にじゅ。 謎は図書室に?
漆黒姫を前にして、わたしらは険しい表情を浮かべ、かつ彼女から視線を逸らせている。
少しでも目が合うと、真実をゲロりそうやったから。
そのあたり、徹底しているのはルリさまで、目隠し状態でシータンに手を引かれている。
あまりにビビリすぎやっての。
「さーて。作戦会議がずいぶん長引いてたようやったが、ナニ話してたんや? ハナヲ姉?」
「はへッ?! そんなん、ゆうワケ無いっしょ!」
「探し物は本だから、まずは図書室を調べましょうと意見がまとまりました」
真っ当に返したわたしに対し、シータンがあっさり手の内を明かした。
「へー。灯台下暗し。確かに本は図書室にある確率が高いな。あと宝物庫とか天井裏とかは考えへんかったん?」
「それも一理ありますね。仰せの通り図書室の後に捜索します」
受け答えたシータン、手帳にメモしてる。【漆黒姫さまのアドバイスを一語一句聞き洩らしません】アピール。それを満足そうな笑顔で眺める漆黒姫。
全面的に意見を肯定してもらって嬉しいみたい。意外に可愛いトコある。……んやけど。
「何度も念押しして申し訳ないなぁ。もし仮に【探し物】チャレンジが不首尾に終わったら、罰ゲーム! わたしは見届け人のひとりとして応援しとったらえーんやったねぇ?」
「語弊あるな―。チャレンジが成功したら漆黒姫も罰ゲーム喰らうんやで?」
「罰ゲーム? ……あぁ、罰ゲームかぁ。ハナヲ姉、それ罰ゲームって自分で言う? ……まえーわ、ちゃんと憶えてんで? ハナヲ姉が勝ったら、ハナヲ姉の家に泊まりに行く。そうやったねぇ?」
そうそう。
泊まりに来たら一晩かけてその歪み切った性根を指導したるさけな!
覚悟すんねんで?
「――ではわたくし、執事頭のかんなぎリンが賭けゲーム開始の合図を担当します。用意、スタート!」
εξ εξ εξ εξ
手始めにリンの案内で図書室を捜索した。
漆黒姫の助言を尊重したためだ。ま、期待はしてへんがおかしな意見でも無かったし。少なくとも現地を見るまではそう思ったから。
「ハナヲー。この部屋、コミックと少年誌しか無いよ?」
「そりゃ。漆黒姫さまの所有する蔵書ばかりですから」
「うーん。けれどもご先祖さまの遺した本とか、キャストが持ち込んだものとか、ちょっとくらいありそうなモンだよね?」
「焚書。姫さまの意に沿わない本はすべて処分されました。ちなみに『ご先祖さまなぞ、わたしの辞書には無い』が姫さまの口グセです」
「ホントですか?」
「言いすぎでした。スミマセン」
シータンの鋭利なツッコミにかんなぎリンが辟易。よく口がすべる子やなぁ。
でも処分したのがホントなら、ここにはお目当ての本は無いってコトになる。分かってたけどドッと疲労感を覚える。
図書室にて「でもコミックは好き」




