にじゅしち。 ナニが起こったの?
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まずはお断りの挨拶を。
「どこにいるのか分かりませんが! このお屋敷を守護する大魔道士【原子】さん。わたしら、あなたの意思に反し、いまから破壊活動に勤しみます。家主の許可済みです。えーですね?」
まーとりあえずは広間の壁に向かって一礼してから、迫りくる襲撃者どもを迎え撃った。
シータンとルリさまはその間、朝の支度……だそうで……なんとまぁ、わたしは独りそこに取り残されてパジャマのままでバトルに興じようとしている。
そーゆー状況に何だかムカついたので、まだ見ぬ魔道士さんとやらに八つ当たりのけしかけをおこなったのであった。
さっそく。西洋騎士の鉄仮面ども、大仰な剣を振るって来た。
対物障壁を展開しているため、残念ですが、あなたたちの攻撃はすべて弾かせて頂きます。けどもお返しはおっきいよー?
愛用の魔剣、双妖精で一掃。
ついでに広間に飾ってあったオドロオドロした絵画や美術品も爆風にまみれて四散させてやった。
「ハナヲ。うしろ」
ひょっこり戦線復帰したシータンと肩を並べて、奇襲の鎧武者を灰にした。
……この中味、誰も入って無かったよね? 万が一、中の人いたら……ゴメンナサイでは済まんね。
「西洋だけや無くって和の戦闘員もいるんや?」
「さっき、お化粧室に旧日本兵もどきが居ましたよ?」
銃剣を振り回したのでやむなくシータン・アイテム、【眠らせ玉】で冬眠させたとの事。
「シータン。シータンの肩に落ち武者っぽい人が引っかかってるよ?」
「げ。イヤだ」
非力の彼女だが、その分魔法力はわたしらの中で一番高い。
光芒に包まれた落ち武者さん(仮名)は、跡形もなく地上から消え失せた。
まるでそのついでのようにシータンの左指が宙に泳いだ瞬間に群がりつつあった別の落ち武者軍団が消えた。見えなくなった。……逝ってしまわれた。
「バズスとの戦い以来やね、シータンがホンキ見せるの」
「そんな。だいぶ前のページを読まないと、イミ分かんないホメ方はやめてください。照れますから」
まんざらでもないってね。
――と、ルリさまの悲鳴が聞こえた。悲鳴とゆうより怒鳴り?
両手で高々とマカロンを持ち上げて、全力疾走してきた。
「いっやああああぁぁ! キモイ、キモイ、キモイ!」
「ルリさま! キモイって単語は禁止! 特に中年のお父さんが傷つくことがあるから!」
「でも、でもっ!」
「Gでもいたか?」
「オジさんがいたぁ!」
ホントにいたんだ? ってか、オジさん?!
ルリさまから数秒遅れて現れたのは中年小太りのオジさん。
ほぼハダカ。
ツルンツルンでプヨンプヨンの白い肌を晒しながら、ふんどし一丁の全力疾走で彼女を追尾してる。
「逃げんといてぇなぁ。ぶふふ」
オジさん、嗤ってるのやない。泣いている。
……てか、足をもつれさせてコケた。したたかに床にカオを打ち、鼻血を出している。
「オジさん、アンタ誰ッ?! 落ち武者仲間なん?! ちょっと局部見えそうでイヤなんやが!」
隠すためのタオルを投げ与えて抗議。さすがに助け起こす勇気は出ない、ごめん。
「ワシはワシはぁ……」
懸命に名乗ろうとしている。
その時やった。
予想外のコトが起こった。
「あぶないっハナヲッ!」
怒気を放ったシータンが、わたしの前に飛び出した。
その身を総毛立たせている!
「ど――?!」
瞬時後。
シータンの右肩付近に強烈な音をのせた光弾が炸裂。
彼女、大きく後ろに弾け飛び、動かなくなった。
「シータ……!」
わたしに向けて放たれた2撃目が、とっさに伸びたルリさまの右手で払われて後逸。
直撃した窓ごと壁面に大穴が開いた。
「痛ったぁ」
「ルリさま!」
ゆっくりと起き上がった鼻血・半裸のオジサンが、ニヤリと嗤った。
シータン「ハナヲあぶないっ」




