じゅうく。 打ち首獄門ってナーニ?
とりあえず追加します。
「ではそろそろ漆黒姫さまにあいさつに参りましょう。ところで、これまでの話で充分ご理解されたと思いますが、くれぐれも姫さまの前では言動に細心の注意を」
ルリさまのノドがゴクリと鳴った。
「わざわざかんなぎ試験官が念を押さなくてもいいです。逆に緊張してしまいます」
「ただでさえ低い成功率がさらに低くなるもんな。致命的な発言したらそれこそ可能性ゼロ」
わたしのゆい方にシータンの首がフルフル。
「いや……もともと限りなくゼロの成功率がさらにマイナス……全員市中引き回しの上、打ち首獄門は確実でしょう」
「シチューひき肉の上、うちくびごくもん! それいやぁ!」
意味も分からんままビビるルリさま。
「ココロクルリ。打ち首獄門と言うのはですね……」
「いちいち説明せんでいい。ますます委縮するだけやろ」
死なば諸共。一蓮托生。悲壮感の共有?
その場の大部分がくらーいカオでうなだれた。その輪の中にはかんなぎリンも混じっている。アンタも?
「そりゃそーですよ。もし漆黒姫さまが本当の勝利条件を知ったら、ハナヲセンパイたちだけでなく、秘密のゲームをずっと隠蔽し続けてきた闇館の歴代キャスト全員とその家族類縁も余すことなく即刻打ち首獄門ですよ。ドえらい引継ぎを受けたもんです」
「それは前回聞いたけどさ。やからこそだよ、お金をムリヤリ分配返金して止めるって選択肢は無いの? 念押しでゆーけど?」
それにはミズーリジイチャンが断固として反対した。
トーゼンか。いっちゃんお金に困ってんやからね。一世一代の博打に挑んででも大金を得たいって考えてる輩さんだ。
「返金……なんてしたら逆に賭けゲームに乗っかった打ち手の連中が黙っていませんよ。なんせ彼らはロマンチストを騙った生粋の好事家狂信者さんたちなんですから」
「前回は『夢を抱いたロマンチスト』的な表現で彼らをたたえてたやん? ゆってるコト、ブレまくってんで?」
「そう言わんでくださいっ、ハナヲセンパイ! しっかり者のわたしだって、心くらい揺らしますよ」
「しっかり者って自分で言いますか。しっかり聞き届けました。それではしっかり、わたしたちのサポートをしてください。しっかりさん」
「しっかりしっかり揚げ足とらないで下さいよー、シンクハーフさまぁ」
いい加減掛け合い漫才には飽きた。(おそらく、負けるorバレる恐怖を誤魔化すために続けてたんやが)
ナイショ話用の結界から出て、漆黒姫に会いに行こうと覚悟する。
その背後で「ヒーヒー」笑い転げるジーチャンがいた。ミズーリ翁だ。
「何がオカシイのよ?!」
不快げに喰い付くルリさまを頭からつま先まで眺め倒す。
「いやぁ。失敗したら失敗したで、魔女っ子たちがお仕置きされるシーンが見れるんじゃなぁと。少しワクワク想像しちまってのう。ワシもアンタらと同様、制裁を受ける身とは言え、その点みょうちくりんに胸が騒ぐんじゃて。死ぬ前のタマシイの供養にはなるわいのう、とな」
「じゃあソレ、ムダな妄想にしちゃりますよ! わたしらはゼッタイこの賭けゲームをクリアしますから! ――ね? ルリさま、シータン?」
「はぁ……」
「ぬな……」
ちょ、アンタら!
この場合は「オーッ」一択やろっ!
もっかいやり直しっ!
三人娘「盛り上がらんねー」




