表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
ろっき ワガママじーさんを救うために生意気な妹の願望を叶えるのも姉の大事な務めなんや?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/326

じゅうに。 アルマに再会?


 アステリア領府レイシャルの一角に職人街がある。


 そこの裏通りにシータンこと、魔女シンクハーフの住まいがあった。


 このところの彼女はそこと、魔法学校の教員宿舎と、そして、わたしんち。

 みっつの拠点を日替わり宿所にしている。


 魔法学校には居なかったんで職人街の実家を訪ねたってワケ。

 この場所を訪ねるのは半年以上ぶり、いやもっとかな……久々になる。


 わたし、実は少し緊張していた。

 何故なら()()()()と、否が応でも顔を合わせるコトになるから。



「……あら。暗闇姫(やみき)さまではありませんか」

「ひゃあ?!」


 建物の入り口をノックしかけたら後ろから声を掛けられたので、思わず悲鳴を上げちゃったのだ。で、その相手が――。


「――あ、アルマ……やなかった、長柄(カエ)さん?!」

「お久しぶりです。そんなに驚かれなくても足はありますし、暴漢ヤロウでもないですよ」

「そ、そうやんね、ゴメン。つい……」


 彼女に勧められて中へ。


 目当てのシータンは入口すぐの、おっきなテーブル周囲をうろついていた。

 テーブル上には、置き場の無いほど様々な形状の器物が並べられている。

 

 そのひとつひとつを手に取り、じっくり丁寧に眺め倒しているシータン。

 ……ナニやってんの?


「あ、ハナヲ」


 手を動かしたままの応対。忙しそーやな。


 言葉選びに迷ってたら、チョイチョイと後ろから背中をつつかれて「お茶でもどうぞ」と、長柄(カエ)さんに勧められた。

 びっくりして2、3歩飛び退いてしまう。

 わたしの反応を奇妙に感じたのか、ロウソクのように白い頬をプッとふくらませた彼女は「えーと」と首をかしげた。


 わたしの態度、ヘンだったよね? ね?


 ――カエさんはシータンのお世話係。いわゆるメイドさん。

 浮世離れしたシータンに日常生活を送らせるために、無くてはならない存在なのだ。


「……はて。シンクハーフさま。わたし、ハナヲさまに何か粗相をしましたか?」


 違う、違う!

 ……むしろその反対です。


 前世の自分を知っちゃったいま、あなたに対するわたしの気持ちが劇的に変化したんですよ!

 ――なーんて、事細かにこれまでの出来事を説明したい。

 けどしたところで、どーなるでも無しなので。


 そのモヤモヤが、わたしの不可解反応に結びついてしまってるんですよ?


 アルマ……と思って観察してみれば、面影は当然ながら残ってる……ものの、すっかり別人や。


 容姿自体もそうやし、立ち居振る舞いとか、人柄とか、やっぱし違う気がする。


 ……でも、やっぱり間違いなくアルマなんや。


 わたし、ナディーヌ・ノエミ・ブーケやった時分の記憶が前面に浮き出てくる感覚が止められなくなる。

 けれども相対するアルマ……変じて、()()()()には、その感覚も、もちろんわたしのような過去の記憶だって無い。


 だって。

 ――アルマという女性は、とうの昔に死んでしまったんやから。


 この人は、アルマやない。

 ただのアルマにやや()()()()なんや。


 そう思うと、なんだか悲しくなった。


挿絵(By みてみん)

カエ「警戒しないで」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ