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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
ろっき ワガママじーさんを救うために生意気な妹の願望を叶えるのも姉の大事な務めなんや?

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にじゅさん。 漆黒姫は籠の鳥?

更新します。

絵、好き勝手に描いてます。(文末)


「ひとつ聞いていい? 漆黒(ノワルディジェ)姫」

「なーんだい、ハナヲ姉?」

「自分でその魔導書とやらは探そうとせんかったん? 今まで一回も?」


 ほう。と感心したような声を上げる。わざとらしいわっ。


「これ言ったら怒られるなぁ。だってメンドーやもん」

「……はあっ?! メンドー?」


「そんなにヒマちゃうのよな、わたし。ゲームしたり、マンガ読んだり、ときどきお仕事したり。やからそんな些末な煩いゴトは、ヒマ人がすればエエんちゃうの? ってねぇ」


 たぶん。きっと。おそらく。

 アンタは良い死に方せん。


 そしてわたしはいま、阿修羅の形相を彼女に向けているに違いない。


 ルリさまの使い魔、マカロンがわたしのアタマに飛び乗った。

 さらに、腕をつかみ自重をうながすルリさま。


「ハナヲ。わたしらは賭けゲームのために本探しをしてるんでしょ? 漆黒姫さまのいうヒマ人の類じゃないよ?」


 ……うむ。それもそーだ。つい被害者ぶっちゃった。

 わたしらの悶えようを楽しそうに眺めて漆黒姫が続けた。


「だいたい、魔導書なるものが本当に存在するのかどーかも知らんしなー」


「が、がびーん! ちょっ?! もっかいゆって、漆黒姫?! 魔導書が無いかもって?!」


 コクコクと漆黒姫。


「何故って。わたし、現物を見とらんもの。代々語り継がれとるだけで」


 すかさず()()()()リンの首を絞める。


「ドーユーコトデスカネ? かんなぎ監督官?」

「せ、せ、せ、センパイっ、落ち着いて、落ち着いてクダサイーッッ。説明しますからぁ」


 ――魔導書の存在はそれを著したとされる大魔道士【原子(ゲンコ)】の口伝に頼っている。


 つまり彼が魔導書の存在を認めているにすぎず。

 (テネヴ)館内に所蔵しているとゆー話も、彼の証言が発端になって伝承されているとのコトで。


「よーは()()()とかゆーのを締め上げて、本をゲットすりゃ良ーんやね?」

「そーゆーコトですが、問題はその人物がこの館内の何処にいるか、誰も知らないって話でして」


 ちょちょちょちょ待て!

 知らんオッサンが自分ちの中でウロウロ住んでて、それでよくキショ悪ないモンやな?!

 漆黒姫、アンタもよくそれで平気やな?


「そりゃま、キショイ甚だしいぞ。でも仕方なかろ、この闇館、ソイツが居なくなりゃ、たちまち崩壊してまう設計らしいんやからな。ククク、まるで人柱、呪いのオウチじゃあ」


 クククとちゃうやろッ!


「崩壊とか呪いとか、いまいちよーワカラン。つまりはその魔道士が設計して……」

「設計、建築、館内の仕掛けまで、すべてその魔道士が手掛けました。依頼主のオーダーはただひとつ」


「当主が快適に暮らせる家」


「それが何で呪いなんや?」


 イカくんをクチャクチャしがみだした漆黒姫。


「その見返りに、当主は(テネヴ)館の【籠の鳥】になるのがおきて」

「漆黒姫さまはこの闇館から離れられないのですよ。離れたら死ヌ」


 シヌ。

 ハー……死ヌりマスか。

 それが呪い……。


「でもさ?! 魔法学校の開校式とか、時たまは外出してたやんね? それってのは?」

「ハナヲ。カンタンな話です。それは幻術の魔法」


 シータンの補足で思い当たった。

 最初に闇館を訪れたとき、陽葵とふたり、いろんなマボロシを見せられたっけ?!


「それの応用で疑似外出してたというわけでしょう」


「一言ゆうぞ、ハッキリゆってキモイ! そんな家に住んでる漆黒姫(いもうと)が、お姉ちゃんはとてつもなく心配や! そーか、よーく理解した。つまりや、この闇館はそのナントカってゆー、アタマのオカシイ魔道士の好き勝手にされてるってんやな?」


「あ、アタマがオカシイってか?」

「あー、オカシイオカシイ。大いにオカシイよ! お姉ちゃん、そんなヤツ、許さないよ!」


 わたし、テーブルのコーラをガブ飲みして咳き込む。ああ興奮してきた。


「ククク。やけにテンションあげてきとるなぁ」

「漆黒姫! アンタはこの闇館から引っ越したくないんか?」

「引っ越しって? 陽葵お姉みたいに夜逃げしろと?」

「ちゃう。堂々とオサラバするんや」


「カカカ。なーに言うてんのや。そんなん出来るかいな……」

「できる、でけんやない。したいか、したくないかや!」


 詰問され、にわかに不快気に黙る漆黒姫(いもうと)

 数秒の後、ニタリと唇の端を歪め上げる。


「ハナヲ姉。引越ししたいって言うたらさせてくれんのか? 無責任な結果になったらどーするん?」

「ゴタゴタゆわんでいいよ。アンタはわたしの問いに返事だけしたらえーねん。この闇館生活を終わらせたいんか、それとも続けたいんか?」


 漆黒姫、再び沈黙。

 シータンの、チーズバーガーを咀嚼する音だけが耳につく。


 やがて。


「ハナヲ姉。引越ししたい。もうこの家は飽きた」


 それを聞き、シータン、ルリさまが同時に立ち上がった。

 わたしも大きくうなづき、立ち上がった。


 ――な、リン、この賭けゲームの勝利への道すじ、拓けたで。

 リンもアイコンタクトで強く賛意を示した。


挿絵(By みてみん)

ハナヲ「道すじ見えたー」

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