にじゅし。 ペッペー君の活躍?
ペッペーくん。ちょっとコワイヤツ。
――さあて。捜索を再開するとしますか。
とはゆっても、アテができたワケではさらさらなく。
「この闇館に潜んでる魔道士を見つけて追い出すんでしょ? 人の住めるところなんて知れてるんじゃない?」
「ドラマとかだとたいてい最地下とかですが」
3人で(適当に)話し合った結果、最地下に行ってみることにした。
「上手く行けば漆黒姫さまに感謝されるのかな?」
「知らんけど、そりゃ希望が叶ったら、喜ぶんやないかな」
「聞いてますか、漆黒姫? わたしたちはあなたさまの願いを実現させるため探索を続けてます。どうかそこのところ、お知りおきくださいな」
漆黒姫が遠望鏡でわたしたちの行動を覗き見してるのを前提でシータンが話しかける。
幼猫マカロンがヘンなコトをゆった。
「前の階あたりからニャ。ピリピリしてた背中が治ったニャア」
「痛かったの? 背中が?」
「イタイとかじゃないニャ。何か虫みたいのがくっついてた感触ニャ。それがなくなったニャー」
先頭のシータンが立ち止まった。
「虫? ……あぁ、もしかすると漆黒姫の監視メガネの効力が切れたのかも知れませんね」
シータンによると遠望鏡魔法で遠隔を覗き見るのにも限界があり、遮蔽レベルが一定を超えると能力限界になるとゆう。
「ここは地下20階。確かにそれもあり得るやんね」
「マカロンはわたしの魔力エネルギーそのものを体現化したものだから、周囲の魔力波長に敏感なんだと思う。漆黒姫さまの魔法に影響されてたのもうなづけるよ」
しかし。
と、シータンがゆう。
「でももしそうであれば、他の魔力波長、例えば大魔道士の発する魔力なども、もし彼に近づいているならばマカロンが感じるはず。それが無い……となると」
「地下方向には目標の人物が居ないってコト?」
――そのときドン! と。
わたしらの向背の通路がふさがった!
天井から巨石が落下したのだった。
「…………。こんな話をした途端、仕掛けが作動しましたねぇ。……ホント、キモチ悪い建物です。闇館というのは」
引き返せなくわたしたちの前方で低いうめき声が聞こえた。
ノドを震わせる動物の――戦闘意欲の高そうな……。
「魔物族、オオカミ系の……」
「魔狼?!」
首がふたつ。尾がみっつ。
わたしら3人分を足した大きさを有してるバケモノオオカミ。
それが3体、曲がり角の向こうからのっそり姿を現した。
「ひーん。これって必ず襲われるパターンやんね?」
「もしかしてわたしたち、襲われて食べられちゃうパターン?」
「手なずけて背中に載せてもらっちゃうパターンは無いでしょうか?」
一番あり得んジョークを飛ばしたシータンが、胸の前で右手をクルリと回した。
カカシのような着物を着た機械人形が飛び出し、わたしらの盾になるように通路に立ちふさがった。
「ペッペーくん、オオカミたちの相手をしてください」
「ハイ。イラッシャイマセ。御注文ハ、ナンデスカ?」
わ。機械がしゃべった!
けど意味不明な遣り取りを始めようとしてる!
「アナタノオッシャリヨウハ、ヨクワカリマセン」
良く分からんのはこっちや。
でもホラ見て、オオカミたちが遠巻きに接近して来なくなった。
「ペッペーくんの特徴は対象物を遠ざける機能があります。一度ロックオンしたら視界からソレが居なくなるまでおもてなしを続けようとします」
「おもてなし?」
「ひたすら相手に話し掛けます」
それだけの機能なんっ?
「対象物がキライな匂いを発してるんですよ。不快になった者どもは、無意識にその場を去ってしまいます。これで無益な衝突をしないで済むでしょう?」
ペッペーくんが前進したら、確かに魔狼たちがその分後退してる。
3人は彼の後ろに付いて前進して行った。
「……ペッペーくん、シータンの発明品なん?」
「そーですよ? なかなか優れモノでしょう? 持参して正解でした」
ちょうど更に下の階に向かう階段に辿り着いたので、そこにペッペーくんを放置、そして階下へ進んだ。ペッペーくん有難うね。
シータン「やるヤツです」




