮かべている。


「どーしたの、惟人?」


「ハナヲちゃん。……ココロクルリが帰ってきた」

「え、ルリさまが?!」


 おかえりをゆいかけて息を呑む。

 ドアの陰から「ヌッ」と覗いたカオは、思い詰めた魔女っ子特有の……殺気。


「あなたたち。何()()()()勢ぞろいしちゃってんの?! アステリア(こっち)に来るなって言ったよね?! シンクハーフ! あなたが居ながら、いったいどーゆーコトなのッ」


 ワナつかせる両の手から相当量の炎が吹き上がっている。すぐにも攻撃しそうな剣幕で。


「とっとと日本に帰れニャ。さもなくば、ルリちゃまの魔法バズーカがオマエらの頭をぶっとぱすぜい」


 臣従する使い魔マカロンの眼も妖しい。一途に主人の意を通そうとゆー強い意志を感じる。


「ココロクルリ、聞いてください。ハナヲと惟人は陽葵のためにここに駆けつけたんです。手分けして、スピア姫どもども助けましょう」


 なだめようと近づいたシータンに向かって、ルリさまはためらいなく火砲を撃ち込んだ!


 間に割って入った惟人が現出させた勇者の剣でそれを吸収、そのままの勢いでルリさまの首元に切っ先を当てた。


 身を逸らしてよろめくルリさま、廊下側に転げた。

 不意打ちを受けたってのに、シータンはルリさまを抱き起こし、大丈夫かと相手の心配をする。そうゆーわたしも、無意識に彼女の手を取っていた。


「――陽葵に何かあったの?」


 ゆがめた眉と膨らませた鼻孔が甚だしくブサイクに映ったルリさま、ブワッ! と大粒のナミダを眼にあふれさせた。


「陽葵に愛想つかされたのー。わーん」


挿絵(By みてみん)

ルリさま暴走


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ