にじゅいち。 尤もらしいが嘘くさい?
――で、わたしらはまだ図書室にてウロウロしている。
マンガと少年雑誌しか無い図書室。
そんなん図書室ゆーたらアカン。
【憩い室】と名前を変えなさい! はい、いまスグに!
「この部屋がこうゆう状態やって知ってたんなら、最初から教えといてーや、リン」
「ごめんなさいです。表立って情報伝えるのは御法度なんです」
まそりゃそーかもやが。
わたしは予め決めていた合図をリンに送った。
胸元で両手ハートマークを作るってゆーサイン。……もちっと無難なサインがあったやろ!
「了解。……――監視封鎖起動しました」
「アリガト。これだけ質問していい? 探し物の本は実在すんの? 空想の世界にしか無いとか?」
「実在します。でないとゲームを称せませんし」
「在り処は知らへんねんな?」
「はい。わたしも正直知りません。ちなみに漆黒姫さまも知りません」
シータンが挙手。
「じゃあどーして実在すると言い切れるんですか?」
「その本の持ち主がそう言ってるからです」
「持ち主?!」
「ひょっとしてその人物って、魔人【原子】?」
「ゲンコ? それ名前なん? シータン、知ってるん?」
1000年以上昔、当時の黒家当主が、闇館建設を依頼した大魔道士だそうで。その人物の著書とのコト。
「本のタイトルは【創始者の魔導書】。その大魔道士が【ゲンコ】と呼ばれてるのは、現存する魔術魔法のほとんどが彼の理論で体系化されたと言われているからです。現在魔女学校や魔法学校使われている教科書にも彼の名前が載ってるはずです。原始・古語の魔法者でゲンコ、です」
「教科書?」
ルリさまの目が泳いだ気がしたのは、教科書とゆう苦手ワードが出たせいやろう。
「もっとカンタンに説明して?」
「カンタンに言うと魔法全般に共通する基本構造、日本語で例えると『あいうえお』、五十音の表を創った人だというコトです」
「その人がこの闇館を造ったと?」
「彼、そもそもは一級建築士ですから」
――魔道士で一級建築士。
ややこしいわ!
「……でその彼が書いた【創始者の魔導書】を見つけ出せればいいと?」
「その通りです。シンクハーフさま」
「でもさ。目標は【漆黒姫さまから『ありがとう』の言葉をもらうコト】でしょ? 本なんて探してる時間もったいないんじゃない?」
「……あ」
今日一番のナイスツッコミや、ルリさま!
「それはそうですが。漆黒姫さまも本の所在を気にしてますので、見つけることによって心証を良くし、感謝の念を抱かせるという点で、本探しは非常に有効かと勘考している次第です」
リンがガチガチのセリフを使い出した。ムリヤリの説得にかかってる証拠や。ま、でもゆうてるコトはいちいちもっともや。取っ掛かりが思い付かんのなら、とりあえず本探しを続けるしかないし。
で、ゲンコのオッチャンね。
ドコ?
ハナヲ「とはゆっても」




